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ピアノソナタ「月光」による朗読劇 月光の夏

ピアノソナタ「月光」による朗読劇 月光の夏

著: 毛利恒之
発行: TIブックス
価格:525円(税込)
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著者プロフィール

 毛利 恒之(もうり つねゆき)
 作家。大ヒット映画『月光の夏』の原作・脚本・企画プロデューサー。1964年、テレビドラマ脚本『十八年目の召集』で第1回久保田万太郎賞受賞。著書は小説『月光の夏』、ノンフィクション『地獄の虹』など、戦争をテーマにした作品が多く、熱い感動を呼ぶ。ドラマ、ドキュメンタリー、映画、舞台劇など作品は多岐にわたり、文化庁芸術祭大賞など受賞作が数多い。

解説

 佐賀県鳥栖市――。戦後45年のこの年、鳥栖小学校の古いグランドピアノが、廃棄されようとしていた。かつて教師をしていた吉岡公子は、そのピアノに忘れられない思い出を秘めていた。ピアノを平和のねがいの証しとして保存しようというねがいから、公子は全校朝会で生徒たちに思い出を語る。
 太平洋戦争の末期の昭和二十年、沖縄戦たけなわの初夏のある日、音楽を愛する学徒出身の特攻隊員ふたりが学校に駆けつけ、今生の別れにベートーヴェンのピアノソナタ『月光』を弾き、沖縄の空へ出撃していった。愛する者とふるさとの山河を護るために死のうと誓いあった彼らの前途には、過酷な命運が待ち受けていた。
 ふたりのその後と真相の謎を追う取材者の前に、知られざる特攻の闇が浮かびあがる……。
 実話をもとに小説が書かれ、映画化されて大ヒットし、テレビ放送に、舞台劇にと繰り広げられてきた『月光の夏』の物語を、著者によって、もっとも簡潔に、新しい朗読劇にまとめられたものです。ピアノソナタ『月光』のピアノ演奏とがおりなして、新機軸のライブ・ステージを創りだします。名曲の調べとあいまって、映画をも超える深い感動をもたらし、多くの感涙をよんで好評を博しています。
 上演台本としてだけでなく、読み物として読みやすく、朗読・音読する本としておすすめです。

目次

あらすじ ピアノに秘められた戦争の悲話
プロローグ あの遠い夏の日に〈追悼1〉
第一部 決別のソナタ
第二部 特攻日記の謎
第三部 ピアノは知っている
第四部 愛する者のために
第五部 『月光』のソナタ、ふたたび
エピローグ 母の挽歌〈追悼2〉
解説 空に、海に、特攻で逝った六千余人の若者たち

抄録

 太平洋戦争末期の昭和二十年、初夏。音楽を愛する学徒出身の特攻隊員ふたりが学校に駆けつけ、今生の別れにベートーベンのピアノソナタ『月光』を弾き、沖縄の空へ出撃していった。
 海野光彦(うんのみつひこ)少尉と風間森介(かざましんすけ)少尉。愛する者とふるさとの山河を護るために、ともに死のうと誓いあった彼らの前途には、過酷な命運が待ちうけていた。戦死した者にも、生き残った者にも、戦争は非情、無残であった。
 隊員のひとり、風間森介は熊本・阿蘇の山間(やまあい)の村に生存していたが、鳥栖でピアノを弾いたことについては、おぼえていない、とマスコミの取材を拒んだことから、公子の話はうその作り話とのうわさを生み、『月光』を弾いた特攻隊員の存在は幻と化そうとする。
 ラジオ・ドキュメンタリー作りのために、作家、三池安文(みやけやすふみ)は真実を求めて取材を進めていく。同じ生き残りの元特攻隊員、石倉金吾の話から、途中不時着したり、引き返してきた隊員が、いのちを惜しんだ者として叱責罵倒され、ひそかに隔離軟禁されていた「振武(しんぶ)寮」の存在が明らかになり、知られざる特攻の過酷な実相が浮かび上がってくる。
 公子は三池と、かつて特攻基地のあった鹿児島県知覧(ちらん)町の特攻平和会館を訪れる。展示されている千二十六名の特攻戦死者の遺影と遺書を見ていくうちに、おぼろげにあったピアノを弾いた特攻隊員の面影は千々(ちぢ)に乱れ、公子は涙あふれるままに立ち尽くす。
 風間は、戦後、海野の妹、久代と結ばれ、その愛を支えに生きてきていた。戦争中の出来事について口をつぐんできた風間は、実は、さらなる悲しみを胸に秘めていた。戦争当時、世に「軍神の母」とされ、涙を見せることもならなかった「特攻の母」の声なき慟哭(どうこく)と死……。
 三池に対してようやく心をひらき、真実を語った風間は、鳥栖を訪れて公子と四十五年ぶりに再会する。風間は、戦死した友、海野光彦をしのび、修復されたピアノで『月光』を弾く。公子は、遠い夏の日に思いをはせつつ聴きいる。その哀しくも美しい調べは、重く、そして烈(はげ)しく、特攻で南溟(なんめい)に散っていった若者たちと亡き母たちへの挽歌となって、公子の胸をうつ。

*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

紙書籍初版: 2007/8/1
小説・ノンフィクション文芸戯曲

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