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解説
深夜ラジオ番組の人気パーソナリティー、勝又信吾。局の都合で急遽変更になったラジオ局のDJブースは、開局当時、アナウンサーが怪死を遂げた場所だった。
生放送はいつもようにスタートした。しかし、小学生の少女の悩みを聞いている信吾の耳に、いきなり怪しい女の声が聞こえてくる。薄気味悪い笑い。「嘘つき」と囁く声。混線なのか、それとも……? ラジオのDJブースは“恐怖”に堕ちる。まるで彼を呪い殺そうとでもするかのように……。
佐藤隆太主演の人気ホラー映画のノベライズ作品が登場!
生放送はいつもようにスタートした。しかし、小学生の少女の悩みを聞いている信吾の耳に、いきなり怪しい女の声が聞こえてくる。薄気味悪い笑い。「嘘つき」と囁く声。混線なのか、それとも……? ラジオのDJブースは“恐怖”に堕ちる。まるで彼を呪い殺そうとでもするかのように……。
佐藤隆太主演の人気ホラー映画のノベライズ作品が登場!
抄録
俺、勝又真吾、二十六歳。
一応、ラジオのメインパーソナリティなんかやっちゃって、一応、“恋愛の達人”なんて言われてる。ま、一応ね、一応。
今、本番一時間前。
オンナがぎりぎりまで一緒にいてくれっていうからさ、だから、こうやって、車をかっとばしてるワケ。
え? 何見てんの? 右手の包帯? あぁ、コレか。これは、ちょっと……うん、そう、軽くケガしちゃってさ。
いいじゃんいいじゃん、そんなこと。今日も盛り上がっていこうよ。
男は、目で恋をする……女は、耳で恋に落ちる……
勝又真吾の『東京・ラブコレクション!』
「えー、時刻は深夜0時になりました。さあ、今夜もスタートした“ラブコレ”こと『東京・ラブコレクション』、えー、あなたの愛の悩み、恋の悩みに、私、勝又真吾が誠心誠意、全身全霊でお答えする恋愛エンターテイメント番組でございます。
さあ、今夜も今から生放送で九十分、がっつりとガツガツっといかせていただきますので、最後までよろしくおつきあいください。えー、さっそくですが、ここでメールを一発行きましょうか。目黒区の“ハニー・バニーちゃん”さんですね……」
これはやった人しかわからないかもしれないけど、九十分の生放送というのはなかなかキツい。
一応、恋愛エンターテイメント番組だから、リスナーの恋の悩みなどを聞いてやるわけだ。もちろん、「くっだらねえ」と思うものも、なかには……いや、八割以上かな、ある。でも、そこは“恋愛の達人・勝又真吾”、そんなそぶりは見せませんよ。
まあ、見せたところでラジオだから、リスナーにはちっとも伝わらないんだけど。言葉に詰まるような場合だってそうよ。ちょっと間があれば、その分、「あー、真吾さん、私のこと、真剣に考えてくれてるんだ」なんて、都合のいい解釈をしてくれる。
「『ずっと前から好きだった男の人に、二年越しの思いを込めて、思い切って告白しました。……ですが、結果はあえなく玉砕。すごくショックでした。しかし、許せなかったのはその後の彼の一言……“このこと誰にも言わないでね”』。……うわ、ちぃせえ男だな、こいつは……『真吾さん、あの一言はホントに許せません』ということなんですけども。……いやぁ、これはねえ、たしかに許せないよねぇ。同性の俺から見ても、最悪のケースですね。うん、殴ってやれ! 0点……」
実は今日、共同放送のいつものスタジオに到着したら、誰もいなかった。ったく、パーソナリティより遅く来るスタッフがどこにいるんだよ。
と思っていたら、長谷川彰英が走りこんできた。コイツはAD兼放送作家見習い。たしか、歳は二十五歳くらいだったか、そう、おれと大して変わらなかったはずだ。ま、そんなことどうでもいいんだけど。
聞くと、収録スタジオが変更になったから移動しろと言う。面倒くせえなあ。そんなの最初に言っておけよ。
いつもは、四階にある明るいガラス張りの現代的なスタジオなんだけど、今日のところは違う。エレベーターに乗ると、それは一階で止まらず、そのままどんどん下がって、地下四階まできた。
ドアが開いたとたん、なんだかひんやりしていて、さっきよりも二、三度気温が下がったように感じて、思わずぶるっと身震いしてしまった。
「えー、そこで本日のテーマですが、『許せない一言』。『許せない一言』です。彼氏に言われた許せない一言、彼女に言われた許せない一言、別れ話の最中の許せない一言、うーん、ありますねえ……。いや、でも、相手が何げなく言った一言でも立ち直れなくなるときってあるからね、ホント。いや、言葉って怖いですよねー。
*この続きは製品版でお楽しみください。
一応、ラジオのメインパーソナリティなんかやっちゃって、一応、“恋愛の達人”なんて言われてる。ま、一応ね、一応。
今、本番一時間前。
オンナがぎりぎりまで一緒にいてくれっていうからさ、だから、こうやって、車をかっとばしてるワケ。
え? 何見てんの? 右手の包帯? あぁ、コレか。これは、ちょっと……うん、そう、軽くケガしちゃってさ。
いいじゃんいいじゃん、そんなこと。今日も盛り上がっていこうよ。
男は、目で恋をする……女は、耳で恋に落ちる……
勝又真吾の『東京・ラブコレクション!』
「えー、時刻は深夜0時になりました。さあ、今夜もスタートした“ラブコレ”こと『東京・ラブコレクション』、えー、あなたの愛の悩み、恋の悩みに、私、勝又真吾が誠心誠意、全身全霊でお答えする恋愛エンターテイメント番組でございます。
さあ、今夜も今から生放送で九十分、がっつりとガツガツっといかせていただきますので、最後までよろしくおつきあいください。えー、さっそくですが、ここでメールを一発行きましょうか。目黒区の“ハニー・バニーちゃん”さんですね……」
これはやった人しかわからないかもしれないけど、九十分の生放送というのはなかなかキツい。
一応、恋愛エンターテイメント番組だから、リスナーの恋の悩みなどを聞いてやるわけだ。もちろん、「くっだらねえ」と思うものも、なかには……いや、八割以上かな、ある。でも、そこは“恋愛の達人・勝又真吾”、そんなそぶりは見せませんよ。
まあ、見せたところでラジオだから、リスナーにはちっとも伝わらないんだけど。言葉に詰まるような場合だってそうよ。ちょっと間があれば、その分、「あー、真吾さん、私のこと、真剣に考えてくれてるんだ」なんて、都合のいい解釈をしてくれる。
「『ずっと前から好きだった男の人に、二年越しの思いを込めて、思い切って告白しました。……ですが、結果はあえなく玉砕。すごくショックでした。しかし、許せなかったのはその後の彼の一言……“このこと誰にも言わないでね”』。……うわ、ちぃせえ男だな、こいつは……『真吾さん、あの一言はホントに許せません』ということなんですけども。……いやぁ、これはねえ、たしかに許せないよねぇ。同性の俺から見ても、最悪のケースですね。うん、殴ってやれ! 0点……」
実は今日、共同放送のいつものスタジオに到着したら、誰もいなかった。ったく、パーソナリティより遅く来るスタッフがどこにいるんだよ。
と思っていたら、長谷川彰英が走りこんできた。コイツはAD兼放送作家見習い。たしか、歳は二十五歳くらいだったか、そう、おれと大して変わらなかったはずだ。ま、そんなことどうでもいいんだけど。
聞くと、収録スタジオが変更になったから移動しろと言う。面倒くせえなあ。そんなの最初に言っておけよ。
いつもは、四階にある明るいガラス張りの現代的なスタジオなんだけど、今日のところは違う。エレベーターに乗ると、それは一階で止まらず、そのままどんどん下がって、地下四階まできた。
ドアが開いたとたん、なんだかひんやりしていて、さっきよりも二、三度気温が下がったように感じて、思わずぶるっと身震いしてしまった。
「えー、そこで本日のテーマですが、『許せない一言』。『許せない一言』です。彼氏に言われた許せない一言、彼女に言われた許せない一言、別れ話の最中の許せない一言、うーん、ありますねえ……。いや、でも、相手が何げなく言った一言でも立ち直れなくなるときってあるからね、ホント。いや、言葉って怖いですよねー。
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