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キオクシ

キオクシ


発行: キリック
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆9
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著者プロフィール

 梅津 裕一(うめつ ゆういち)
『妄想代理人』(原作/今敏)『闇魔術師ネフィリス』『アザゼルの鎖』(すべて角川書店・刊)など、著書多数。ダークファンタジーな世界観で読者を魅了する。

解説

 「……いったいここはどこなんだ?」気がつくとそこは廃虚だった。自分の名前から生い立ちまで、なぜか全てを思い出せない。やがて廃虚の中で「俺」と同じく、過去の記憶を一切なくした人たちと出会う。鍛え上げられた体をもつ巨漢のザトウ、秀才タイプのメガネ、繊細そうな美人のオジョウ、そして謎の少女……。
 連れ立って廃虚を探索するうちに、不意に異臭に気付く。それも肉の腐ったような臭い……。
 異臭の先にあったものは、スチールデスクにもたれ掛かるように静止している人間の死体だった。「キャー!!」絶叫するオジョウ。全身に蛆が湧き、強烈な腐臭を発している死体の口に紙が挟んであるのに気付いたのはザトウだった。「……なんだこりゃ」その紙には死体以上の強烈なメッセージがあった。
 「キオクシの世界へようこそ/このたびは、当オニオン・コーポレーションの主催する多人数参加型ゲーム、「キオクシ」に参加して頂き、まことにありがとうございます。キオクシは、恐怖とサスペンスを味わうためのゲームです。あなたはゲームの途中、さまざまな困難と恐ろしい体験をいくつも経験することができるでしょう。さて、キオクシに参加した時点で、あなたがたの脳内からは特定の記憶が消されております。あなたがたは、ゲームの参加者のなかから、あなたたちの記憶を消した人物、すなわちキオクシを見つけ出さなければなりません。キオクシはあなたの敵です。キオクシを見つけだすことが、このゲームの目的です。この哀れな死体のようになりたくなければ、くれぐれも仲間の行動には注意することです……」
 ……記憶を失った「俺」はこの世界から無事に抜け出すことができるのか? そして「キオクシ」とはいったい?
 鬼才・梅津裕一が描く戦慄の超感覚ダークホラー! ※本著は電子書籍用書き下ろし作品です。

目次

第一部
第二部
第三部
第四部
第五部
リセット

抄録

 心臓がものすごい勢いで鼓動していた。
 なんなのだ、いまのは?
 階段を下りてきた何者かがそのまま階下に降りていった。そう考えるのが自然だろう。
 だが、一体、相手は何者なのだ?
 いやな汗が体中から噴き出してくる。
 亡霊。幽霊。いろいろな言葉が、概念が意識のなかで荒れ狂っている。
 だが、そんなことがあるわけがない。
 そんなものはあまりにも非現実的だ。
 非現実的。
 だがそれを言えば、俺がいま置かれているこの環境が現実的だとでもいうのか? 正直、なにが起きてもおかしくない。
 俺はヒステリックな笑い声をあげながら、ゆっくりと奥へとむかっていった。
「ははは……はははは……」
 自分の笑声が廃墟の壁に異様な具合に反響している。外からのオレンジ色の陽光は、ますます薄まりつつあった。それに比して、濃く深い闇があたりに満ち始めている。
「はははは……ははははは……」
 声でもあげていないと、とてもではないが正気を保てそうになかった。
「はははははは、はははははははは」
 笑い声を出しているのは、なかば『相手』を威嚇するためだ。そして自らの勇気を鼓舞するためだ。
「おおおおおおい、お前え、一体、誰なんだよお!」
 俺は階段に近づきながら、相手に呼びかけた。
 自分でもこれが異常な行動だとはわかっている。もしはたからみれば、俺の行為はさぞ不気味だろう。
 まるで酔ったときのようだ、とふと俺は思った。自分では、冷静に現実を認識しているようでいる。だかその実、なにか致命的なレベルで現実認識ができていないのだ。いや、そこまで考えられること自体が、俺が冷静になっている証拠ではないか?
「俺は、冷静だぞっっっ……話し合おう、話せばわかるよっ」
 誰に向かって言っているのだ?
 決まっている。相手、だ。
 さきほどの、白い何者か。
 幽霊話なんてものを、俺は信じない。そう、あればそういった類のものではない。
 冷静になれ。
 相手はおそらく、人間だ。そしてその何者には、確かに俺の声が聞こえているはずだ。
「話し合おう……危害を加えるつもりはないから! 大丈夫だからっ!」
 だが、むこうがこちらに敵意を持っていたらどうするのだ?
 そんなことはない。そう思いながら、さらに濃くなりつつある闇のなかへと歩いていく。
 やがて、階段にたどり着いた。
 廊下のほうから差し込む頼りない夕暮れの光が、唯一の光源だ。階上も階下も、黒い闇で塗りつぶされている。
 階段の半ばより先は、完全な闇に包まれていた。
 俺は頼りない手つきで、あたりの空間をさぐった。指先にいきなりひんやりとしたものがふれて一瞬、体をすくませたが、どうやら捜し求めていた階段の手すりらしい。
 手すりに手をかけたまま、ゆっくりと階段を下ることにした。
 一段、一段、そこに足をおろせる階段が存在することを確かめながら降りていく。
 十段ほど降りたところで、踊り場らしい箇所にたどり着いた。
 手すりを手がかりに体の向きを変え、さらに階段を下りていく。
 二階らしい場所が、通路のほうから差し込む淡い夕陽に照らされていた。
 すぐに二階にたどり着いたが、三階と同様、ここが廊下の端であることは間違いない。二階も三階も、似たような構造をしているのだろう。
 しばし、二階の部屋も「探検」するか悩んだが、結局、一度、一階まで降りることにした。この病院跡から外に出れば、なにかしら道が開けるかもしれないからだ。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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