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薔薇は孤島で散りみだれ

薔薇は孤島で散りみだれ


発行: キリック
レーベル: シフォンノベルズ
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

 紅茶専門店を営む氷見とワケありで店を手伝う眞。ある日、氷見の高校時代の後輩・南雲が一通の手紙をたずさえて来店する。手紙は、高校の演劇部のメンバーで集まろうという再会の誘い。しかし、差出人はこの世にいないはずの人物からであった……。不安を募らせた南雲の頼みで、この集いに同行することになった氷見。そして、氷見の意向で無関係の眞まで強制参加させられて、一行は一路、指定先である「薔薇の館」のある孤島へと旅立つのであった──。ミステリーツアーは愛の罠!?
※こちらの作品にはイラストが収録されていません。

抄録

「中條さんが一ノ瀬くんからもらった薬を飲むのに必要だろうと思って、お水をもらってきたんです」
「あ」
 そういえば船酔いで苦しんでいたのだった。
 話に熱中していたせいか、眞はそのことを忘れてしまっていた。
 しかし、言われるとまた体のほうも揺れを思い出し、気持ち悪くなってくる。
「なんだ、船酔いだったのか。それは苦しいだろう。南雲、水を貸せ。俺が飲ませよう」
 神前は半ば奪い取るように南雲から水を受け取り、口をつけようとする。
「あ、あの。僕にも水を少し、取っておいてくださいね」
 眞は神前が水を飲んでしまおうとしているんだと思い、控えめに自分の要求を告げた。
 本音としては、飲みたいなら自分の分は自分で取ってきて欲しいのだが……。
 しかし、眞の心配をよそに、神前は明るく笑った。
「ああ、違う違う。俺が飲むんじゃない。苦しいなら飲ませてやろうかと思ってな」
「え……飲ませるって」
「口移しで」
「!!?」
 神前の言葉を理解した途端、眞の顔がばっと真っ赤に染まった。
 誰の目から見ても分かる赤さで、眞自身も自分の目からは見えないが、ほほの熱さから察するに、きっと今、自分は真っ赤な顔をしているだろうと予測できた。
 一方、言った神前のほうは悠然と笑っている。
「何か嫌な理由でもあるのか?」
「あ、いえ、あの……」
 理由とかそんな問題ではないはずなのだが、神前の切れ長の瞳に見つけられると、その瞳の魔力に、言葉が止まってしまう。
 魅入られて、動きが取れない眞に、ゆっくりと神前が近づくが、その手にあったグラスを、氷見がひょいっと取り上げた。
「そうそう面倒をかけてもらうわけには行かないんでね。どうしても必要なら僕が引き受けよう。さて、眞。どうする?水は飲ませて欲しいのかい?」
 相手が神前から話し慣れた氷見に代わり、眞も普段の調子を取り戻す。
「の、飲ませてなんて欲しくないですよ!自分で飲みます!!」
 眞は氷見から水を引ったくり、一ノ瀬がくれた薬を一気に胃へと流し込んだ。
 そんなにすぐ効き目が現れるはずもないのだが、プラシーボ効果というやつか、飲んだおかげで少し楽になった気もする。
 薬を飲み終えて一息ついた眞の肩を、氷見がポンと叩いた。
「さて、後は少し横になるといい。部屋に帰ろうか、眞」
「あ、はい……」
 先ほどまでは部屋になんていると酔ってしまうと思い、デッキに出たはずなのだが、今はなんとなく座りたい。というか寝たい。
 効き目が高くて、効くのが早い薬なのだろうか。
「それじゃ、俺たちも一度、部屋に戻りますよ。また、向こうでお会いしましょう」
 神前は氷見に丁寧に挨拶し、南雲に手を振って、眞に意味ありげな視線を送りながら、去っていった。
 一ノ瀬もその後を追うように歩き出そうとしたが、氷見がそれを呼び止めた。
「一ノ瀬」
「はい?」
 優雅に振り向く後輩に、氷見は周囲に聞こえないように声を小さくして尋ねた。
「今もまだ神前と付き合っているのかい?」
 その問いかけに、一ノ瀬は優雅な微笑を崩さずに答える。
「今も、って問いと、付き合っているという言葉の意味を図りかねますが……まぁ何かのときに一緒に出かけたり、仲良くは暮らしていますよ」
「仲良く……ね」
 氷見は何か言いたげであったが、強く追及はせず、そのまま一ノ瀬を見送った。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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