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和書>小説・ノンフィクション>文芸>日本文学>現代小説

著者プロフィール
悠崎 仁(ゆうざき じん)
産業カウンセラー、ペットロス・パラカウンセラー。獣医師免許をもつ。ショートホラーで創英社主催第10回超短編コンテスト優秀作品賞を受賞。同社刊「超短編傑作選Vol.3」および「超短編傑作選Vol.4」に作品を掲載。共に暮らしたうさぎを相継いで失った経験を元に、現在では、架空歴史小説の他、ペットやペットロスをテーマにした小説を主に手がける。
産業カウンセラー、ペットロス・パラカウンセラー。獣医師免許をもつ。ショートホラーで創英社主催第10回超短編コンテスト優秀作品賞を受賞。同社刊「超短編傑作選Vol.3」および「超短編傑作選Vol.4」に作品を掲載。共に暮らしたうさぎを相継いで失った経験を元に、現在では、架空歴史小説の他、ペットやペットロスをテーマにした小説を主に手がける。
解説
小動物臨床獣医師の家に飼われているペットたち。しかし、獣医師もまた、彼らとの別れのときを迎える。言うまでもなく、獣医師は、動物医療のプロ。病院で多くのペットたちの最期を診てきたヴェテランたち。そんな彼らが、自分のペットの死に何を感じたか。
これは、獣医師たちへの取材を通して入手した真実の物語。そして、飼い主たちが決して知ることのない白衣を脱いだ獣医師の姿。新たなるペットロスの世界を、「涙の滝の国の物語」シリーズの著者が渾身の筆致で描ききる!
これは、獣医師たちへの取材を通して入手した真実の物語。そして、飼い主たちが決して知ることのない白衣を脱いだ獣医師の姿。新たなるペットロスの世界を、「涙の滝の国の物語」シリーズの著者が渾身の筆致で描ききる!
目次
◆はじめに
◆第1章 「モモと桜の木」原案 獣医師S・R(女性)
◆第2章 「この命とともに」原案 獣医師N・F(女性)
◆第1章 「モモと桜の木」原案 獣医師S・R(女性)
◆第2章 「この命とともに」原案 獣医師N・F(女性)
抄録
お庭の桜が、また今年も花を咲かせました。
じっとしていると、汗ばむほどの暖かな陽射しを喜ぶように、満開の桜が、すこしかすむ青空を彩っています。
いいお天気。でも、週末は、もう雨になるという予報だから、お花見は早めにしておいたほうがいいな。
わたしは、娘たちを連れて、ひさしぶりにモモに会いに行こうと思いました。
お庭でランチになりました。
かんたんおにぎり。中身は、梅干し、かつおぶし、鮭のフレーク。 あ、そうそう、いただいたお新香もあったわ。
うすいピンクのはなびらが、敷いたござの上に、すこしだけ静かに舞い降ります。
ここは、モモのいるところ。
ずっと、わたしと暮らしてくれたモモは、この桜の木の下に眠っているのです。
モモは、わたしが獣医大学に通っていたとき、母が飼ってくれた雑種の犬。
わたしは、このモモに、今はもういない母の面影を感じていたように思います。
モモは女の子。そのせいか、穏やかな子だったなあ。そういう性格が大好きで、彼女は、子犬のときから、わたしの友だちでした。
雑種なのに、耳が大きいので、パピヨンの血がはいっているのかなあ、と。
長女と次女が生まれ、彼女たちが自分のことを自分でやれるようになるまで、10年かかりました。
その間、お休みしていた獣医師のお仕事を再開しようと思っていた頃、モモは、17歳になっていました。
体のあちこちが白くなって、目も白内障になり、歩みもふらつくようになっていました。
眠っていることが多くなりました。名前を呼んでも、知らん顔。
耳が遠くなっていたのです。
モモは、もうおばあさんでした。
月日は、病気知らずで飼い主の手を焼かすことを知らないモモを、まったく別の犬に変えてしまったかのようでした。
それほど、モモは、変わってしまったと、その時、わたしは思っていました。
モモは、それまで、この庭で、ずっと桜の木を見上げて生きてきました。
でも、もうそれもできなくなりました。
*この続きは製品版でお楽しみください。
じっとしていると、汗ばむほどの暖かな陽射しを喜ぶように、満開の桜が、すこしかすむ青空を彩っています。
いいお天気。でも、週末は、もう雨になるという予報だから、お花見は早めにしておいたほうがいいな。
わたしは、娘たちを連れて、ひさしぶりにモモに会いに行こうと思いました。
お庭でランチになりました。
かんたんおにぎり。中身は、梅干し、かつおぶし、鮭のフレーク。 あ、そうそう、いただいたお新香もあったわ。
うすいピンクのはなびらが、敷いたござの上に、すこしだけ静かに舞い降ります。
ここは、モモのいるところ。
ずっと、わたしと暮らしてくれたモモは、この桜の木の下に眠っているのです。
モモは、わたしが獣医大学に通っていたとき、母が飼ってくれた雑種の犬。
わたしは、このモモに、今はもういない母の面影を感じていたように思います。
モモは女の子。そのせいか、穏やかな子だったなあ。そういう性格が大好きで、彼女は、子犬のときから、わたしの友だちでした。
雑種なのに、耳が大きいので、パピヨンの血がはいっているのかなあ、と。
長女と次女が生まれ、彼女たちが自分のことを自分でやれるようになるまで、10年かかりました。
その間、お休みしていた獣医師のお仕事を再開しようと思っていた頃、モモは、17歳になっていました。
体のあちこちが白くなって、目も白内障になり、歩みもふらつくようになっていました。
眠っていることが多くなりました。名前を呼んでも、知らん顔。
耳が遠くなっていたのです。
モモは、もうおばあさんでした。
月日は、病気知らずで飼い主の手を焼かすことを知らないモモを、まったく別の犬に変えてしまったかのようでした。
それほど、モモは、変わってしまったと、その時、わたしは思っていました。
モモは、それまで、この庭で、ずっと桜の木を見上げて生きてきました。
でも、もうそれもできなくなりました。
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