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風の彼方へ
著: ジェイシー・バートン 翻訳: 岡本桃子発行: ソフトバンク クリエイティブ
レーベル: ソフトバンク文庫 シリーズ: ロマンスシリーズ
価格:735円(税込)
10ポイント還元
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対応端末:パソコン
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解説
私立探偵となったリリーが拳銃を向けた相手は・・・10年前に自分を捨てた男、夢想してしまうほどに忘れられない男、マックだった。最悪の再会は、危険な逃避行の始まりだった。互いに求め合い、かつてより熱く深く体を重ねても過去や任務が二人の間に大きな壁を作り……。心も体もホットになれる、ラブ・サスペンス!
抄録
1 シカゴ
その依頼は最初から妙だった。だが、私立探偵であるリリー・ウエストの務めは依頼人の要求を満たすことだ。美術館に侵入し、夜間警備チームの能力を確認する――それが今回彼女に与えられた任務だった。
そんなの簡単よ。この美術館の警備については一週間かけて調べた。昼間の警備チームは優秀で、巡回展『エジプトの星』に来場する大勢の客をうまくさばいている。だが客への対応に追われるあまり、館内をつぶさに観察して夜間警備の弱点を探るわたしには気づきもしなかった。
一方、夜間の警備体制は最低だった。警備員は屋外どころか館内を巡回することもせず、ロビーの椅子にべったりと腰をおろしてくっちゃべっている。これまでなにも起こらなかったことのほうが不思議なくらいだ。
こいつらはみんな首にすべきだわ。たぶん依頼人もうすうす気づいているのだろう。最初のうちは、ドーナツをぱくついてる給料泥棒が腰をあげて、気晴らしに仕事でもする気になるのを待とうかと思ったが、万が一にもそんなことは起こりそうにない。わたしが素っ裸になって正面の芝生で側転したって誰も気づきゃしないわ。
そのとき、通りすぎるバイクの爆音が静寂を破った。腹に響くマシンのうなりを聞き逃すことなど絶対になかった。その音はマックの記憶に直結しているからだ。バイクの音など聞かなくても、彼のことはいつだって心に引っかかってはいるけれど。
リリーはそわそわしながら木の幹に寄りかかり、とりたててすることもないまま正面玄関を見つめた。マックとの思い出が頭を占拠するのに、たいして時間はかからなかった。
妄想のなかのマックはいつだってハーレーにまたがっている。リリーは暗がりに身をひそめながら、彼を思って幾度も強烈なオーガズムに達したことを思い返した。
マックの到来を告げるのは、遠くから迫ってくるバイクのうなりだ。それを聞いたとたん、わたしの体は躍動を始める。体の細胞が、振動するマシンさながらに震え、歌いだすのだ。エンジンの爆音に、秘密の泉の脇(わき)にある敏感な突起がぷっくりと充血し、乳首はつんとたちあがり、下腹部の深いところがきゅっと締まる。バイクがとまり、エンジン音がやんでも、体内に刻まれる一定のリズムが絶えることはない。彼はノックもせずに入ってくる。わたしが待っていることなどお見通しだから。
リリーはすっかり妄想の世界に浸っていた。夢のなかでは、開け放たれたリビングルームの窓から入ってくる風が彼女の潤った場所を吹き抜け、興奮をあおった。一刻も早くマックにさわってほしくて、細い肩紐(かたひも)のついたサンドレスの下はなにも身につけていなかった。両手をぎゅっと握りしめ、痛いほどほてったこの体にマックの手を感じ、燃えあがる欲望を満たしてもらう瞬間を待ちわびた。
玄関のドアが開き、テーブルの上に置かれたランプの光に長身の体が浮きあがった。くたびれたジーンズの下に隠れているたくましい腿。革のジャケットに包まれたたまらなくセクシーな上半身。Tシャツががっちりした肩から広い胸板にかけて、ぴったりと張りついている。リリーの目は彫りの深い顔に吸い寄せられた。マックはいつもの、ちょっぴり悪ぶった表情を浮かべている。初めて彼を見たときも、この雰囲気に引かれた。セクシーで、人を寄せつけないところに。ああ、早く彼に抱かれたい。
マックがソファに歩み寄って膝を突き、サンドレスの裾(すそ)からのぞいている腿に両手をあてた。
*この続きは製品版でお楽しみください。
その依頼は最初から妙だった。だが、私立探偵であるリリー・ウエストの務めは依頼人の要求を満たすことだ。美術館に侵入し、夜間警備チームの能力を確認する――それが今回彼女に与えられた任務だった。
そんなの簡単よ。この美術館の警備については一週間かけて調べた。昼間の警備チームは優秀で、巡回展『エジプトの星』に来場する大勢の客をうまくさばいている。だが客への対応に追われるあまり、館内をつぶさに観察して夜間警備の弱点を探るわたしには気づきもしなかった。
一方、夜間の警備体制は最低だった。警備員は屋外どころか館内を巡回することもせず、ロビーの椅子にべったりと腰をおろしてくっちゃべっている。これまでなにも起こらなかったことのほうが不思議なくらいだ。
こいつらはみんな首にすべきだわ。たぶん依頼人もうすうす気づいているのだろう。最初のうちは、ドーナツをぱくついてる給料泥棒が腰をあげて、気晴らしに仕事でもする気になるのを待とうかと思ったが、万が一にもそんなことは起こりそうにない。わたしが素っ裸になって正面の芝生で側転したって誰も気づきゃしないわ。
そのとき、通りすぎるバイクの爆音が静寂を破った。腹に響くマシンのうなりを聞き逃すことなど絶対になかった。その音はマックの記憶に直結しているからだ。バイクの音など聞かなくても、彼のことはいつだって心に引っかかってはいるけれど。
リリーはそわそわしながら木の幹に寄りかかり、とりたててすることもないまま正面玄関を見つめた。マックとの思い出が頭を占拠するのに、たいして時間はかからなかった。
妄想のなかのマックはいつだってハーレーにまたがっている。リリーは暗がりに身をひそめながら、彼を思って幾度も強烈なオーガズムに達したことを思い返した。
マックの到来を告げるのは、遠くから迫ってくるバイクのうなりだ。それを聞いたとたん、わたしの体は躍動を始める。体の細胞が、振動するマシンさながらに震え、歌いだすのだ。エンジンの爆音に、秘密の泉の脇(わき)にある敏感な突起がぷっくりと充血し、乳首はつんとたちあがり、下腹部の深いところがきゅっと締まる。バイクがとまり、エンジン音がやんでも、体内に刻まれる一定のリズムが絶えることはない。彼はノックもせずに入ってくる。わたしが待っていることなどお見通しだから。
リリーはすっかり妄想の世界に浸っていた。夢のなかでは、開け放たれたリビングルームの窓から入ってくる風が彼女の潤った場所を吹き抜け、興奮をあおった。一刻も早くマックにさわってほしくて、細い肩紐(かたひも)のついたサンドレスの下はなにも身につけていなかった。両手をぎゅっと握りしめ、痛いほどほてったこの体にマックの手を感じ、燃えあがる欲望を満たしてもらう瞬間を待ちわびた。
玄関のドアが開き、テーブルの上に置かれたランプの光に長身の体が浮きあがった。くたびれたジーンズの下に隠れているたくましい腿。革のジャケットに包まれたたまらなくセクシーな上半身。Tシャツががっちりした肩から広い胸板にかけて、ぴったりと張りついている。リリーの目は彫りの深い顔に吸い寄せられた。マックはいつもの、ちょっぴり悪ぶった表情を浮かべている。初めて彼を見たときも、この雰囲気に引かれた。セクシーで、人を寄せつけないところに。ああ、早く彼に抱かれたい。
マックがソファに歩み寄って膝を突き、サンドレスの裾(すそ)からのぞいている腿に両手をあてた。
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