和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>生徒会
著者プロフィール
葵 ゆきの(あおい ゆきの)
埼玉県出身/蟹座/血液型:B型/趣味:読書に観劇、Jアイドルコンサート/誕生日:7月11日
ワニブックス、オークラ出版、イースト・プレス等よりボーイズ作品を発表中。
埼玉県出身/蟹座/血液型:B型/趣味:読書に観劇、Jアイドルコンサート/誕生日:7月11日
ワニブックス、オークラ出版、イースト・プレス等よりボーイズ作品を発表中。
解説
菅沼俊は麗しい容姿と明晰な頭脳を持つ、全校生徒の憧れの生徒会長。同じ高校に通う幼馴染の木崎良幸は、周りの奴ら全員が大事な俊を狙っている気がして、毎日心配でしょうがない。一度は想いが通じた二人なのに、俊にだけは従順な良幸と、それに苛立つ我侭な俊の気持ちはすれ違ってばかり。そんな彼らに副会長の宮島や、良幸に憧れる後輩、飯田が絡んできて……?
抄録
「文化祭のスケジュール表は?」
書類から目を離さず、俊が言った。
「打ち込みは終わっている」
「講堂の時間配分は出来たのか?」
「今のところ、問題はない。ただ、有志の落語とバンドは時間がずれ込みそうだから、もう一度進行をチェックする予定だ」
「…いいだろう」
手にしていた書類を、無造作に良幸に手渡す。
「さっきの総会のだ。議題と演説、全体の流れについてレポート形式にまとめろ」
「レポート?」
準備ならともかく、終わってしまった総会だ。
さすがに訝《いぶか》しむ良幸を、俊は睨んだ。
そんな顔をしても、怖いどころかより端麗さが際だつ。見惚れた良幸は、無意識に手をのばしてその頬に触れた。
まっすぐに見つめてくる俊に、引き込まれるような錯覚が起きる。
「俊…」
なめらかな肌の感触を指先で味わう。
「…好きだ」
囁くと、良幸は顔を近づけ、ふれ合うだけのキスをした。俊は動かなかった。
「ん…」
大人しく身をゆだねる俊に昂揚《こうよう》し、良幸は舌で合わせ目をなぞった。そのまま俊の口腔を味わおうとする。
そのまま俊を抱き寄せようとした良幸の手を、俊がかるく叩いた。
「離れろ」
少し戸惑い、良幸は彼を見下ろした。きつい眼差しが良幸を射抜く。
「…レポートの話に戻るが」
それでも良幸は、しばらく俊を抱きしめたままだった。
しかし、俊の表情が動かないのを知ると、気落ちしたため息をついて、身体を離した。
「相変わらず…つれないな」
名残惜しげに俊の肌を指で撫でると、良幸は寂しそうに笑う。
一瞬、俊の眉が顰められたが、良幸が気づく前にポーカーフェイスに戻る。
「総会の話はちゃんと聞いていたんだろうな?」
「もちろん」
まさか、俊に見惚れる顔をチェックしていたとは言いづらく、良幸は嘘をついた。
「一応の承認は得たが、やはり有志と運動部の一部が不満そうだ。質問のところで、文化部予算にケチつけてきただろう。あのままならともかく、事を起こしたら厄介だぞ」
上目遣いになると、拗ねた感じが妙に色っぽくなり、良幸は視線を彷徨《さまよ》わせた。
「そうだな…」
さっきまでのクールな様子とは逆に、憎まれ口を叩く俊は、表情が豊かだ。
「講堂使用の有志だって、進行チェックぐらいで済むわけない。過去に暴力事件にまで発展した例もある」
「そんな短絡的な奴らばかりじゃないさ。俺も注意しているから…」
なだめるつもりで言った良幸に、俊はふん、と鼻をならした。
「頼りになるのか。ウドの大木のくせに」
これは俊の言いがかりだ。実際の良幸は、クラスメイトにも畏怖されている。
「ともかく、対策を練る必要がある。今後のこともあるから、毎回の総会や会議の記録を書記とは別に作って検討したい」
ふと、良幸は気づいた。
もっともらしく聞こえるし、それなりの理由はあるだろうが、急場に必要な仕事ではないのだ。
言うなれば、俊が良幸に余計な仕事を作っているのである。
「…俺のレポートでいいのか?」
しかし、良幸は穏やかに俊に答えた。
「参考意見だ。使うかどうかは、読んでから尚人と相談する。役に立つなら、こういうやり方も後輩らに残せるし」
引き合いに出された宮島と、後輩らのことは良幸にはどうでもよかった。
実際の理由はどうあれ、俊が必要だと言うならやるまでのことだ。
*この続きは製品版でお楽しみください。
書類から目を離さず、俊が言った。
「打ち込みは終わっている」
「講堂の時間配分は出来たのか?」
「今のところ、問題はない。ただ、有志の落語とバンドは時間がずれ込みそうだから、もう一度進行をチェックする予定だ」
「…いいだろう」
手にしていた書類を、無造作に良幸に手渡す。
「さっきの総会のだ。議題と演説、全体の流れについてレポート形式にまとめろ」
「レポート?」
準備ならともかく、終わってしまった総会だ。
さすがに訝《いぶか》しむ良幸を、俊は睨んだ。
そんな顔をしても、怖いどころかより端麗さが際だつ。見惚れた良幸は、無意識に手をのばしてその頬に触れた。
まっすぐに見つめてくる俊に、引き込まれるような錯覚が起きる。
「俊…」
なめらかな肌の感触を指先で味わう。
「…好きだ」
囁くと、良幸は顔を近づけ、ふれ合うだけのキスをした。俊は動かなかった。
「ん…」
大人しく身をゆだねる俊に昂揚《こうよう》し、良幸は舌で合わせ目をなぞった。そのまま俊の口腔を味わおうとする。
そのまま俊を抱き寄せようとした良幸の手を、俊がかるく叩いた。
「離れろ」
少し戸惑い、良幸は彼を見下ろした。きつい眼差しが良幸を射抜く。
「…レポートの話に戻るが」
それでも良幸は、しばらく俊を抱きしめたままだった。
しかし、俊の表情が動かないのを知ると、気落ちしたため息をついて、身体を離した。
「相変わらず…つれないな」
名残惜しげに俊の肌を指で撫でると、良幸は寂しそうに笑う。
一瞬、俊の眉が顰められたが、良幸が気づく前にポーカーフェイスに戻る。
「総会の話はちゃんと聞いていたんだろうな?」
「もちろん」
まさか、俊に見惚れる顔をチェックしていたとは言いづらく、良幸は嘘をついた。
「一応の承認は得たが、やはり有志と運動部の一部が不満そうだ。質問のところで、文化部予算にケチつけてきただろう。あのままならともかく、事を起こしたら厄介だぞ」
上目遣いになると、拗ねた感じが妙に色っぽくなり、良幸は視線を彷徨《さまよ》わせた。
「そうだな…」
さっきまでのクールな様子とは逆に、憎まれ口を叩く俊は、表情が豊かだ。
「講堂使用の有志だって、進行チェックぐらいで済むわけない。過去に暴力事件にまで発展した例もある」
「そんな短絡的な奴らばかりじゃないさ。俺も注意しているから…」
なだめるつもりで言った良幸に、俊はふん、と鼻をならした。
「頼りになるのか。ウドの大木のくせに」
これは俊の言いがかりだ。実際の良幸は、クラスメイトにも畏怖されている。
「ともかく、対策を練る必要がある。今後のこともあるから、毎回の総会や会議の記録を書記とは別に作って検討したい」
ふと、良幸は気づいた。
もっともらしく聞こえるし、それなりの理由はあるだろうが、急場に必要な仕事ではないのだ。
言うなれば、俊が良幸に余計な仕事を作っているのである。
「…俺のレポートでいいのか?」
しかし、良幸は穏やかに俊に答えた。
「参考意見だ。使うかどうかは、読んでから尚人と相談する。役に立つなら、こういうやり方も後輩らに残せるし」
引き合いに出された宮島と、後輩らのことは良幸にはどうでもよかった。
実際の理由はどうあれ、俊が必要だと言うならやるまでのことだ。
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