和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>学園
著者プロフィール
剛 しいら(ごう しいら)
6月9日生まれ東京都出身。魚座・A型。趣味は映画・舞台・格闘技・F1鑑賞。プラチナ文庫、ルビー文庫、アズ・ノベルズなどで作品を多数発表。
6月9日生まれ東京都出身。魚座・A型。趣味は映画・舞台・格闘技・F1鑑賞。プラチナ文庫、ルビー文庫、アズ・ノベルズなどで作品を多数発表。
解説
文部科学省に属する、教育取締官・月島竜司は、欝蒼と生い茂る森に囲まれた、貴族の城のような『一高校』にやってきた。この高校は高い進学率を誇っているが、卒業後、自殺したり事故に遭う者が多すぎるのだ。月島の任務は、『一高校』の特殊な教育方法を調査することだ。ところが、思いのほか調査は難航し、同僚の佐倉ばかりか、最愛の恋人の青葉まで囮として捜査に加わることになってしまい……!?
抄録
「月島はこの後も、学校内の特異性について調査を続けてくれ。卒業した生徒からの証言が欲しいところだが…どうも誰も話したがらない。極端な生徒になると、何も思い出せないと言うくらいだからな」
長官は月島に向かって言った後、今度は佐倉を見つめた。
「それじゃ、息子の光洋君。打ち合わせをやり直そうか」
「はっ、はいっ」
嬉しそうな佐倉に比べて、月島はあーあとため息をついていた。
久しぶりに自宅に帰る。明日には新幹線で戻らないといけないのが、少しばかり憂鬱だ。
マンションのエレベーターを降りると、ドアの前に蹲っている姿が真っ先に目に入った。
「青葉っ!」
慌てて月島は駆け寄った。
「いつから待ってたんだ。電話するって言っただろ」
「……電話されてから出て来たんじゃ、時間がもったいないよ。それとも邪魔だった?」
青葉は顔だけ上げて、月島を見ていた。
その目は潤んでいる。きっとこうして待っている間にも、若者らしい感情の高ぶりに翻弄されていたのだろう。
「邪魔なわけがないだろ。寒くなかったか? 飯はどうした。腹減ってないか」
「そんな心配よりさ、もっと、言わないといけないことがあるんじゃないの」
恨めしそうに青葉は言う。
月島は急いで鍵を差し込んだ。
「入れ…まずは入ってからだ」
「…ん…」
青葉はのろのろと立ち上がり、月島の部屋に入ってきた。
合い鍵をあげておけばいいのかもしれない。なのに月島はあえて渡さない。まだ高校生である青葉との間に、きちんとした距離を置こうと思っていたからだ。
せまい玄関で二人の体はぶつかった。それを合図のように、月島は青葉の体を抱き締めていた。
「言わないといけないこと…今なら言ってやるよ。青葉…逢いたかった。寂しかったか」
「先生…逢いたかった…」
青葉の腕が、月島の首に回される。そのまま唇が重なるまでの時間は、何秒もなかった。
唇は冷たくかさついている。頬はぴりぴりとした感じだ。青葉がここにいた時間の長さの証明だった。
「痩せたんじゃないか。駄目だぞ。一人暮らしになったからって、食事をいい加減に済ませたら駄目だ。学園の寮で夕食だけでも毎日食べろよ」
「やだな、先生。まだ俺らの学校の先生のつもり?」
「青葉が…竜司《りゅうじ》って呼ばないからだ」
まだ靴も脱いでいないのに、ドア一枚で外界を遮断した途端に、二人の気分はすっかり甘いものになっている。
一度抱き合ってしまったら、もう離れることが出来なくなっていた。
何度もキスをしているうちに、やっと片方の靴が脱げた。両方脱げても、まだ玄関から上がることも出来ない。
*この続きは製品版でお楽しみください。
長官は月島に向かって言った後、今度は佐倉を見つめた。
「それじゃ、息子の光洋君。打ち合わせをやり直そうか」
「はっ、はいっ」
嬉しそうな佐倉に比べて、月島はあーあとため息をついていた。
久しぶりに自宅に帰る。明日には新幹線で戻らないといけないのが、少しばかり憂鬱だ。
マンションのエレベーターを降りると、ドアの前に蹲っている姿が真っ先に目に入った。
「青葉っ!」
慌てて月島は駆け寄った。
「いつから待ってたんだ。電話するって言っただろ」
「……電話されてから出て来たんじゃ、時間がもったいないよ。それとも邪魔だった?」
青葉は顔だけ上げて、月島を見ていた。
その目は潤んでいる。きっとこうして待っている間にも、若者らしい感情の高ぶりに翻弄されていたのだろう。
「邪魔なわけがないだろ。寒くなかったか? 飯はどうした。腹減ってないか」
「そんな心配よりさ、もっと、言わないといけないことがあるんじゃないの」
恨めしそうに青葉は言う。
月島は急いで鍵を差し込んだ。
「入れ…まずは入ってからだ」
「…ん…」
青葉はのろのろと立ち上がり、月島の部屋に入ってきた。
合い鍵をあげておけばいいのかもしれない。なのに月島はあえて渡さない。まだ高校生である青葉との間に、きちんとした距離を置こうと思っていたからだ。
せまい玄関で二人の体はぶつかった。それを合図のように、月島は青葉の体を抱き締めていた。
「言わないといけないこと…今なら言ってやるよ。青葉…逢いたかった。寂しかったか」
「先生…逢いたかった…」
青葉の腕が、月島の首に回される。そのまま唇が重なるまでの時間は、何秒もなかった。
唇は冷たくかさついている。頬はぴりぴりとした感じだ。青葉がここにいた時間の長さの証明だった。
「痩せたんじゃないか。駄目だぞ。一人暮らしになったからって、食事をいい加減に済ませたら駄目だ。学園の寮で夕食だけでも毎日食べろよ」
「やだな、先生。まだ俺らの学校の先生のつもり?」
「青葉が…竜司《りゅうじ》って呼ばないからだ」
まだ靴も脱いでいないのに、ドア一枚で外界を遮断した途端に、二人の気分はすっかり甘いものになっている。
一度抱き合ってしまったら、もう離れることが出来なくなっていた。
何度もキスをしているうちに、やっと片方の靴が脱げた。両方脱げても、まだ玄関から上がることも出来ない。
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