和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>極道・刑事
解説
「俺は眞鍋組から離れない。先生は俺から逃げない」
眞鍋組の金看板、橘高清和を恋人に持つ美貌の内科医・氷川諒一は、ひとつ大きな悩みがあった。それは自分の大切な可愛い清和くんがヤクザということだ。清和が組長になる日が近づいたとき、反対派から氷川を守るため、清和は彼を実家に預けるのだが。ファン待望の氷川の姐誕生&清和の組長就任編『Drは龍に立つ』が大幅加筆修正で登場!!
眞鍋組の金看板、橘高清和を恋人に持つ美貌の内科医・氷川諒一は、ひとつ大きな悩みがあった。それは自分の大切な可愛い清和くんがヤクザということだ。清和が組長になる日が近づいたとき、反対派から氷川を守るため、清和は彼を実家に預けるのだが。ファン待望の氷川の姐誕生&清和の組長就任編『Drは龍に立つ』が大幅加筆修正で登場!!
目次
龍の宿命、Dr.の運命
眞鍋の絆
眞鍋の絆
抄録
氷川諒一は学校からの帰宅中、青々とした木々が生い茂っている公園を通りかかった。公園の入り口には青い服を着たクマのぬいぐるみが落ちている。
ところが、動くはずのないクマのぬいぐるみは立ち上がった。
『……え、ぬいぐるみが動いた? あ、ぬいぐるみじゃない、清和くんだ』
青い服を着たぬいぐるみだと思ったら、青いベビー服に包まれた清和だった。
おむつでもこもこしていた清和の口癖は『ちゃっちゃっちゃっちゃっちゃっ』だ。もちろん、氷川は清和が何を言っているのか理解できない。
『ちゃーっ』
あどけない清和はまだまともに喋ることができなかったが、氷川の顔を見ると挨拶らしき言葉を発した。どこであろうと、氷川めがけてよちよちと歩いてくる。幸い、辺りにバイクや車の影はない。
『清和くん』
氷川が満面の笑みを浮かべると、清和は紅葉のような両手を伸ばしてきた。
『ちゃっちゃっちゃっちゃっ』
清和がだっこを求めているのだと、氷川は判断して訊き返した。
『だっこ?』
『ちゃーっ』
氷川は小さな清和を抱き上げると、茜色に染まりかけた空に向かって高く掲げた。
『ほ〜ら、高い高い』
清和は小さな手足をバタつかせてはしゃいだ。
『ちゃっちゃっちゃっちゃっーっ、ちゃっちゃーっ』
あの頃、小さな清和は氷川の腕の中で無邪気に笑った。氷川も可愛い清和に釣られて微笑む。氷川が十二歳で清和が二歳の時のことだ。
けれど、別れはなんの前触れもなく突然やってきた。氷川が医大の受験を控え、最後の追い込みに必死になっていた時だ。
『諒兄ちゃんっ』
『清和くん、清和くんをどこに連れていくんですかっ』
雪の降る日、小さな清和は眉間に傷のある大男に連れ去られた。以来、清和の消息は掴めないまま、長い年月が流れた。
当時、高校生だった氷川は希望していた医大に合格し、無事に卒業、医師免許も取得して、都内でも有数の総合病院である明和病院の内科医になった。
そして、氷川は清和と思いがけない再会を果たす。
小さな子供は堂々たる美丈夫に育ち、名字も相川から橘高に変わっていた。だが、指定暴力団である眞鍋組組長の跡目になっているなど、氷川は夢にも思っていなかった。
氷川の勤務先に清和が屈強な男たちを従えて乗り込んできてから、すでに一月近くたっている。
『この人は俺の女房にします』
予想だにしなかった清和の想いを、氷川は躊躇いなく受け入れた。清和が責任者を務める眞鍋第三ビルで送る生活にもだいぶ慣れたところだ。
生活感がまったくなかった清和のプライベートルームは、氷川の出現で一変した。氷川が持ち込んだものや二人の生活のために改めて購入したものが、いたるところに置かれている。
家事はすべて氷川が引き受けた。これまで一度も使われたことのないキッチンに立ち、清和のために料理を作る。氷川も一人暮らしの時は病院で簡単にすませることが多く、あまり食生活に気を配らなかったが、大切な者ができると変わった。
*この続きは製品版でお楽しみください。
ところが、動くはずのないクマのぬいぐるみは立ち上がった。
『……え、ぬいぐるみが動いた? あ、ぬいぐるみじゃない、清和くんだ』
青い服を着たぬいぐるみだと思ったら、青いベビー服に包まれた清和だった。
おむつでもこもこしていた清和の口癖は『ちゃっちゃっちゃっちゃっちゃっ』だ。もちろん、氷川は清和が何を言っているのか理解できない。
『ちゃーっ』
あどけない清和はまだまともに喋ることができなかったが、氷川の顔を見ると挨拶らしき言葉を発した。どこであろうと、氷川めがけてよちよちと歩いてくる。幸い、辺りにバイクや車の影はない。
『清和くん』
氷川が満面の笑みを浮かべると、清和は紅葉のような両手を伸ばしてきた。
『ちゃっちゃっちゃっちゃっ』
清和がだっこを求めているのだと、氷川は判断して訊き返した。
『だっこ?』
『ちゃーっ』
氷川は小さな清和を抱き上げると、茜色に染まりかけた空に向かって高く掲げた。
『ほ〜ら、高い高い』
清和は小さな手足をバタつかせてはしゃいだ。
『ちゃっちゃっちゃっちゃっーっ、ちゃっちゃーっ』
あの頃、小さな清和は氷川の腕の中で無邪気に笑った。氷川も可愛い清和に釣られて微笑む。氷川が十二歳で清和が二歳の時のことだ。
けれど、別れはなんの前触れもなく突然やってきた。氷川が医大の受験を控え、最後の追い込みに必死になっていた時だ。
『諒兄ちゃんっ』
『清和くん、清和くんをどこに連れていくんですかっ』
雪の降る日、小さな清和は眉間に傷のある大男に連れ去られた。以来、清和の消息は掴めないまま、長い年月が流れた。
当時、高校生だった氷川は希望していた医大に合格し、無事に卒業、医師免許も取得して、都内でも有数の総合病院である明和病院の内科医になった。
そして、氷川は清和と思いがけない再会を果たす。
小さな子供は堂々たる美丈夫に育ち、名字も相川から橘高に変わっていた。だが、指定暴力団である眞鍋組組長の跡目になっているなど、氷川は夢にも思っていなかった。
氷川の勤務先に清和が屈強な男たちを従えて乗り込んできてから、すでに一月近くたっている。
『この人は俺の女房にします』
予想だにしなかった清和の想いを、氷川は躊躇いなく受け入れた。清和が責任者を務める眞鍋第三ビルで送る生活にもだいぶ慣れたところだ。
生活感がまったくなかった清和のプライベートルームは、氷川の出現で一変した。氷川が持ち込んだものや二人の生活のために改めて購入したものが、いたるところに置かれている。
家事はすべて氷川が引き受けた。これまで一度も使われたことのないキッチンに立ち、清和のために料理を作る。氷川も一人暮らしの時は病院で簡単にすませることが多く、あまり食生活に気を配らなかったが、大切な者ができると変わった。
*この続きは製品版でお楽しみください。




















⇒詳細












