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和書>小説・ノンフィクション>エンターテインメント小説>日本ミステリ小説
天樹 征丸(あまぎ せいまる) 『金田一少年の事件簿』『探偵学園Q』の他、別名義でも『サイコメトラーEIJI』『ゲットバッカーズ』(以上週刊少年マガジン)、青年誌では『リモート』『サイコドクター』『神の雫』(週刊モーニング)など、多数の漫画の原作者として活躍。『オペラ座館、新たなる殺人』『幽霊客船殺人事件』『電脳山荘殺人事件』などの「金田一少年」シリーズや『GTO』などの小説版の著者としても知られる。
かつての惨劇の舞台、孤島の洋館「オペラ座館」へ再び招かれた金田一一少年と、ガールフレンドの七瀬美雪。楽しいはずのバカンスは、新たな殺人によってまた血に染められた。ファントムと名乗る怪人の正体を金田一少年が追う。
プロローグ 第一幕 オペラ座館からの招待状 第二幕 『カルロッタは、劇場で――』 第三幕 密室劇場 第四幕 さまよえるファントム 第五幕 『フィリップ伯爵は、湖で』 第六幕 『ジョゼフ・ビュケは、首を吊られ――』 第七幕 真相 エピローグ あとがき
男の頬には、大きな傷があった。 彼は、窓際に立って、朝もやに霞(かす)む岬を見ている。正確には、岬の突端にたたずむ、石の塚を見つめていた。 窓から見える海は、穏やかだった。 もっとも、波間を這(は)うもやのせいで、そう見えるのかもしれない。人の心も同じだ。人間も、時にそうして、作り笑いを浮かべ、憎しみや怒りを秘めやかに覆い隠す。 ふいに、もやが風に流され、石塚が、近づくようにその輪郭をあらわにした。 それは、墓石だった。 頬に傷のある男の、一人娘の墓だった。 そう古くない、砂岩造りの墓石を眺めながら、男は、右手の指で頬の傷をなぞった。 傷は、左目尻から小鼻の脇まで延びている。ひどく目立つ傷である。 六十少し前かと思われるこの初老の男の瞳には、きわだつ知性の輝きが備わっていた。それだけに、細かいしわを刻みつけた浅黒い頬に、この赤いみみず腫(ば)れのような生々しい刻印は、いささか似つかわしくなかった。 治療が適切ならば、こうまで痕を残さなかっただろう。しかし、彼はあえて縫いもせずに放置したのだ。 その傷が、自ら背負う後悔の十字架であるかのように。 風が吹きつけ、窓がカタカタと鳴った。古びた窓枠のすきまから、生臭い朝もやが流れ込む。 男は、もやの匂いにむせたように、軽い咳ばらいをして窓際を離れた。 男の名前は、黒沢和馬(くろさわかずま)。 この古いホテル、『オペラ座館』の主人であった。 *この続きは製品版でお楽しみください。
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【ドットブック形式】
※注意 同一の書籍でもファイル形式が異なるものは別商品として取り扱っております。
デジタル初版:2006年9月21日
ジャンル:和書>小説・ノンフィクション>エンターテインメント小説>日本ミステリ小説 著: 天樹征丸 発行: 講談社 シリーズ: 金田一少年の事件簿
和書>小説・ノンフィクション>エンターテインメント小説>日本ミステリ小説 |
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