和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>極道・刑事
解説
披露宴には定番の結婚行進曲で目覚めるのは、明和病院の美貌の内科医・氷川諒一と、広域暴力団・真鍋組二代目であり、昇り龍を背負う橘高清和だ。ヤクザ同士の抗争に巻き込まれる波乱万丈な生活にも、氷川の清和への愛は日々増すばかりだ。そんなある日、氷川の前にひとりの男が現れる。高徳護国晴信を名乗る男は、清和の片腕であり、真鍋の虎・力也を取り戻しに来た兄だった!?
抄録
クマの目覚まし時計が氷川諒一に起床時間を知らせた。今までならば普通のベル音だったが、今日の朝からは違う。披露宴には定番の結婚行進曲だ。
広々とした部屋の壁紙は白地にピンクの花柄、丸い鏡が優雅な鏡台は白で金具は金である。猫脚のベッドサイドテーブルや背の高いルームランプも、白と金を基調にしたロマンティックなものだ。薄いピンクのカーペットは可憐な花柄で、天井から吊るされているライトは可愛いハート形のオブジェがたくさんついていた。どこからどう見ても、男所帯の部屋ではない。
氷川はクマの目覚まし時計の音楽を止めながらポツリと漏らした。
「徹底してる」
クマの目覚まし時計といっても単なるクマではない。新郎新婦に扮したクマのカップルが踊る目覚まし時計だ。新婦のクマが持っているブーケはピンクの薔薇だった。
キングサイズのベッドはシーツからフリルのついた枕カバーまで、すべてピンクで統一されている。
ピンクの洪水の中に指定暴力団・眞鍋組二代目組長である橘高清和がいた。極彩色の昇り龍を背中に刻んだ清和に、滑稽なくらいピンクという可憐な色が似合わない。いや、それ以前に、ピンク・白・花柄で揃えられた部屋自体、一角の極道として名を通している清和と恐ろしいぐらいマッチしていない。清和の顔立ちは怜悧に整っていて、美男子と称しても差し支えないのだが、迫力がありすぎて一般人には見えなかった。十九歳という若さにして甘さの欠片もない極道だ。
「清和くん、おはよう」
氷川は目覚めのお約束である触れるだけの優しいキスを、清和の唇に落とす。凍てつく冬を連想させる清和の鋭い目が柔らかくなった。氷川はこの瞬間がたまらなく好きだ。削げた頬に手を寄せてもう一度キスを落とす。
「ああ」
どこか照れたような清和から挨拶代わりの返事があった。
「よく眠れた?」
眞鍋組の危機で、氷川は最大のターゲットである清和から隔離されていた。昨夜、やっとチャイニーズ・マフィアとの抗争が終結したということで、清和が迎えに来たのだ。夢にまで見ていた愛しい男の無事な姿に、氷川はほっと胸を撫で下ろした。
「ああ」
「ちょっと見せなさい」
銀縁のメガネをかけた氷川は患者に接する時と同じような目で、清和の股間にある一物を調べようとした。しかし、やけに淡々としている清和に拒否された。
「いい」
やめろ、と言わないところが、氷川に対する清和の気持ちを表していた。
「駄目、ちょっと見せて」
氷川は男にしては繊細な手で、清和の腰を押さえつける。
「いいから」
氷川の腕力で屈強な美丈夫の動きを制止することはできない。ポーカーフェイスの清和にスルリと身体を躱されてしまった。
「清和くん、逃げるな」
ベッドから下りようとする清和の背中に、氷川は必死になってしがみついた。それから、渾身の力で清和をピンクのシーツの波間に沈める。
*この続きは製品版でお楽しみください。
広々とした部屋の壁紙は白地にピンクの花柄、丸い鏡が優雅な鏡台は白で金具は金である。猫脚のベッドサイドテーブルや背の高いルームランプも、白と金を基調にしたロマンティックなものだ。薄いピンクのカーペットは可憐な花柄で、天井から吊るされているライトは可愛いハート形のオブジェがたくさんついていた。どこからどう見ても、男所帯の部屋ではない。
氷川はクマの目覚まし時計の音楽を止めながらポツリと漏らした。
「徹底してる」
クマの目覚まし時計といっても単なるクマではない。新郎新婦に扮したクマのカップルが踊る目覚まし時計だ。新婦のクマが持っているブーケはピンクの薔薇だった。
キングサイズのベッドはシーツからフリルのついた枕カバーまで、すべてピンクで統一されている。
ピンクの洪水の中に指定暴力団・眞鍋組二代目組長である橘高清和がいた。極彩色の昇り龍を背中に刻んだ清和に、滑稽なくらいピンクという可憐な色が似合わない。いや、それ以前に、ピンク・白・花柄で揃えられた部屋自体、一角の極道として名を通している清和と恐ろしいぐらいマッチしていない。清和の顔立ちは怜悧に整っていて、美男子と称しても差し支えないのだが、迫力がありすぎて一般人には見えなかった。十九歳という若さにして甘さの欠片もない極道だ。
「清和くん、おはよう」
氷川は目覚めのお約束である触れるだけの優しいキスを、清和の唇に落とす。凍てつく冬を連想させる清和の鋭い目が柔らかくなった。氷川はこの瞬間がたまらなく好きだ。削げた頬に手を寄せてもう一度キスを落とす。
「ああ」
どこか照れたような清和から挨拶代わりの返事があった。
「よく眠れた?」
眞鍋組の危機で、氷川は最大のターゲットである清和から隔離されていた。昨夜、やっとチャイニーズ・マフィアとの抗争が終結したということで、清和が迎えに来たのだ。夢にまで見ていた愛しい男の無事な姿に、氷川はほっと胸を撫で下ろした。
「ああ」
「ちょっと見せなさい」
銀縁のメガネをかけた氷川は患者に接する時と同じような目で、清和の股間にある一物を調べようとした。しかし、やけに淡々としている清和に拒否された。
「いい」
やめろ、と言わないところが、氷川に対する清和の気持ちを表していた。
「駄目、ちょっと見せて」
氷川は男にしては繊細な手で、清和の腰を押さえつける。
「いいから」
氷川の腕力で屈強な美丈夫の動きを制止することはできない。ポーカーフェイスの清和にスルリと身体を躱されてしまった。
「清和くん、逃げるな」
ベッドから下りようとする清和の背中に、氷川は必死になってしがみついた。それから、渾身の力で清和をピンクのシーツの波間に沈める。
*この続きは製品版でお楽しみください。




















⇒詳細












