和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>若者
著者プロフィール
池戸 裕子(いけど ゆうこ)
9月10日生。A型。東京都在住。
本業(ライター)よりも、最近は耽美小説の仕事の方が多くなってしまった。忙しい時の息抜きは、娘と一緒のお出かけ。最近買った『ジュラシックパーク』のビデオがお気に入り。挿絵担当の七瀬かいをはじめとする仲間たちと5人で同人誌サークル「プリッツ倶楽部」の活動も行っている。夢は、一話完結でシリーズものの娯楽大作を一生に一度はものにすること。そしていつかは時代劇にも挑戦したい。
近著に『2番目の恋人』(オークラ出版)と『LETTERS』(ワニブックス)がある。
9月10日生。A型。東京都在住。
本業(ライター)よりも、最近は耽美小説の仕事の方が多くなってしまった。忙しい時の息抜きは、娘と一緒のお出かけ。最近買った『ジュラシックパーク』のビデオがお気に入り。挿絵担当の七瀬かいをはじめとする仲間たちと5人で同人誌サークル「プリッツ倶楽部」の活動も行っている。夢は、一話完結でシリーズものの娯楽大作を一生に一度はものにすること。そしていつかは時代劇にも挑戦したい。
近著に『2番目の恋人』(オークラ出版)と『LETTERS』(ワニブックス)がある。
解説
「俺を抱きたきゃ、つかまえてみろよ。ただし、俺も本気で逃げてやる――」可知碧の挑発に、布施竜大はマジになった。あいつの方から“逃げて、追いかけて”のゲームの賽を振ってきたのだ。布施は自分の欲望に忠実になることにした。ゲームオーバーだけはゴメンだぜ――と。ちょっとコミカル、かなりスリリング。そして超大胆なマル秘ラブシーン!! 池戸裕子、七瀬かいのゴールデンコンビが描くスーパー・ラブアクション!!
目次
RUN AFTER
お前とHEAVEN
EDEN
あとがき
お前とHEAVEN
EDEN
あとがき
抄録
「もう、キツイ?」
俺はわかっているくせにわざとそう聞いて、下着の上から可知の男を包み込む。布地一枚隔てても伝わってくる、ドクドクとした脈動と熱と。それをぎゅっと強く握りしめる。
「は――あぁ」
可知の美しく締まった下腹に、さっと震えの波が走った。眉根を寄せ、どうにか喘ぎを殺そうと唇を噛みしめる可知に俺はうっとりと目を細めた。夢で見たより、ずっと“いい顔”をする。
俺はもう一度ナイフを手に取ると、ジーンズ同様、下着もズタズタに切り落とした。
不思議だった。可知が俺と同じ男なんだというこれ以上ないだろう象徴を目の当たりにしても、少しの嫌悪感も湧いてこない。好きな女の脚を開かせた時と、なにも変わらない。身体のどこか奥深いところからグッとこみ上げてくるものがある。
俺は、愛しくさえ感じるそこへと顔を埋めようとして、気がついた。下着に隠れていてわからなかった。皮膚の薄い、きわどい場所に、半分消えかかり薄くなってはいるが薄紫色の跡が残っているのを見つけたのだ。
俺の知らない誰かのつけたキスマーク。
「へぇ、これはこれは……。つい最近もお楽しみだったってことか」
言いながら、俺は自分の言葉に頭の片隅がカッと熱くなるのを感じた。
「相手は彼女じゃなくて、男か……。そうだよな。女の子じゃ、なかなかこんなとこまではキスしてくれねぇよな」
ふいにこみ上げてきた乱暴な感情のまま、ギリッとそこに爪をたてると、可知はピクンと身体をはね上げた。痣に重なって、俺の爪痕が赤く浮いてくる。
(嫉妬かよ。ざまぁねぇな)
俺は一人苦笑いすると、止まっていた愛撫を再開した。
俺がこいつに惚れてるってのは……たぶん、本当のことなんだろう。
もとから友達だったわけでもない。お互いのことはなにも知らず、一緒にメシを食ったことさえないのに、性別の壁も吹っ飛ばして惚れちまうってことは……。俺にとって、この恋は永遠に解けない謎みたいなものだ。でも、それ故に、理由もなく盲目的に俺はこいつが欲しい。
「も……よせ――」
舌を絡めて二、三度甘噛みしただけで、可知は切羽つまった声を上げた。止まらない喘ぎが俺の耳に甘く届く。俺は突然、自分の手で達かされる可知の、“その瞬間の表情《かお》”を見たいという強い衝動に駆られた。
俺はいったん身体を離し、可知を抱きしめ,
「達けよ。見ててやるから」
と、その顔をのぞきこんだ。長めの後ろ髪を握ってグイと引き、顔が俺の方を向くように固定してから、あいている一方の手で可知の猛る男を握る。
「んっ――ん、あ……」
追い立てようと、わざと手荒にそこを扱いてやる。先走った蜜で濡れそぼる先端に、指を立て細かなバイブレーションを送る。
「あ、あ……射《で》、る――っ」
まさに弾けるという言葉通り、極みの瞬間、ひと回り大きく膨らんだ雄は、次には……時間をかけてゆっくり悦びを引き出した分だけ勢いよく、歓びを吹き零していた。そして可知は、俺の腕の中でえも言われぬ恍惚の表情を見せてくれた。
「ちくしょ……」
ハァハァと肩を上下に揺らしながら、可知が悔しそうに言葉を飲み込んだ。
「誰が……優しくする……って? 嘘、つけ。人を……散々、焦らしやがって……」
切れ切れに訴える。
悔しいと、こうやって馬鹿正直に負け惜しみな表情を見せる可知にも、俺は初めてお目にかかる。自然と微笑いが洩れた。
「でも、よかったんだろう? 達った時の表情をお前に見せてやれなくて、残念だよ」
俺の意地の悪い台詞に、可知の瞼がゆっくりと開いた。機嫌を損ねたブルーの瞳は、やがて怪訝そうに顰められる。
「そういうあんたは……あんまり気分いいって顔してないね」
「俺が?」
「抱いてみて、やっぱり俺は好みじゃなかったとか?」
「まさか」
「これぐらいで息切れする年じゃないだろう?」
「当然だ。二十九でセックスする体力も残ってなかったら、俺はとっとと首を吊ってるね」
「……? 布施さん、ホント顔色悪いぜ?」
真顔になった可知に、俺はフフンと笑ってみせた。
「相手がお前で興奮し過ぎたんだよ。身体中の血が一カ所に集中しちまってて、それで青白く見えるんだろう? そんなことより――」
俺は、可知の放ったもので濡れている指を、双つの丘の狭間に忍び込ませた。可知は喉で息を殺し、俺を見る目を大きくした。
「お前は男を知ってる。……ってことは、こんなのじゃ満足できないってことだ。これから先、もっとよくなるのをお前は知ってるはずだ」
探り当てた蕾に、ツプッと中指をもぐりこませる。可知はすんなりそれを受け入れた。
「う……んっ」
「すごいよ。中がひくひく動いてる」
「ああっ……」
「一本じゃ物足りないだろう? もう一本、増やしてみようか?」
四肢の自由を奪われた可知は、俺の思うがままだ。拒む言葉は口にできても、本当に拒むことはできない。それがわかっているからか。俺が入りやすいように、可知が身体の力を抜いた気配がした。
俺はわかっているくせにわざとそう聞いて、下着の上から可知の男を包み込む。布地一枚隔てても伝わってくる、ドクドクとした脈動と熱と。それをぎゅっと強く握りしめる。
「は――あぁ」
可知の美しく締まった下腹に、さっと震えの波が走った。眉根を寄せ、どうにか喘ぎを殺そうと唇を噛みしめる可知に俺はうっとりと目を細めた。夢で見たより、ずっと“いい顔”をする。
俺はもう一度ナイフを手に取ると、ジーンズ同様、下着もズタズタに切り落とした。
不思議だった。可知が俺と同じ男なんだというこれ以上ないだろう象徴を目の当たりにしても、少しの嫌悪感も湧いてこない。好きな女の脚を開かせた時と、なにも変わらない。身体のどこか奥深いところからグッとこみ上げてくるものがある。
俺は、愛しくさえ感じるそこへと顔を埋めようとして、気がついた。下着に隠れていてわからなかった。皮膚の薄い、きわどい場所に、半分消えかかり薄くなってはいるが薄紫色の跡が残っているのを見つけたのだ。
俺の知らない誰かのつけたキスマーク。
「へぇ、これはこれは……。つい最近もお楽しみだったってことか」
言いながら、俺は自分の言葉に頭の片隅がカッと熱くなるのを感じた。
「相手は彼女じゃなくて、男か……。そうだよな。女の子じゃ、なかなかこんなとこまではキスしてくれねぇよな」
ふいにこみ上げてきた乱暴な感情のまま、ギリッとそこに爪をたてると、可知はピクンと身体をはね上げた。痣に重なって、俺の爪痕が赤く浮いてくる。
(嫉妬かよ。ざまぁねぇな)
俺は一人苦笑いすると、止まっていた愛撫を再開した。
俺がこいつに惚れてるってのは……たぶん、本当のことなんだろう。
もとから友達だったわけでもない。お互いのことはなにも知らず、一緒にメシを食ったことさえないのに、性別の壁も吹っ飛ばして惚れちまうってことは……。俺にとって、この恋は永遠に解けない謎みたいなものだ。でも、それ故に、理由もなく盲目的に俺はこいつが欲しい。
「も……よせ――」
舌を絡めて二、三度甘噛みしただけで、可知は切羽つまった声を上げた。止まらない喘ぎが俺の耳に甘く届く。俺は突然、自分の手で達かされる可知の、“その瞬間の表情《かお》”を見たいという強い衝動に駆られた。
俺はいったん身体を離し、可知を抱きしめ,
「達けよ。見ててやるから」
と、その顔をのぞきこんだ。長めの後ろ髪を握ってグイと引き、顔が俺の方を向くように固定してから、あいている一方の手で可知の猛る男を握る。
「んっ――ん、あ……」
追い立てようと、わざと手荒にそこを扱いてやる。先走った蜜で濡れそぼる先端に、指を立て細かなバイブレーションを送る。
「あ、あ……射《で》、る――っ」
まさに弾けるという言葉通り、極みの瞬間、ひと回り大きく膨らんだ雄は、次には……時間をかけてゆっくり悦びを引き出した分だけ勢いよく、歓びを吹き零していた。そして可知は、俺の腕の中でえも言われぬ恍惚の表情を見せてくれた。
「ちくしょ……」
ハァハァと肩を上下に揺らしながら、可知が悔しそうに言葉を飲み込んだ。
「誰が……優しくする……って? 嘘、つけ。人を……散々、焦らしやがって……」
切れ切れに訴える。
悔しいと、こうやって馬鹿正直に負け惜しみな表情を見せる可知にも、俺は初めてお目にかかる。自然と微笑いが洩れた。
「でも、よかったんだろう? 達った時の表情をお前に見せてやれなくて、残念だよ」
俺の意地の悪い台詞に、可知の瞼がゆっくりと開いた。機嫌を損ねたブルーの瞳は、やがて怪訝そうに顰められる。
「そういうあんたは……あんまり気分いいって顔してないね」
「俺が?」
「抱いてみて、やっぱり俺は好みじゃなかったとか?」
「まさか」
「これぐらいで息切れする年じゃないだろう?」
「当然だ。二十九でセックスする体力も残ってなかったら、俺はとっとと首を吊ってるね」
「……? 布施さん、ホント顔色悪いぜ?」
真顔になった可知に、俺はフフンと笑ってみせた。
「相手がお前で興奮し過ぎたんだよ。身体中の血が一カ所に集中しちまってて、それで青白く見えるんだろう? そんなことより――」
俺は、可知の放ったもので濡れている指を、双つの丘の狭間に忍び込ませた。可知は喉で息を殺し、俺を見る目を大きくした。
「お前は男を知ってる。……ってことは、こんなのじゃ満足できないってことだ。これから先、もっとよくなるのをお前は知ってるはずだ」
探り当てた蕾に、ツプッと中指をもぐりこませる。可知はすんなりそれを受け入れた。
「う……んっ」
「すごいよ。中がひくひく動いてる」
「ああっ……」
「一本じゃ物足りないだろう? もう一本、増やしてみようか?」
四肢の自由を奪われた可知は、俺の思うがままだ。拒む言葉は口にできても、本当に拒むことはできない。それがわかっているからか。俺が入りやすいように、可知が身体の力を抜いた気配がした。
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