和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>オレ様
著者プロフィール
水瀬 結月(みなせ ゆづき)
出身地 / 兵庫県、星座/天秤座 血液型/A型、趣味/ふかふか布団で昼寝です! 誕生日/10月23日
出身地 / 兵庫県、星座/天秤座 血液型/A型、趣味/ふかふか布団で昼寝です! 誕生日/10月23日
解説
大人気最新作! 香港を拠点に世界中にその名を轟かせる塔眞一族。元骨董商の凌は、劉人と呼ばれる一族に繁栄をもたらす力を秘めていたがゆえに、紆余曲折を経て本家の三男、貴砺の伴侶となった。そして今、伝説の地図が見出された。凌は貴砺とともにその謎を解くべく一路中国へと向かうが……。しきたりの重圧の中でもがく凌。そんな凌を貴砺は力強い愛で支え…。暴かれる秘密と弾ける絶愛☆ 凄艶ウェディングミステリー。
目次
花嫁は真珠に秘められる
抄録
凌はそれを、左目に当てて見せた。
村長は黙ってその様子を観察すると、やがて立ち上がり、凌たちを手招いた。
凌と貴砺が村長に続き、石動はその後を警護しつつ進み、村人たちはぞろぞろとついてくるようだ。
いくらか進むと太陽光の差し込む場所があり、凌は木陰に立たされた。そして村長がさきほどの鏡で光を収斂する。
「あ、龍の紋章を見せろということですね?」
「このような明るい場所では、見えるものも見えないだろうに」
貴砺は眉間に皺を寄せるが、ここで拒むわけにはいかない。
凌はふたたび紅玉を取り出し、左目に当てた。
光が、紅玉を照射する。
すると──。
音が、聴こえた。
まるで涼やかな水音のような、それでいて和音のような、心地よく、しかし心を揺さぶられる音が周囲に反響する。
──いや、違う。周りから聴こえてきてるんだ。
反響ではなく、山が奏でている。
そしてその響きがかすかな振動として、足元から伝わってくる。
それは震えがくるような体感だった。
オーケストラが心を一つにして史上最高の音楽を奏で終えた瞬間のような、壮絶な一体感。
「共鳴、か」
貴砺が呟いた。
その声でさえも、この震えの一部として凌に快感をもたらす。
脈拍が急激に高くなり、浅い呼吸を繰り返した。額から汗が流れ落ち、体力がみるみるうちに消耗されていくのがわかる。
つらくて、苦しい。けれどこのままずっと体験していたい。
不思議な感覚だった。
「フゲキ」
村人の誰かが口にした。その瞬間、共鳴が止む。凌はその場に膝をつきそうになった。貴砺が抱きとめて、劉宝ごと凌を包み込んでくれる。
すると、村人たちが口々に「フゲキ」と繰り返しながら、満面の笑みで三人を取り囲んだ。
急激に眠気が襲ってくる。
しっかりしなければと思うのに、瞼が閉じてしまう。
「貴殿、巫覡、歓迎。長旅で、あっただろう」
「ああ、感謝する」
村長と貴砺の声が聞こえた。
自分たちが村に受け入れられたということだけは、かろうじてわかる。
額の汗を拭われる。そして瞼にキスが落ちてきた。
「凌、ご苦労だった。ゆっくり休むがいい」
*この続きは製品版でお楽しみください。
村長は黙ってその様子を観察すると、やがて立ち上がり、凌たちを手招いた。
凌と貴砺が村長に続き、石動はその後を警護しつつ進み、村人たちはぞろぞろとついてくるようだ。
いくらか進むと太陽光の差し込む場所があり、凌は木陰に立たされた。そして村長がさきほどの鏡で光を収斂する。
「あ、龍の紋章を見せろということですね?」
「このような明るい場所では、見えるものも見えないだろうに」
貴砺は眉間に皺を寄せるが、ここで拒むわけにはいかない。
凌はふたたび紅玉を取り出し、左目に当てた。
光が、紅玉を照射する。
すると──。
音が、聴こえた。
まるで涼やかな水音のような、それでいて和音のような、心地よく、しかし心を揺さぶられる音が周囲に反響する。
──いや、違う。周りから聴こえてきてるんだ。
反響ではなく、山が奏でている。
そしてその響きがかすかな振動として、足元から伝わってくる。
それは震えがくるような体感だった。
オーケストラが心を一つにして史上最高の音楽を奏で終えた瞬間のような、壮絶な一体感。
「共鳴、か」
貴砺が呟いた。
その声でさえも、この震えの一部として凌に快感をもたらす。
脈拍が急激に高くなり、浅い呼吸を繰り返した。額から汗が流れ落ち、体力がみるみるうちに消耗されていくのがわかる。
つらくて、苦しい。けれどこのままずっと体験していたい。
不思議な感覚だった。
「フゲキ」
村人の誰かが口にした。その瞬間、共鳴が止む。凌はその場に膝をつきそうになった。貴砺が抱きとめて、劉宝ごと凌を包み込んでくれる。
すると、村人たちが口々に「フゲキ」と繰り返しながら、満面の笑みで三人を取り囲んだ。
急激に眠気が襲ってくる。
しっかりしなければと思うのに、瞼が閉じてしまう。
「貴殿、巫覡、歓迎。長旅で、あっただろう」
「ああ、感謝する」
村長と貴砺の声が聞こえた。
自分たちが村に受け入れられたということだけは、かろうじてわかる。
額の汗を拭われる。そして瞼にキスが落ちてきた。
「凌、ご苦労だった。ゆっくり休むがいい」
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