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解説
中小化学薬品メーカー・喜美津化学の品証部に勤務する阿久津弘は初の四大理系卒のホープとして期待されている身。そんな弘が社命でフォークリフトの免許を取ることに。慣れない乗り物の操作に難儀する中、指導係として遣わされてきたのは製造部の若頭・前原健一郎。弘と同い年であるにもかかわらず同僚からの信頼も厚く、独特の迫力と風格を持ったこの男に、弘はとある出来事がきっかけで苦手意識を持っていたのだが、意外にも前原の方は――。それなりに平和な工場ライフを送っていた弘を襲う前代未聞の“男×男”関係、ガテン系濃密ラブ!
目次
■ 許可証をください!
■ クレーム受けます!〈前編〉
■ クレーム受けます!〈後編〉
■ 消火訓練デー
■ クレーム受けます!〈前編〉
■ クレーム受けます!〈後編〉
■ 消火訓練デー
抄録
「阿久津さぁ〜ん!」
「え? …あれ、タキくん!?」
バス停の手前で呼びかけられ、見れば今度は製造部の新人、滝田が前原のバイクに跨って待っているではないか。後から後から、いったい何人が前原のバイクを乗り回しているのだ?
「お迎えで〜す。どぞ、メット」
「お迎えって…、タキくんも乗れるの、こんなデカいバイク」
「デカいたって四百ですから、中型の免許持ってりゃチョロイもんです。だいたい、これは前原さんの通勤用なんですよ。組長、家には七百五十(ナナハン)持ってるんですよぉ」
「はぁ、そうなの…」
バイクのことはいまいちわからないが、排気量が倍近くなるんだから相当大きいバイクなんだろうなとは思った。滝田の後ろに乗せられて、やっぱり江夏同様、腰には腕を回さないでいいようで、人の乗せ方も前原の方が独特なんだと気がつく。
でもちょっとだけ、腰に腕を回すのでいいから、前原の大きなバイクの方にも乗せてもらいたいと思ってしまい、我知らず苦笑した。
(それにはプライベートでつき合わなきゃ…)
「前原さんならぶっ倒れて、仮眠室で伏せってます」
「ええ!?」
無事に工場に着いてからなんの気なしに訊いてみた前原の様子に、弘は慌てふためいて仮眠室に走り込んだ。今朝まで屍累々状態だった仮眠室は、今は前原ひとりが隅っこに寝かされ、午後の薄い日差しが窓から入り込んでいる。
「前原さん?」
大きな声で驚かせてはいけないと、極力気を遣いながら呼びかけた。前原は声を立てずに目だけ開いた。
「大丈夫ですか? 倒れたと聞いて…」
「倒れてない。眠いだけだ」
掠(かす)れた声でそう答えて、右手で頭をごしごし擦る。
「あ、寝ててください。心配で見に来ただけなんです。配管洗浄も無事に終わったようで、本当に良かったですね」
「試験、どうなったんだ」
「あ、ありがとうございます。前原さんの進言のおかげで、最後にやり直しさせてもらえたんです。無事合格しました」
言った端から受かったと知った時の喜びが蘇って来て、弘は満面の笑みを浮かべる。
前原はといえば、寝不足のせいだろう、極端に表情の乏しい顔つきでじっと弘の笑顔を見つめていた……と思ったら、すいっと腕が動いた。
力任せに腕を引かれて、あ?と思った次の瞬間には、弘は前原の身体の下に抱き込まれていた。何が起こったのかわからずに、いったいどうしたのかと見上げれば、前原のやけに真剣な眼差(まなざ)しがじいっと自分の目の中をのぞき込んでいる。
「前原さ……?」
呼びかけてうっすら開いた弘の唇に、前原はひょいと喰らいついた。無警戒にゆるんだ狭間(はざま)へ、またたく間に熱く湿った感触がねじ込まれる。
(……っ!!)
前触れもない口づけに、弘の身体がビクンと跳ねた。両腕が咄嗟(とっさ)に前原の胸板を押し返そうと動いたけれど、前原の強靭(きょうじん)な背筋力がそれを許さない。それどころか前原の大きな両手は、己の胸板に突っ張った弘の手首を鷲掴(わしづか)み、恐ろしいほどの力で畳へ押しつけてくる。
(ちょ…っ)
*この続きは製品版でお楽しみください。
「え? …あれ、タキくん!?」
バス停の手前で呼びかけられ、見れば今度は製造部の新人、滝田が前原のバイクに跨って待っているではないか。後から後から、いったい何人が前原のバイクを乗り回しているのだ?
「お迎えで〜す。どぞ、メット」
「お迎えって…、タキくんも乗れるの、こんなデカいバイク」
「デカいたって四百ですから、中型の免許持ってりゃチョロイもんです。だいたい、これは前原さんの通勤用なんですよ。組長、家には七百五十(ナナハン)持ってるんですよぉ」
「はぁ、そうなの…」
バイクのことはいまいちわからないが、排気量が倍近くなるんだから相当大きいバイクなんだろうなとは思った。滝田の後ろに乗せられて、やっぱり江夏同様、腰には腕を回さないでいいようで、人の乗せ方も前原の方が独特なんだと気がつく。
でもちょっとだけ、腰に腕を回すのでいいから、前原の大きなバイクの方にも乗せてもらいたいと思ってしまい、我知らず苦笑した。
(それにはプライベートでつき合わなきゃ…)
「前原さんならぶっ倒れて、仮眠室で伏せってます」
「ええ!?」
無事に工場に着いてからなんの気なしに訊いてみた前原の様子に、弘は慌てふためいて仮眠室に走り込んだ。今朝まで屍累々状態だった仮眠室は、今は前原ひとりが隅っこに寝かされ、午後の薄い日差しが窓から入り込んでいる。
「前原さん?」
大きな声で驚かせてはいけないと、極力気を遣いながら呼びかけた。前原は声を立てずに目だけ開いた。
「大丈夫ですか? 倒れたと聞いて…」
「倒れてない。眠いだけだ」
掠(かす)れた声でそう答えて、右手で頭をごしごし擦る。
「あ、寝ててください。心配で見に来ただけなんです。配管洗浄も無事に終わったようで、本当に良かったですね」
「試験、どうなったんだ」
「あ、ありがとうございます。前原さんの進言のおかげで、最後にやり直しさせてもらえたんです。無事合格しました」
言った端から受かったと知った時の喜びが蘇って来て、弘は満面の笑みを浮かべる。
前原はといえば、寝不足のせいだろう、極端に表情の乏しい顔つきでじっと弘の笑顔を見つめていた……と思ったら、すいっと腕が動いた。
力任せに腕を引かれて、あ?と思った次の瞬間には、弘は前原の身体の下に抱き込まれていた。何が起こったのかわからずに、いったいどうしたのかと見上げれば、前原のやけに真剣な眼差(まなざ)しがじいっと自分の目の中をのぞき込んでいる。
「前原さ……?」
呼びかけてうっすら開いた弘の唇に、前原はひょいと喰らいついた。無警戒にゆるんだ狭間(はざま)へ、またたく間に熱く湿った感触がねじ込まれる。
(……っ!!)
前触れもない口づけに、弘の身体がビクンと跳ねた。両腕が咄嗟(とっさ)に前原の胸板を押し返そうと動いたけれど、前原の強靭(きょうじん)な背筋力がそれを許さない。それどころか前原の大きな両手は、己の胸板に突っ張った弘の手首を鷲掴(わしづか)み、恐ろしいほどの力で畳へ押しつけてくる。
(ちょ…っ)
*この続きは製品版でお楽しみください。
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