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解説
それは地球が銀河連邦に加入したばかりの頃、辺境星域前線に赴任する途中の銀河連邦軍司令官・リューク・ゼオを乗せた艦が地球に寄港した日のことだった。宙港ビルでアルバイトをしていた大学生・暮林章は、何者かに追われていた絶世の美少女を助けるが、その美少女は、実は男だった?!
その少年・ジェイドとの出会い、そして辛い別れは、生涯にわたり章の胸を苛み続けた。だが、そんな彼をある日訪れたのは……。今、時空を超えた恋が新たに始まる!
(この作品には両性具有に関する表現が含まれます)
その少年・ジェイドとの出会い、そして辛い別れは、生涯にわたり章の胸を苛み続けた。だが、そんな彼をある日訪れたのは……。今、時空を超えた恋が新たに始まる!
(この作品には両性具有に関する表現が含まれます)
目次
第一章 始まりの話
第二章 それぞれの災難
第三章 ジェイドとリューク
第四章 休暇一日目
第五章 休暇二日目
第六章 帰還
第二章 それぞれの災難
第三章 ジェイドとリューク
第四章 休暇一日目
第五章 休暇二日目
第六章 帰還
抄録
次の朝俺は、誰かがしきりに呼ぶ声で目を覚ました。
「お腹空いたなぁ、アキラ君。アキラ君? ──アキラく〜ん」
昨日連れて帰ったあいつだと思い出すが、そのまま知らんぷりで目を閉じていた。
がさがさと音がする。どうやら蒲団の上は、キャンディーとチョコレートの包み紙でいっぱいらしい。
「お腹空いた。アキラ、──お腹空いたなぁ……」
大学の講義が無い月曜日の午前中は、昼まで寝るのが俺の習慣だ。
(なんで居候の飯の支度に起き出さなきゃならないんだ……?)
「アキラ」
顔を挟む両手の感触がした。
(何をする気だろう?)
そう疑問に思いつつも、俺は意地になって目を閉じていた。
(目を無理矢理に引っ張り開けるつもりか? ──いや、待て……)
不気味な想像が一瞬脳裏をよぎる。
(相手は得体の知れない宇宙人だ。空腹に耐えかねて、俺のことを頭から食べ始めたりして……)
「おはよう、アキラ」
唇に妙に温かい、柔らかいモノを感じた。 チョコレートの甘ったるい味が口の中に進入して来る。
俺は心身共に凍り付いた後、飛び起きた。
「な……な……なに……」
「やっと起きた!」
ジェイドは嬉しそうな顔をした。
「お前今、……キス……キス……」
ショックのあまり、銀河標準語がすらすら出て来ない。
「地球では、起きる時にこうするんだよね?」
「違う!」
相手の無邪気そうな表情を見ながら、生々しい感触を思い出して俺は赤面した。
「友達同士では、キスはしないんだ! それに、そういうキスは家族でもしないぞ?」
「友達──」
ジェイドは、全く違うポイントで目を潤ませた。
「僕達、友達なんだ──嬉しいな。初めてだよ、人間の友達なんて」
人間じゃない友達ってどんなだよ、と訊きたいところだったがやめた。相手は宇宙人だ。どんな話が飛び出すかわからない。朝っぱらからこれ以上珍妙な会話をするのはごめんだった。まだ何やら感動しているらしいジェイドを蒲団に残したまま、俺は台所に脱出した。
時計を見るとまだ七時半だ。
(冗談じゃない。生活のリズムが狂っちまうぜ)
冷蔵庫には卵が一つしか残っていなかった。一人暮らしの俺にはそれで充分だったはずなのだ。俺は卵焼きを作って二つに切ると、焼き上がった二枚のトーストに半切れずつ載せた。
「蒲団の上のゴミ、片付けろよぉ」
「でもダストシュートが無いんだけれど」
言われた通りに菓子の包み紙を集めながら、ジェイドはそう言った。
「そんな贅沢なものは無い。どこかにダストボックスが埋まってるだろう?」
俺はゴミを抱えた彼を追い払い、蒲団を丸めて押入に放り込んだ。小さい丸テーブルの足を立たせて部屋の真ん中に据え、ドリップしたコーヒーを二つ載せる。砂糖とミルクについて説明すると、ジェイドは嬉しそうに砂糖をたっぷり使った。
朝食の後で俺は押入からノート型端末を引っ張り出してネットに繋ぎ、ニュースをざっと確かめた。昨日連邦軍から脱走した少年兵の記事はどこにも無かった。報道するほど大きな事件では無いということなのだろうか。なおもニュースの羅列を追った俺は、シュベウケル号出発延期、の文字を見付けてギクリとする。確か、昨日入港した連邦軍の船はそういう名前ではなかったか?
「何て書いてあるの?」
*この続きは製品版でお楽しみください。
「お腹空いたなぁ、アキラ君。アキラ君? ──アキラく〜ん」
昨日連れて帰ったあいつだと思い出すが、そのまま知らんぷりで目を閉じていた。
がさがさと音がする。どうやら蒲団の上は、キャンディーとチョコレートの包み紙でいっぱいらしい。
「お腹空いた。アキラ、──お腹空いたなぁ……」
大学の講義が無い月曜日の午前中は、昼まで寝るのが俺の習慣だ。
(なんで居候の飯の支度に起き出さなきゃならないんだ……?)
「アキラ」
顔を挟む両手の感触がした。
(何をする気だろう?)
そう疑問に思いつつも、俺は意地になって目を閉じていた。
(目を無理矢理に引っ張り開けるつもりか? ──いや、待て……)
不気味な想像が一瞬脳裏をよぎる。
(相手は得体の知れない宇宙人だ。空腹に耐えかねて、俺のことを頭から食べ始めたりして……)
「おはよう、アキラ」
唇に妙に温かい、柔らかいモノを感じた。 チョコレートの甘ったるい味が口の中に進入して来る。
俺は心身共に凍り付いた後、飛び起きた。
「な……な……なに……」
「やっと起きた!」
ジェイドは嬉しそうな顔をした。
「お前今、……キス……キス……」
ショックのあまり、銀河標準語がすらすら出て来ない。
「地球では、起きる時にこうするんだよね?」
「違う!」
相手の無邪気そうな表情を見ながら、生々しい感触を思い出して俺は赤面した。
「友達同士では、キスはしないんだ! それに、そういうキスは家族でもしないぞ?」
「友達──」
ジェイドは、全く違うポイントで目を潤ませた。
「僕達、友達なんだ──嬉しいな。初めてだよ、人間の友達なんて」
人間じゃない友達ってどんなだよ、と訊きたいところだったがやめた。相手は宇宙人だ。どんな話が飛び出すかわからない。朝っぱらからこれ以上珍妙な会話をするのはごめんだった。まだ何やら感動しているらしいジェイドを蒲団に残したまま、俺は台所に脱出した。
時計を見るとまだ七時半だ。
(冗談じゃない。生活のリズムが狂っちまうぜ)
冷蔵庫には卵が一つしか残っていなかった。一人暮らしの俺にはそれで充分だったはずなのだ。俺は卵焼きを作って二つに切ると、焼き上がった二枚のトーストに半切れずつ載せた。
「蒲団の上のゴミ、片付けろよぉ」
「でもダストシュートが無いんだけれど」
言われた通りに菓子の包み紙を集めながら、ジェイドはそう言った。
「そんな贅沢なものは無い。どこかにダストボックスが埋まってるだろう?」
俺はゴミを抱えた彼を追い払い、蒲団を丸めて押入に放り込んだ。小さい丸テーブルの足を立たせて部屋の真ん中に据え、ドリップしたコーヒーを二つ載せる。砂糖とミルクについて説明すると、ジェイドは嬉しそうに砂糖をたっぷり使った。
朝食の後で俺は押入からノート型端末を引っ張り出してネットに繋ぎ、ニュースをざっと確かめた。昨日連邦軍から脱走した少年兵の記事はどこにも無かった。報道するほど大きな事件では無いということなのだろうか。なおもニュースの羅列を追った俺は、シュベウケル号出発延期、の文字を見付けてギクリとする。確か、昨日入港した連邦軍の船はそういう名前ではなかったか?
「何て書いてあるの?」
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