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オペラ座館・新たなる殺人 金田一少年の事件簿

オペラ座館・新たなる殺人 金田一少年の事件簿

著: 天樹征丸
発行: 講談社
シリーズ: 金田一少年の事件簿
価格:473円(税込)
10ポイント還元
形式:ドットブック形式⇒詳細 
対応端末:パソコン 
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著者プロフィール

 天樹 征丸(あまぎ せいまる)
 『金田一少年の事件簿』『探偵学園Q』の他、別名義でも『サイコメトラーEIJI』『ゲットバッカーズ』(以上週刊少年マガジン)、青年誌では『リモート』『サイコドクター』『神の雫』(週刊モーニング)など、多数の漫画の原作者として活躍。『オペラ座館、新たなる殺人』『幽霊客船殺人事件』『電脳山荘殺人事件』などの「金田一少年」シリーズや『GTO』などの小説版の著者としても知られる。

解説

 かつての惨劇の舞台、孤島の洋館「オペラ座館」へ再び招かれた金田一一少年と、ガールフレンドの七瀬美雪。楽しいはずのバカンスは、新たな殺人によってまた血に染められた。ファントムと名乗る怪人の正体を金田一少年が追う。

目次

プロローグ
第一幕 オペラ座館からの招待状
第二幕 『カルロッタは、劇場で――』
第三幕 密室劇場
第四幕 さまよえるファントム
第五幕 『フィリップ伯爵は、湖で』
第六幕 『ジョゼフ・ビュケは、首を吊られ――』
第七幕 真相
エピローグ
あとがき

抄録

 男の頬には、大きな傷があった。
 彼は、窓際に立って、朝もやに霞(かす)む岬を見ている。正確には、岬の突端にたたずむ、石の塚を見つめていた。
 窓から見える海は、穏やかだった。
 もっとも、波間を這(は)うもやのせいで、そう見えるのかもしれない。人の心も同じだ。人間も、時にそうして、作り笑いを浮かべ、憎しみや怒りを秘めやかに覆い隠す。
 ふいに、もやが風に流され、石塚が、近づくようにその輪郭をあらわにした。
 それは、墓石だった。
 頬に傷のある男の、一人娘の墓だった。
 そう古くない、砂岩造りの墓石を眺めながら、男は、右手の指で頬の傷をなぞった。
 傷は、左目尻から小鼻の脇まで延びている。ひどく目立つ傷である。
 六十少し前かと思われるこの初老の男の瞳には、きわだつ知性の輝きが備わっていた。それだけに、細かいしわを刻みつけた浅黒い頬に、この赤いみみず腫(ば)れのような生々しい刻印は、いささか似つかわしくなかった。
 治療が適切ならば、こうまで痕を残さなかっただろう。しかし、彼はあえて縫いもせずに放置したのだ。
 その傷が、自ら背負う後悔の十字架であるかのように。
 風が吹きつけ、窓がカタカタと鳴った。古びた窓枠のすきまから、生臭い朝もやが流れ込む。
 男は、もやの匂いにむせたように、軽い咳ばらいをして窓際を離れた。
 男の名前は、黒沢和馬(くろさわかずま)。
 この古いホテル、『オペラ座館』の主人であった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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