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世界を笑わそ!

世界を笑わそ!


発行: 研究社
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 
対応端末:パソコン ソニー“Reader”
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著者プロフィール

 大島 希巳江(おおしま きみえ)
 1970年、東京生まれ。渋谷教育学園幕張高等学校で一年間の交換留学を経て卒業。コロラド州立大学ボルダー校卒業後に帰国。青山学院大学大学院にて国際コミュニケーション修士。現在は国際基督教大学大学院の博士課程にて教育学博士になりつつある状態。専門分野は社会言語学、異文化コミュニケーション、ユーモア学。著書に『間違いだらけのカタカナ英語』(日新報道社)、『知ってる単語で英会話!』(ジャパンタイムズ)、共著に『辛口・英語ユーモア』(丸善ライブラリー)などがある。現在は明海大学外国語学部講師。NHK国際放送局「Hello from Tokyo ― Funny side up Japan!」にも出演中。手広く、旅行・スポーツ・動物(?)の趣味を持つため、ケガ三昧の毎日。

解説

 関西の若手落語家(桂あさ吉、桂かい枝、笑福亭鶴笑、林家和女、林家いっ平)を引き連れて、英訳した「落語」が果たして世界で通用するかどうか、果敢にも世界ツアーに旅立った一団のハチャメチャ道中記。著者はプロデュース、英語MC(司会者)、落語の英訳を担当。その英訳の(予想外の)苦労話や公演先で体験する異文化コミュニケーションは英語学習者にも参考になることばかり。巻末に、英語落語5話(「時うどん」「いらち車」「禁酒番屋」「ちりとてちん」「動物園」)を英和対訳で掲載。(英語で)大いに笑える一冊です。

目次

ごあいさつ
第1章 「英語落語」との出会い
第2章 落語が英語に化けるまで
第3章 「英語落語」海外ツアー珍道中
付録 英語落語5話
「時うどん」
「いらち車」
「禁酒番屋」
「ちりとてちん」
「動物園」
エピローグ
こぼれ話

抄録

 一、 「英語落語」との出会い


 ■「英語落語」海外公演が実現するまで
 まず最初に、なぜ私が「英語落語」海外公演なんてムチャなことをするに至ったのか、ということについてお話ししたいと思います。最初は、とにかく大変なことだらけ。考えてみれば、当然ですよね。たかが26歳の、しかも何の経験もない人間が「アメリカで英語落語ツアーをしよう!」と思いたったのですから。「できるわけない」と誰もが思ったことでしょう。当時から私は、大学院の博士課程で研究をしながら、他の大学で英語の非常勤講師をしており、多忙でパンク状態でした。おかげで、いまだに博士課程が修了できていないという有様です(ほんとにどうしよう……)。でも、どうしてもやりたい、と思ってしまったのですから仕方がないのです。
 私のもともとの研究テーマは異文化コミュニケーション、社会言語学なので、落語はまったく関係ありません。ただ、そのテーマの中でもユーモアの効果に着目していたので、それがズルズルと英語落語に至ったわけです。いちばんのきっかけは、1996年オーストラリアで開催された国際ユーモア学会(International Society for Humor Studies)で、「日本人って笑わない人多いけど、日本人にもユーモアのセンスはあるの?」という質問をたっぷり食らったことですね。この学会、日本人の参加者が非常に少なかったことから、それらの質問はすべて私に集中してしまいました。でも、そのときはすぐに日本特有のユーモアのセンスを紹介することができなかったのです。
 当時の私はエスニック・ジョークの研究をしていたので、日本人をネタにした海外の英語のジョークは山のように知っていましたが、日本人が日本人同士で言い合う冗談とか小噺《こばなし》はよく知りませんでした。いや、自分だって日本人だから多少は知っていましたが、どう説明していいかわからなかった、というのが正直なところでしょうね。自分の無知と反論できない悔しさに、どうしたらいちばん効果的に日本人のユーモアのセンスを海外に紹介できるのか、必死で考えたものです。その答えが英語落語でした。
 英語落語をやろう、と思い立っていろいろ調べ始めると、すぐに大阪の桂枝雀師匠の活動を知ることとなりました。桂米朝師匠の弟子で英語落語を10年以上も前からやられており、海外公演の経験も豊富な枝雀師匠。大阪でも最も人気のある落語家のひとりで、その愛嬌《あいきょう》あふれるひょっとこ顔と、大きなアクション、圧倒的な爆笑を誘う落語は、もう何語で演じても同じですね。枝雀師匠のファン(「信者」といってもいいかもしれない)は多いので、あまり余計なことを書くと叱られますが、師匠は落語の笑いを理論的に分析するなど、ある意味、「学者」に近いような方でもあったように思います。英語も、もともとお好きだったようですね。
 じつは大阪まで会いに行ったことがあります。忘れもしない1997年の2月5日。その日は日帰りで、大阪まで枝雀師匠の英語落語会を見に行きました。枝雀師匠と二人三脚で英語落語をずっと支えてきた、英会話学校H.O.E. Internationalの山本正昭先生にも、それ以来、私は常にアドバイスをいただき、応援していただいてきました。それにしても、今考えると、あのときの会が枝雀師匠の最後の英語落語会になってしまいました。心から落語を愛した方だったと、思います。本当に残念でなりません。
 まあそんなワケで私は小さい頃から落語好き、というわけでもなく、また大学時代に落研《おちけん》(落語研究会)と関わりがあったわけでもありません。よく、私の活動を知っている人から「落研出身?」と聞かれるのですが、そもそも日本の大学には行っていないのですから、それもありません。小さい頃から好きだったのは英語の方で、大学を卒業するまで落語とはまったく縁のない生活をしてきました。ところが、日本で大学院に進学することになり、異文化コミュニケーションの研究をするようになってから、少しずつ軌道がズレてきたのです。そういえば1994年には「落語の会話形式にみるタネンのコミュニケーション理論」などという小論文を書いていましたねぇ。
 しかし、これは英語落語には直接つながらず、このあと欧米のユーモア学なるものに首をツッコミ、ちょっぴり遠回りをしてから、パワーアップして落語に戻ってくるのでした。
 今でもよく聞かれる質問は、なぜ私のような落語に何の関係もなさそうな者が、英語落語に関わるようになってしまったのか、ということです。日本の学会では「この子は変わっている!」といわれ、落語会では「うわ、こんなヤツが大学の先生だって」といわれ、ものすごく中途半端な立場に自分を追いやってしまっている、まさに自分で自分の首を真綿で締めているような状態です。でも、こんな私の「英語落語」活動の背景には、じつは、ものすごくきちんとした理由があるのです。


 *この続きは製品版でお楽しみください。

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