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アンバランスな純愛志向

アンバランスな純愛志向


発行: キリック
レーベル: シフォンノベルズ
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆2
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著者プロフィール

 都和 純佳(とわ じゅんか)
 関西出身・在住。4月20日生まれの牡牛座・A型。今までに恋愛ゲームのシナリオ執筆など。

解説

 小悪魔高校生・陸は三人の「パパ」たちと代わる代わる逢瀬を楽しむ日々を送っていた。ある時、パパの一人とホテルから出てくるところを学級委員の富井に目撃されてしまったことで、陸は富井とも関係を持つように……。しかし、真新しいキスマークに気づいたパパの一人・商社マンの水越は、そのことにひどく激高。そして、陸を本気で愛していると告げる──。水越の気持ちを知りながらも、依然としてほかのパパや富井と関係を続ける陸ではあったが、次第に気持ちは揺れてきて……!!
※こちらの作品にはイラストが収録されていません。

抄録

「うん、美味しい!」
 水越さんとオープンしたばかりの焼肉屋で二人、鉄板を囲む。
 今日の水越さんは黒のストライプスーツにダークブラウンの革靴で、交渉のための資料でも入っているのか、茶色の鞄はぱんぱんに膨れ上がっている。
「そう、それはよかった。今日から新学期だったよな、久しぶりの学校はどうだった?」
「別にどうもしないよ」
「クラス替えとかあったんじゃないのか?」
「クラス替え……もう、最悪!」
 水越さんの言葉に、僕はやけになって肉ばかり三枚を鉄板から拾い上げた。
「知ってる奴が誰もいないんだけど……、ちょっとこれって信じられる?」
「うわ、災難だな。でも、また新しい友達をつくればいいじゃないか」
水越さんは僕に適当な返事を寄越しながら箸で肉をつついている。
「水越さん、何小学校の先生みたいなこと言ってんの? 僕がそういうの、苦手だって知ってるくせに」
「悪い悪い。でも陸、俺みたいな大人とばっかり付き合ってて、同年代の子たちとあまり遊んだりしてないんだろ?」
「うん」
「もっと遊べよ。そういうのも今だけだと思うし」
 もっともらしいことをよく言う。以前、放課後に体育祭の練習をしていたらそんなもの放っといて俺のところに来い、なんていう無茶なメールを送ってきたこともあるくせに。
「大きなお世話です、僕は水越さんと一緒にいる方が楽しいもん」
「まあ、そう言ってくれるのは嬉しいけどな」
「でしょ? ねえ、そろそろホテル行こうよ」
僕が水越さんの腕を掴んで軽く揺らすと、水越さんはビールを口に運んでから言った。
「もう少し飲ませてくれよ」

 三人の中でも、水越さんは変わっている。他の二人はといえば、自分のことばかり話したがって僕の話はほとんど聞いてくれないし、とにかく早くホテルへ行こうと僕を誘う。しかし、水越さんだけは鬱陶しいくらいに僕のことを聞きたがるし、今日みたいに僕が痺れを切らしてもまだホテルへ行きたがらない。
 正直、こういう人間は苦手だ。他の二人の方が助かる。もっと淡白な軽い関係を望んでいるのに、水越さんは会うたびに僕の領域内に入ってこようとする。
 水越さんと初めて会ったのは高校に入ってすぐのことだった。だから、この関係ももうじき二年になろうとしている。水越さんと付き合い始めて半年ほど経った時、一度終わりにしようかと思ったことがあった。それでも、三人の中で一番贅沢をさせてくれるのは水越さんだし、僕の希望も何でも叶えてくれる。
 結局、水越さんの存在は僕にとって居心地がいいのか悪いのか見極めてやろうと決意して以来、今でも見極められずにずるずると関係は続いてしまっている。水越さんからは一向に関係を絶とうとはしてこないし、僕も何か欲しいものがあればつい水越さんに頼ってしまう。
「陸、もうすぐだよな」
「何が?」
 ホテルの部屋に到着するなり、灯りもつけずに僕をベッドに押し倒すと水越さんが言った。
「俺たちが知り合って、もうすぐで二年になる」
「うん、そうだね」
 僕を見下ろす水越さんの目はいつも以上に優しい。僕がサイドテーブルのランプをつけると、僕の髪をゆっくりと撫でながら水越さんは言葉を続けた。
「なあ、お祝いしようか?」
「ふふっ、何か女の子みたい」
「え、どうして?」
「お祝いするのなんて、せいぜい誕生日くらいじゃない? 男って、いちいちアニバーサリーとか気にしないような気がする」
「確かに、女性の方がそういうのは好きかもな。陸は嫌?」
髪をすいてくれる手がくすぐったい。僕は軽く目を細める。
「別に嫌じゃないけど、お祝いって何してくれるの?」
「そうだな、陸の食べたいものを何でも食べさせてやる」
「それだったら、いつもと同じだよ」
 水越さんは少し考える素振りを見せてから穏やかな口調で続ける。
「あ、そうか。じゃあ、旅行に行くとか?」
「旅行かあ……うーん、僕はこうやって時々会う方がいいかな」
「そうか……」
 僕の返事を聞いて、水越さんは明らかに落胆した声を出した。何となくもっと水越さんに踏み込まれそうな気がして、うん、とは言えなかった。
「いや、別に水越さんと旅行に行くのが嫌とかいうんじゃなくて、旅行があまり好きじゃないっていうか」
「いや、いいよ」
「うん。……で、ずっとこのまま?」
 僕の顔の真横にある、水越さんの右腕を掴んで見上げる。僕を押し倒したきり、水越さんは手ではなく口ばかり動かしている。
「ん……?」
「友也さん……」
 水越さんとのルール、ベッドの中では絶対に「友也さん」と呼ぶこと。
 水越さんは何故かそんなことにこだわった。他の人なら、反対にファーストネームで呼んで怒られたことだってあるのに。
「……ああ、早くして欲しい?」
「もう……、そういうこと訊かないでよ」
「目を逸らすなよ。それじゃあ、ご所望のとおり……」
わざと軽く音を立てて、水越さんは僕の唇にキスをした。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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