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三姉妹探偵団(1)

三姉妹探偵団(1)

著: 赤川次郎
発行: 講談社
シリーズ: 三姉妹探偵団
価格:473円(税込)
10ポイント還元
形式:ドットブック形式⇒詳細 
対応端末:パソコン 
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著者プロフィール

 赤川 次郎(あかがわ じろう)
 1948〜
 福岡生まれ。1976年に『幽霊列車』でオール讀物推理小説新人賞に受賞し、2年後にサラリーマン生活にピリオドをうって執筆活動に専念。以後、長編に短編に、次々と才気溢れる作品を発表。1980年には『悪妻に捧げるレクイエム』で角川小説賞を受賞する。ユーモアミステリーのほか、恋愛小説、シリアスものなどその多彩な作品世界は、絶大な人気を誇っている。

解説

 タイプの違う美人三姉妹を突如襲った火事騒動。辛うじて逃げ出したものの自宅は丸焼け、しかも焼けあとから若い女の全裸死体が出てきて、姉妹は呆然となる。頼るべき父親は出張中なのだ。若い女はいつ屋内に入っていたのか? 魅力的な三姉妹が各自の特徴を生かして活躍するユーモアミステリの決定版!

目次

プロローグ――火事
1 灰の中から
2 探偵業事始め
3 OL綾子の優雅な生活
4 休暇届は遅かった
5 三姉妹の受難
6 第二の犠牲
7 怪しい奴
8 「王様」とのご対面
9 伸びる影の手
10 恐怖の部屋
11 疑わしきは愛すべからず
12 探偵か妹か、それが……
13 一か八かの勝負
14 闇の中の愛
エピローグ

抄録

 最初に煙の匂いに気付いたのは、次女の夕里子(ゆりこ)だった。
 三人姉妹の中では、実際、何事にも一番めざといのが夕里子である。
 鼻をつく、こげくさい匂い。ただ、魚がこげているとか、そんなものではない。鼻の粘膜がヒリつくような、刺激の強い匂いだった。
 ベッドにハッと起き上ったのはいいが、その拍子に、妹が寝ている上の段の底板に頭をいやというほどぶつけて、
「あ、畜生!」
 と、十七歳の乙女らしからぬ言葉を吐いた。
 姉妹の寝ている八畳間は、真っ暗だった。頭のてっぺんをさすりながら、夕里子はベッドから出ると、蛍光灯の紐(ひも)を手探りした。
 こういうときには、勘が狂うものだ。
「エイッ!」
 かけ声をかけて手を振り回すと、紐が触(ふ)れたのはいいが、今度は紐をはね飛ばしてしまって、また分らなくなってしまう。やっとの思いで紐を捕まえ、引張ると、グローランプが二、三度瞬(またた)いて、明るくなった。
 ドアの下からは、もう白い煙がじわじわと広がりつつあって、部屋の空気も少しかすんでいる。さすがに度胸のいい夕里子も、一瞬青ざめた。
 しかし、呆然(ぼうぜん)と突っ立っているときではないのだ。まず二段ベッドの梯子(はしご)に飛びついて妹の珠美(たまみ)の毛布をはぎ取って、
「珠美! 起きて!」
 胸ぐらつかんで揺さぶった。
「えっ? なに? どうしたの!」
 十四歳の珠美は、寝坊でもしたと思ったのか、ガバと起き上り、
「何時?」
 と訊(き)いた。
「火事よ!」
 と夕里子が怒鳴(どな)る。
「えっ? もう九時? 遅刻だわ!」
「馬鹿、火事だって言ってんの。早く降りろ、こら!」
 珠美も下を覗(のぞ)いて、煙に気付いた。
「やだ! お姉ちゃん、どうしよう?」
「早く降りて!」
 夕里子は飛び降りると、一人だけ普通のベッドで寝ている長女の綾子(あやこ)へと駆け寄った。これが大変なのだ。
「姉さん! 起きて! 火事よ!」
 思い切り揺さぶるが、綾子は、低く唸(うな)ったきりで起きない。何しろ低血圧で寝起きが悪いのは姉妹でも群を抜いている。一度寝てしまうと、ちょっとやそっとのことでは起きないのである。
 夕里子と珠美が悲鳴を上げた地震のときも、全く知らずに眠っていたことがあるくらいだ。
「姉さん!」
「何よ……」
 綾子がやっと瞼(まぶた)を重そうに開けた。
「火事よ!」
「火事? ――どこが?」
「うちが、よ! 早く起きて! 逃げるのよ!」
 綾子も、やっと煙に気付いて事態を理解したらしい。ベッドから這(は)い出すと、煙を吸ってむせた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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