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僕の愛しいサウスポー 上巻

僕の愛しいサウスポー 上巻


発行: キリック
レーベル: シフォンノベルズ シリーズ: 僕の愛しいサウスポー
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★★2
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著者プロフィール

 城山 まゆ(しろやま まゆ)
 天秤座AB型。趣味は読書と散歩と通販。好物はチョコレート。
 基本的には怠惰なのにときどき怖いほど勤勉になり、その後燃え尽き症候群で2〜3日をムダに過ごすということをくり返しながら生存中。フリーライターというもう一つの顔があり、そちらではお堅い仕事をモリモリ受けています。

解説

 まだプロ野球が見世物と揶揄されていた昭和十余年。夜の投球練習場で、黙々とボールを投げる涼平の姿に直倫は心奪われた。数日後、大学野球の試合を観戦しにいった先で、涼平が大学野球界のスター選手だと知る。
 再会した二人は次第に惹かれ合っていく──まもなく涼平は大学野球から職業野球へ転身し、プロデビュー戦で見事勝利をおさめた。そしてその夜、いつものように直倫の家を訪れた涼平。しかし、立ち話の最中でふいに直倫を抱き寄せキスをする……。
 痛いほどにせつない長編ラブストーリー・上巻!
※こちらの作品にはイラストが収録されていません。

抄録

「直倫、開けてくれ」
涼平だった。
「なあ、直倫」
「今開けるから大きな声出さないで。こんな時間に、隣に迷惑だよ」
呆れながら鍵をはずし、戸を開けると、それでも一応「こんばんは」と言いながら、涼平が中へ入ってきた。アルコールのにおいが直倫の鼻をついた。行儀悪く後ろ手に戸を閉める涼平の、日焼けした顔が、酒気でわずかに赤く染まっていた。
「誰かと飲んできたの?」
「ああ」
「初勝利のお祝い?」
「そう言ってた」
と言うわりに、涼平は不機嫌だ。訝りつつ、直倫は涼平の顔を見つめた。身長差の分だけ、視線が上を向く。
「よかったじゃないか。──そうだ、僕も言わなくちゃ。職業野球での初勝利、おめでとう。どの球場にいても、マウンドに登ってるきみは誰より輝いて見えるよ。七回のタイムリーヒットも、鋭い当たりだったね。打者としての涼平も、すごくかっこよかった」
「……ありがとう」
ようやく、涼平の表情がゆるんだ。うれしそうに目を細めた。
「あ、そうだ、もう一つ。きょう、僕が座った席、きみが久二郎さんに頼んでくれたんだって? ありがとう。きみの投げる姿がよく見えて、試合のあいだ中、僕はずっと興奮してたよ」
「見ててくれって、おまえに頼んだのは俺だから。直倫がスタンドにいてくれるのが、俺もすごくうれしいんだ」
そのとき、座敷の柱時計が九時半を打つのが聞こえた。直倫は「あ」と呟いた。
「本当なら上がってと言いたいところだけど、きょうはもうまずいね。寮の門限は、確か十時だったよね? 間に合うかな?」
涼平は、たちまち最前までの不機嫌顔に逆戻りした。
「腹が立つよな。俺、今夜は街になんか出たくなかったのに。さっさとここにきて、おまえに『おめでとう』を言ってもらおうと思ってたのにさ。だけど野上さんたちも誘っての席だったから、チームに入りたての俺がいかないわけにはいかないし、いけばいったで先に勝手に帰るわけにもいかないし……。結局、今ごろになったんだ」
「まあそう言わずに。祝ってもらえるのはありがたいことじゃないか」
「そうだけどさ。でも、俺は宴会なんかより、早くおまえに会いたかったんだ」
ふいに涼平が利き腕の左腕を前へ出した。直倫が何だろうと思う間もなく、右の上腕を掴まれ、引き寄せられて、強い力で抱き締められた。
「りょ……涼平?」
戸惑いの呼びかけには応えずに、涼平はなおも腕の力を強めた。
「ちょっと……、苦しいよ、放して」
「いやだ」
「何を子どもみたいなこと言って……。ねえ、さっきも言ったけど、もうすぐ寮の門限だよ。帰らないとまずいだろう? 途中まで送ってくから」
「いいよ、門限なんか。それより、今はおまえといたい」
「チームに入りたてで規則を破ったりしたら大変だよ。監督の心証だって悪くなるよ」
直倫は心から涼平のことを思って言ったのだが、しかし涼平は、おもむろに顔を上げると、悲しいような傷ついたような顔をして直倫の目を覗き込んできた。
「何でそんなに邪慳にするんだよ」
「え……、邪慳になんかしてないけど……」
「おまえは俺といるのがいやなのか?」
「そういうわけじゃないよ。ただ僕は、きみの立場を心配して──」
「ああ……分かってる。だけど、今は俺、おまえといたいんだよ……」
言うや涼平は、乱暴に直倫を引き寄せ、もう一度強く抱き締めた。驚いた直倫が身を引くひまもなかった。
「涼平ってば。苦し──」
直倫が言いかけたとき、予想だにしなかった感触が唇をふさいだ。
「……っ」
それは一度すぐに離れて、しかし直倫が涼平に意図を問い質す前に、再び重ねられた。口唇は、さっきよりも少し強く押しつけられ、離れ際には軽く吸われた。
「な……にを──」
二度目の口づけから解放された直倫が、混乱する頭で必死に言うべき言葉を探していると、涼平は迷いのない視線で、まっすぐに直倫を見つめてきた。
「今の、いやだったか?」
「え……?」
「いやじゃないなら、そのままでいてくれ。俺のすること、止めないでくれ」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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