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シンデレラの夜と昼

シンデレラの夜と昼


発行: 集英社
レーベル: コバルト文庫
価格:430pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 図子 慧(ずし けい)
 5月9日、愛媛県生まれ。牡牛座のA型。1986年、第8回コバルト・ノベル大賞に「クルト・フォルケンの神話」で入選。恋愛小説・学園小説などの分野で、硬質な感性を生かした傑作を次々と発表する。ミステリーやSFへの深い造詣を発揮した作品も多い。
 主な著書に「ルドルフォ」「桃色珊瑚」「十二月王子」「緋色の館」などがある。趣味は油絵と昼寝。

解説

 〈加賀忍と同棲すれば、百万円支払うって!?〉
 ヒカルは、大学をやめて見合いをしろという父親とケンカして、学費の仕送りを打ち切られてしまった。そこへ後藤という正体不明の人物から、うまい話が転がりこんだ。背に腹はかえられないヒカルは、早速引き受け、友人の玉坂と行った芝居小屋で加賀と知り合った。でも、どうすれば同棲にまで持ちこめるのか見当もつかない。何かいい方法は……!?

目次

プロローグ
(1)昼
(2)夜
(3)朝へ

抄録

 一体、あたしの足を払った犯人は、だれだろう。黒い服といえば、すぐ後藤が思い浮かぶ。だけど、もしそうなら、なんのために。
 昼休み、グラウンドそばの芝生で、うとうとしながら考えていると、急に息ができなくなった。
 く、苦しい、死んじゃうよ。
 「ブハッ」
 目を開くと、玉坂くんが鼻をつまんでいた。
 「ンもう!」
 噛みついてやろうと起き上がったあたしの鼻先に、彼が素早くホットドックを突きつけた。ためらわず、それにかぶりつく。
 「なんで、毎日毎日、食べる間も惜しんで眠るワケ?」
 食べながら、あたしは答えた。
 「カタレプシー(全身硬直症)にかかったの」
 「夜のバイトをしているやつは、みんなそう言うけど、まさかなぁ」
 「ピンポーン」
 「ヒカルちゃんが水商売?」
 「ブーブー」
 玉坂くんは、けげんそうな顔をした。
 「じゃあ、何やってんの」
 「人間枕」
 彼はバカと言って、あたしの頭をこづいた。
 「ベビーシッターだろ? 変なこと言うなよ」
 眠るまでお守をするのだから、ベビーシッターと言えなくもない。あたしはうなずいた。
 玉坂くんが、さりげない調子でたずねた。
 「ところでさ、加賀さんとは、あれから会ったりした?」
 一秒の間に、あたしの頭はめまぐるしく回転した。
 思考が光速で働くものなら、あたしの両目は、B級映画のエスパー並にピカッと光ったことだろう。
 二秒後、あたしは首をふった。
 「ううん、ぜんぜん。彼がどうかしたの?」
 「いや、なんでもないんだ」
 玉坂くんは、ニコッと笑った。
 笑顔が、とても痛い。あたしは目を伏せた。
 「ところで、また芝居のタダ券があるんだけど」
 「芝居って、まさか、あの芭沙羅団?」
 あたしは顔をしかめた。
 「今度はシリアスだぜ。なんせ脚本があの、サム・シェパード……」
 え、とあたしは声をあげた。
 「サム・シェパードって、ライト・スタッフに出て、パリ・テキサスの脚本書いたあの、」
 「そのシェパードの脚本を和風に仕立て直して、万延元年愛の悲劇(フール・フォア・ラブ)……」
 あたしは、片手をふった。
 「やめとく」
 おもしろいんだぜーと、玉坂くんは弁護してたけど、想像つくもん。ご遠慮しときます。

 加賀さんの部屋へ帰るまえに、自分のアパートへよってみた。
 郵便物がきていた。ダイレクトメール、友達の手紙、親からの葉書もあった。
 親父殿、ついに和解する気になったかと、裏をひっくり返して見ると。
 「まいったか」の一言だけ。
 ドーンと虚脱感。
 ほんとにかわいくない親!
 一緒に、「親展」つきの銀行からのふりこみ通知があった。
 残高はゼロのはずだ。あたしは、首をかしげながら、封を切った。
 10ガツ2カ、¥500,000、ゴニュウキン。
 胃袋を冷たい手で、ギュッと握りつぶされたような気がした。後藤は、約束を守ったのだ。

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