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著者プロフィール
晶山 嵐子(しょうやま らんこ)
出身地:大阪/星座:獅子座/血液型:A型/趣味:読書、映画鑑賞/誕生日:8月19日
出身地:大阪/星座:獅子座/血液型:A型/趣味:読書、映画鑑賞/誕生日:8月19日
解説
雪白の美貌を持つ史留暉は賀旨国王にして曜嶺皇家皇太子。征服者である紅渦軍に従軍させられた史留暉に「大上将・夕羅の情人だ」との醜聞が流れる。自己嫌悪に陥いった史留暉は、誇りのために己の剣の道に邁進。戦いの中で夕羅に求められたとき、史留暉の華は鮮やかに咲き誇る。春秋戦国時代を模した中華風ファンタジーラブ! 好評アズノベルズの前作に続く第二弾!
目次
赤狼に喰らわれし冴月の如く 弐
抄録
ややあって、夕羅が鎧もつけずに、いつもどおりの真紅の装束で現れた。馬に乗ろうとしたので、史留暉が口を開こうとする。
「報告は聞く。とりあえず乗れ」
史留暉の馬を指さして、夕羅は馬を走らせた。史留暉も馬であとを追う。
ラスタートには、移動式の家である『包(パオ)』が点々とあるだけで、それ以外は無人だ。少し離れただけで、すでに陣の灯は届かず、月明かりだけが草原を照らしていた。
史留暉は、止まった夕羅に、音拝のあらましを話す。
「あいわかった」
夕羅はその一言を言ったのみ。やはり、草原で天を仰ぐだけだ。
「何か、することはないのか?」
「想定内だ。手筈は司軍に渡してある」
「……王族の内紛が、想定内だったのか?」
否やを言わない夕羅に、史留暉は目を見開いた。そして、ハッ、と我に返る。
「早く、報告しなければ……と、思って…………ならば、私は侍衣牙将軍に激しく失礼をしてしまった。謝らねば」
咄嗟に馬首を返した史留暉は、追い駆けてきた夕羅に手綱を掴み寄せられた。そのまま、顎を取られてくちびるを塞がれる。躰が斜めになっているのもあって、くらりと目眩が早い。
否、体勢の問題だけではないだろう。
まだ、残っているのだ。
戦の熱が。
侍衣牙を追い出したのは、報告のためだけだっただろうか。ラキシタに言われたではないか。夕羅に抱かれたいから、だと。
あれは、どういう意味だったのだろう。
「月が…………満月だ……」
「髪がより照り映える」
さらり、と赤い指が史留暉の髪を梳いて通った。真新しい紅花の匂いに、史留暉はぞくりとする。
先ほど夕羅が水を使っていた。侍衣牙の跡を洗い流すためだ。そのあとで紅を塗ってきたらしい。
真新しい、夕羅。今塗られたばかりの、赤い、肌。
「明日は満月だ……と思って…………急いで……帰って、来た……」
そうだ。走っている間中、わずかに足らない月がずっと天にあった。なぜだろう、満月がこんなに気になったのは。
「今宵は格別の月だ」
何が格別? と問い返すより先に、夕羅が馬を降り、史留暉は抱き降ろされた。そのまま草原に引き倒され、草いきれの中で口を塞がれる。
「ぁっ……はぁっ……」
息を止められるかのような口接けに、史留暉はようやく息をついて喘いだ。その間に、夕羅が史留暉の鎧を取り去っている。帯を解こうとした赤い指を、白いそれが止めた。
「侍衣牙……将軍、にも同じこと……を……」
「水を使ってきた」
「洗ったから……って……」
キン……と、月夜に澄んだ音が響いた。夕羅が刀を抜いたのだ。刃を顎に向けて、史留暉の喉に置く。顎を引くだけで首が切れる場所だ。
逆らうな。
言わないその言葉の元、夕羅が史留暉の合わせを両に開いた。
刀は喉に刃を剥いて置かれているだけだ。史留暉が柄を持って脇に置けばよいことだけれど。史留暉は、両手をそのまま草原に放した。
*この続きは製品版でお楽しみください。
「報告は聞く。とりあえず乗れ」
史留暉の馬を指さして、夕羅は馬を走らせた。史留暉も馬であとを追う。
ラスタートには、移動式の家である『包(パオ)』が点々とあるだけで、それ以外は無人だ。少し離れただけで、すでに陣の灯は届かず、月明かりだけが草原を照らしていた。
史留暉は、止まった夕羅に、音拝のあらましを話す。
「あいわかった」
夕羅はその一言を言ったのみ。やはり、草原で天を仰ぐだけだ。
「何か、することはないのか?」
「想定内だ。手筈は司軍に渡してある」
「……王族の内紛が、想定内だったのか?」
否やを言わない夕羅に、史留暉は目を見開いた。そして、ハッ、と我に返る。
「早く、報告しなければ……と、思って…………ならば、私は侍衣牙将軍に激しく失礼をしてしまった。謝らねば」
咄嗟に馬首を返した史留暉は、追い駆けてきた夕羅に手綱を掴み寄せられた。そのまま、顎を取られてくちびるを塞がれる。躰が斜めになっているのもあって、くらりと目眩が早い。
否、体勢の問題だけではないだろう。
まだ、残っているのだ。
戦の熱が。
侍衣牙を追い出したのは、報告のためだけだっただろうか。ラキシタに言われたではないか。夕羅に抱かれたいから、だと。
あれは、どういう意味だったのだろう。
「月が…………満月だ……」
「髪がより照り映える」
さらり、と赤い指が史留暉の髪を梳いて通った。真新しい紅花の匂いに、史留暉はぞくりとする。
先ほど夕羅が水を使っていた。侍衣牙の跡を洗い流すためだ。そのあとで紅を塗ってきたらしい。
真新しい、夕羅。今塗られたばかりの、赤い、肌。
「明日は満月だ……と思って…………急いで……帰って、来た……」
そうだ。走っている間中、わずかに足らない月がずっと天にあった。なぜだろう、満月がこんなに気になったのは。
「今宵は格別の月だ」
何が格別? と問い返すより先に、夕羅が馬を降り、史留暉は抱き降ろされた。そのまま草原に引き倒され、草いきれの中で口を塞がれる。
「ぁっ……はぁっ……」
息を止められるかのような口接けに、史留暉はようやく息をついて喘いだ。その間に、夕羅が史留暉の鎧を取り去っている。帯を解こうとした赤い指を、白いそれが止めた。
「侍衣牙……将軍、にも同じこと……を……」
「水を使ってきた」
「洗ったから……って……」
キン……と、月夜に澄んだ音が響いた。夕羅が刀を抜いたのだ。刃を顎に向けて、史留暉の喉に置く。顎を引くだけで首が切れる場所だ。
逆らうな。
言わないその言葉の元、夕羅が史留暉の合わせを両に開いた。
刀は喉に刃を剥いて置かれているだけだ。史留暉が柄を持って脇に置けばよいことだけれど。史留暉は、両手をそのまま草原に放した。
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