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和書>趣味・生活・雑誌>生き方・教養>一般教養:豆知識
日本語倶楽部(にほんごくらぶ) 日本語に関して、語源、字源、漢字、流行語などさまざまな興味深いテーマを、日夜研究・発表しているグループ。学会にはできないユニークな研究を、特定の学説にはとらわれない柔軟な発想でおこなうことを目標とするウイットあふれる集団。著書には『日本語の謎にズバリ!答える本〈1〉〈2〉』『おもしろ漢字パズル』「知れば知るほど面白い」シリーズの『語源』『漢字の謎』『ことわざ』(河出書房新社刊)がある。
どの家にも、一冊は漢和辞典があるはずだ。漢和辞典なんて、引くのが面倒(めんどう)くさいし、日常生活ではほとんどその必要がないから、うっすらホコリをかぶったまま眠っているかもしれない。 漢字たちは、じつはそれぞれに、さまざまな物語をもっている。哀(あわ)れで切ない話もあれば、おかしい話も、しみじみとした話も、その叡知(えいち)に思わずうなってしまうような話もある。 この字からあの字へと関連した漢字を追いかけつつ、そんな物語の数々を紹介するこの本を読み終える頃には、いまよりもはるかに漢和辞典に親しみを感じられるはずだ。気になることがあったら、その場で辞典を引いてみてほしい。
四角い漢字を丸く読む面白本―――はじめに 1 漢和辞典はこんな面白い話を聞かせてくれる ――最初に作られた漢字ってさて何の字だった? 漢和辞典が「一」の字から始まる理由 漢和辞典が持つ二つの顔って? 部首はどのようにして生まれた? 一つの漢字に「読み」がいくつもあるのは日本だけ 何とおりにも「読み」が増えたのはなぜ? 訓読みが複雑になった事情とは 最初につくられた漢字って、さて何だった? 「止+少」で、なぜ「歩く」という意味になる? 金文っていったい何のこと? 「家にいる子」でどうして「字」なの? 文字分類の基本「六書」とは? 漢字は、そもそもなぜ“漢字”というのか? 和がノギヘンのページにないわけ 倭から和に国名を変えた理由とは? 「人+一」で「大」ができたの? 小は絵をそのまま文字にしている? 中という字はふつうと逆の進化を遂げた 2 “自分”を言い表す漢字には数々の文字がある ――「己」「已」「巳」の違い、きちんと説明できますか? 軒先貸して母屋をとられた「己」という字 「已」は意外にもこの字と兄弟だった 「巳」の原型はほんとうに蛇? どうやって「自分」という意味を字に表した? 「自」に地位をうばわれた「鼻」はどうつくられた? 「私」という字は本来どんな意味だった? 「私」の秘密は「ム」にあった?! なぜノコギリが自分を指すのか? 「余」「予」が好んで使われたわけ 「僕」という字のとんでもない意味 3 親子、兄弟、父母、姉妹…あなたに近しい人の来歴を知る ――「立つ木」に「見る」でどうして“親”になるのだろう? 「立つ木」に「見る」でどうして“親”になるのだろう? どうして親を切るのが「親切」なのか 父が父たる所以とは? 「父+斤」で斧になる理由 斧はもともと父だった?! 父の音はなぜ「フ」になった? 母の重要な仕事がこの字を生んだ しとやかなイメージの女性といえば… 兄の「口」は何を表している? 弟は弟たる立場の宿命を表した字 姉の旁は「市」ではなかった 4 男の立場も表す字によってガラリ変わる ――かつて「男」よりも「士」が好んで使われた理由 「性」のもともとの意味は“生まれてきたままの心” 「男」という字は何を描いてつくられた? なぜ女ヘンはあるのに男ヘンはないのだろう? かつて「男」よりも「士」が好んで使われたわけ 「士」は、ある特定の能力を表した文字 男も女も一方が多すぎれば世は乱れる 「壮」とはどんな男を指している? そもそも「爿」に「士」をくっつけたのはなぜ? 「牡」と「牝」が典型的な中国産の字だという理由 「牝」の「ヒ」にはこんな意味が隠されていた 「雄」と「雌」はオスとメスのこの違いを表している なぜ「隹」が鳥を指すのか 「とり」を指す字がたくさん誕生したわけ なぜ「鳥」から一本減らすと「烏=カラス」なの? 5 女の一生はさまざまな字で彩られる ――娘とは本当に「良い女」のことなの? 処女とはどんな女性のことだった? 処女のいる場所ってどこか? 娘とはほんとうに「良い女」のことなの? 娘の運命を決めた二つの生い立ちとは 結婚すると、女は何になる? 婦と掃では「帚」のもつ意味が違う 女に何をのせると「妻」になる? 昔のほうが夫婦の立場は平等だった?! 夫っていったいどんな男? 6 恋や愛には、やっぱり涙がついてまわる ――「恋」には言うに言えない思いが隠されていた… 「恋」には言うに言えない思いが隠されていた… 昔の日本人は「愛」をどうとらえていた? 「好き」も「嫌い」もオンナヘンである理由とは 「女+兼」がなぜ「嫌う」になる? 悲恋の「悲」は何を描いたものか? 悲恋のかなしみが「悲」なら、では失恋のかなしみは? 「涙」という字の意外な成り立ちって? 「氏+日」が夕暮れを指すのはなぜ? 7 漢字にしても色気が漂う男女の交わり ――セックスそのものを象形した字をご存じ? 結婚の「結」とはそもそも何をむすんだのか? 多くの意味をもつ「結構」は日本にピッタリ?! 初夜のお勤めは坊さんの仕事?! 台に女がつくとなぜ「始め」になる? 「宿六」「嬶」と互いに呼び合えれば一人前 数字の「百」は書き間違いから生まれた 純日本産の「国字」はいくつある? 番のもともとの意味って何? 動物が「交尾」なら、人間は何という? セックスそのものを象形した字をご存じ? 仁には色気のいの字もない?! 背骨を意味する呂の役割とは 自分の半身のように大切な人って? 参考文献
漢和辞典が「一」の字から始まる理由 辞典といえば最初に「あ」や「A」があるのがふつうだが、漢和辞典はそうではなく、「一」という字で始まっている。なぜだろう? (1)「一」はもっとも単純な字だから。 (2)「一」はものの始まりを意味するから。 (3)「一」はいちばん初めにできた漢字だから。 最初が「一」ならその次は「二」かと思えば、そうではなく、「七」とか「丁」という字が続く。「どうなってるの?」と、初めて漢和辞典を手にして戸惑った覚えのある人も少なくないだろう。 たくさんの言葉を秩序(ちつじょ)正しく網羅(もうら)し、必要なものをすばやく引けるようにすることが、辞典には不可欠な条件である。その条件を満たす唯一の方法が、五十音やアルファベットなど読み方の順に言葉を配置する方法だった。 どの言葉にも読み方があるので、これならどの言葉も取りこぼしなく所定の位置に配置できるし、いちいち引き方を解説しなくてもすむ。というわけで、洋の東西を問わず、辞典といえばこの読み方配列法が採用されている。 ところが漢和辞典は違う。どれも表紙の裏に「部首索引(ぶしゅさくいん)」というものがあって、それでまず偏(へん)とか旁(つくり)など部首のページを調べ、その項目のなかで目的の字を探す、という方法をとっている。 しかも、読み方によっても引けるようにしてあって、巻末(かんまつ)か巻頭(かんとう)にわざわざ多くのページを用いて、びっしりと細かい字で記された「音訓索引」なるものが設けられている。そこで目的の字を探して、そのページを調べよ、という仕組みだ。 しかし、いずれにせよ、索引で調べるという二重の手間をかけなければ、目的の字を探せないようになっている。なかには五十音順の配列を試みたものも出現しているが、やはり漢和辞典といえばこのやり方がふつうで、昔からずっと変わらずにおこなわれてきている。 引くのに手間がかかることは辞典にとっては致命的な欠点なのに、なぜ、漢和辞典はこんな面倒な引き方を用いているのだろうか? その最大の理由として、読み方が複雑だということがある。漢字には音(おん)読みと訓(くん)読みがあるが、音読みは漢音(かんおん)のほかに、呉音(ごおん)、唐音(とうおん)(宋音(そうおん))、古音(こおん)などがあり、訓読みも字によって複雑で、たとえば「苦」は「くるしい」とも「にがい」とも読める。これでは、読み方の順に並べるなんて不可能だろう。 漢和辞典が持つ二つの顔って? それにもう一つ、漢和辞典は日本語としての漢字の辞典であると同時に、漢語を日本語に訳すための辞典でもあるという二つの性質をもっていることも、理由としてあげられる。漢語も収録の対象にされているわけだ。そのため、取り上げられている字には日本語として定着していないものも多く、それらを網羅するには日本語による分類法では役に立たないわけである。 とすれば、本場の中国のやり方に倣(なら)うのがいい。 じつは、部首によって漢字を分類して字画ごとに並べるというこの漢和辞典のやり方は、中国の辞典の方法を採り入れたものなのだ。中国では古くからさまざまな辞典がつくられてきた。その配列法もいろいろ考えられたが、どれも帯に短したすきに長しで、不完全なままだった。 そんななかで、部首と字画による方法をほぼ現在の形に確立したのが、一七一〇年に清の康煕(こうき)帝の命で編纂(へんさん)された『康煕字典』だった。 わが国の漢和辞典は、基本的にこの『康煕字典』の分類法に倣ってつくられているのである。 この方法では、部首を字画の少ない順に並べ、さらに部首に属す字も字画の少ない順に並べられる。とすると、「一」は字画が最少の一という部首の最初の字になるので、辞典の最初にくることになる。というわけで、答えは(1)である。 ちなみに、「一」という字は一本の棒を表したものだ。面白いことに、人類が考え出した一を示す文字は、縦書きと横書きの違いはあるが、すべてどれも漢字と同じく一本の棒を示したものだという。
【Keyring PDF形式】
【XMDF形式】
※注意 同一の書籍でもファイル形式が異なるものは別商品として取り扱っております。
紙書籍初版:1998年8月1日 デジタル初版:1998年8月28日
ジャンル:和書>趣味・生活・雑誌>生き方・教養>一般教養:豆知識 編: 日本語倶楽部 発行: 河出書房新社
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