和書>小説・ノンフィクション>エンターテインメント小説>ハードロマン小説
著者プロフィール
冴島 学(さえじま がく)
1960〜
長野県在住。京都外国大学卒。第19回小説CLUB新人賞受賞。小説CLUB誌で作家デビュー。現在は特選小説誌などで作品を発表。
1960〜
長野県在住。京都外国大学卒。第19回小説CLUB新人賞受賞。小説CLUB誌で作家デビュー。現在は特選小説誌などで作品を発表。
解説
韓国出張風俗「サラン」で働く沙羅は、28歳の誕生日に出会った客を最後に身体を売ることやめた。そしてこれからの人生を占い師の言葉を委ねてみることに。仙台へ行きクラブでホステスとして働き始めた沙羅は、税理士だという誠実な客にほのかな恋心を抱くようになる……恋焦がれた男の意外な正体は!? 大人のハードロマン!
目次
風俗出張
占い師
地方のクラブ
ムーンライト
スイートルーム
占い師
地方のクラブ
ムーンライト
スイートルーム
抄録
尾作は定期的に店を訪れ、沙羅を指名してくれたが、同伴をしてくれたり、食事に誘ってくれることはなかった。
沙羅は尾作のことを調べてみたくなった。
会話の中では、いろいろと知り得たのだが、それが本当なのかどうかを知りたくなった。
だが、真実を知った途端に、今まで好感をもっていた彼に幻滅するかもしれない。
尾作が山村や大川と一緒だとは思いたくなかったし、そうではないはずだとは思っても、実際にデータ社で調べるのは怖かった。
「尾作さん、韓国料理は嫌い? おいしいお店があるの。私にごちそうさせてくれない」
店の決まりでは自分からチップや同伴を要求してはいけないことになっている。
尾作がボルムッタルに通い始めて十ヶ月近くになる。沙羅が勤め始めてからは、すでに一年近くになっている。
しかし、沙羅は相手に払わせるのでなければ、店外デートをしても、店の決まりを破ったことにはならないだろうと思い、そう誘ってみた。
「ごめんなさい。沙羅ちゃん。僕は鈍感だったね。君にそんなこと言わせて。僕が誘わなければいけなかったね」
沙羅は純情な娘のように首を横に振った。
「そんなつもりじゃないの。ほんとに尾作さんと食事でもしたいと思って。営業じゃないのよ」
沙羅は尾作に心惹かれている自分に気づきはじめていた。同時に微かな性欲の疼きも意識した。
「正直なところ、沙羅ちゃんは人気者で僕が誘えるような人ではない、高嶺の花だと思ってたんだよ」
「私、そんなに高い女じゃありません。キムチとごはんがあればいい、安上がりの女よ」
尾作を改めて見ると、小柄だが、引き締まった身体でセックスも上手そうな気がした。来日して半年間で百人近い男を相手にし、その後一年近くはまったくしていない。
なくてもいられる。でも、ふと気づいてみると生身の身体が奥底から情欲の芽が顔を出し始めている。
中年の客の前では、それをすんなりと押さえることができたのだが、ほぼ同世代の尾作には、素直な気持になっていた。
「お寿司は好きかい」
「うん」
沙羅は弾んだ思いで返事をした。
「じゃあ、どこへ行こうかな」
「廻るのでいいよ」
「そんな安いところ」
「廻るとこがいいの」
沙羅はそういって、尾作の肩に頭をもたげた。
「どこまで信じたらいいんだろう」
尾作は戸惑っているようだ。
「たくさん信じて」
「信じたいね。その他大勢のうちの一人だったら、嫌だけれど沙羅ちゃんが僕に目を向けてくれたなら、僕はがんばりたいよ」
尾作は素直に語ってくれたような気がして、沙羅は心の充足感を日本に来て初めて味わったような気がした。
尾作と回転寿司に行く約束をしたことが、率直に嬉しかった。
ほんとの恋人同士のような光景を想像しながら、沙羅はアパートに帰った。
沙羅は携帯電話を見つめながら迷った。
尾作のことを調べたい。
でも、調べることは何か尾作を裏切るような気がした。
バスルームで一日の疲れを癒した。
鏡に映る裸身は、まだ衰えるということはなく、女として旬のものと自負できた。
*この続きは製品版でお楽しみください。
沙羅は尾作のことを調べてみたくなった。
会話の中では、いろいろと知り得たのだが、それが本当なのかどうかを知りたくなった。
だが、真実を知った途端に、今まで好感をもっていた彼に幻滅するかもしれない。
尾作が山村や大川と一緒だとは思いたくなかったし、そうではないはずだとは思っても、実際にデータ社で調べるのは怖かった。
「尾作さん、韓国料理は嫌い? おいしいお店があるの。私にごちそうさせてくれない」
店の決まりでは自分からチップや同伴を要求してはいけないことになっている。
尾作がボルムッタルに通い始めて十ヶ月近くになる。沙羅が勤め始めてからは、すでに一年近くになっている。
しかし、沙羅は相手に払わせるのでなければ、店外デートをしても、店の決まりを破ったことにはならないだろうと思い、そう誘ってみた。
「ごめんなさい。沙羅ちゃん。僕は鈍感だったね。君にそんなこと言わせて。僕が誘わなければいけなかったね」
沙羅は純情な娘のように首を横に振った。
「そんなつもりじゃないの。ほんとに尾作さんと食事でもしたいと思って。営業じゃないのよ」
沙羅は尾作に心惹かれている自分に気づきはじめていた。同時に微かな性欲の疼きも意識した。
「正直なところ、沙羅ちゃんは人気者で僕が誘えるような人ではない、高嶺の花だと思ってたんだよ」
「私、そんなに高い女じゃありません。キムチとごはんがあればいい、安上がりの女よ」
尾作を改めて見ると、小柄だが、引き締まった身体でセックスも上手そうな気がした。来日して半年間で百人近い男を相手にし、その後一年近くはまったくしていない。
なくてもいられる。でも、ふと気づいてみると生身の身体が奥底から情欲の芽が顔を出し始めている。
中年の客の前では、それをすんなりと押さえることができたのだが、ほぼ同世代の尾作には、素直な気持になっていた。
「お寿司は好きかい」
「うん」
沙羅は弾んだ思いで返事をした。
「じゃあ、どこへ行こうかな」
「廻るのでいいよ」
「そんな安いところ」
「廻るとこがいいの」
沙羅はそういって、尾作の肩に頭をもたげた。
「どこまで信じたらいいんだろう」
尾作は戸惑っているようだ。
「たくさん信じて」
「信じたいね。その他大勢のうちの一人だったら、嫌だけれど沙羅ちゃんが僕に目を向けてくれたなら、僕はがんばりたいよ」
尾作は素直に語ってくれたような気がして、沙羅は心の充足感を日本に来て初めて味わったような気がした。
尾作と回転寿司に行く約束をしたことが、率直に嬉しかった。
ほんとの恋人同士のような光景を想像しながら、沙羅はアパートに帰った。
沙羅は携帯電話を見つめながら迷った。
尾作のことを調べたい。
でも、調べることは何か尾作を裏切るような気がした。
バスルームで一日の疲れを癒した。
鏡に映る裸身は、まだ衰えるということはなく、女として旬のものと自負できた。
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本の情報
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