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白蛇の虜囚

白蛇の虜囚


発行: キリック
レーベル: シフォンノベルズ
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆5
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著者プロフィール

 桜井 哉々子(さくらい かやこ)
 生まれてこのかた東日本にしか住んだことのない生粋の東日本人です。出身地方言で話せますが、創作にはほとんど利用できないのが残念……。燃料は着るものと甘いものと犬! 本と音楽は日常生活の必須アイテムです。一人ドライブがわりと好き。

解説

 竜宮淵は白鹿川のぬしである水緒の棲処。水緒は最近、失礼なことを言いながらやって来ては、古来から神聖な場所として祀られてきたこの地で昼寝をしていく人間の青年・大和のことが気になっている。その日、ついに大和の前に姿を現した水緒だったが、不意に口づけた唇の冷たさに、水緒が人ならざる者と気づいた大和はその場から逃走してしまう。しかし、この時ちょっとした仕掛けで大和の居場所を突きとめた水緒は、怖れられるなんて何のその、家に押しかけてしまうことに──!!
※こちらの作品にはイラストが収録されていません。

目次

白蛇の虜囚

抄録

「大和!いい名前だね!」
「……。名前ごときで、なんでそんなうれしそうなんだよ?」
「うれしいよ!名前教えてもらって、すごくうれしい!」
 本当にうれしくてたまらなくて、ボクは、人間だったらほっぺたがあったかくなるくらいに、笑顔になった。それでもボクの頬は、あたたかくはならないのだけれど。
「ねえ」
 と、ボクはひょいと手を伸ばした。大和の頬に。
 大和の頬は、あたたかかった。
 大和は、草の上に座り込んだままで、ボクを見ていた。
「大和は、あったかいね」
「おまえの手は冷たいな」
「うん。そうだね」
 そうだね。
 ボクの手は……ボクの皮膚は、いつでもひんやりしているよ。
「大和は、あったかくって、いいな」
「おまえって冷え性?」
「……」
 ボクは、大和の脚に膝がつくまで近寄って、膝立ちした。
 大和は、不審げにボクを見ている。
 ボクはそっと、大和の顔に顔を近づけた。
 軽く閉じられた唇に、唇を寄せて。
 触れる間際に、目を閉じて。
 そっと、口づけた。
「──!?つめたッ……!?」
 いきなり力任せに肩を押しやられた。
 大和が、目を見開いてボクの顔を見ていた。
 あり得ないことが起こった、というような顔だった。
 驚愕と──恐怖も?
 やっぱり怖い?
 ボクのこと、怖い?
「おま──っ……人間じゃねえ!?」
 って。
 なにそれ?
「──ひどいなぁ、もう……」
 駆け去っていく大和の背を見つめて、ボクは、突き飛ばされた左肩を手で押さえた。
「ひどいよ、大和」
 口づけのときの温度が、人間どうしなら考えられないようなものだったからって、あんなふうに突き飛ばすことないじゃないか。
 突き飛ばして、あとも見ずに一目散に逃げていかなくたっていいじゃないか。
「……痛い」
 左肩を、なでさする。
「……大和……」
 もう……彼はここへはこないかな?
 ……だとしても。
 ボクはまだ諦めない。
「本当に、どこまでも失礼な奴だな、大和ってば。けど、ボクもこの白鹿川の由緒正しきぬしだ。一度くらいじゃ諦めないんだから」
 と、立ち上がって、ことさら声に出して、言ってみた。
 空を見上げて。
 それから下を向くと、足もとに、ボク自身の影がくっきりとできていた。
「ほら……ちゃんと影だってできる」
 ここに、ボクはいるじゃないか。
 だから、もう少し、がんばれる。
 人間たちのあいだでは、『三度目の正直』っていう言葉を使うんだろう?
 だったら、ボクも、三回目まではがんばってみる。
 だって。
 ……だって。
 独りは寂しいから。
 それに……久しぶりに──随分長い時間ぶりに、やっと、また、 ボクにも人が好きになれそうなんだから。
 もちろん、大和が断固拒否っていうなら、諦めるけれど。
 でも、もう少し。もう少しだけ、食い下がってみよう。

*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

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