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クルト・フォルケンの神話

クルト・フォルケンの神話


発行: 集英社
レーベル: コバルト文庫
価格:300pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 図子 慧(ずし けい)
 1960年5月9日、愛媛県生まれ。牡牛座。A型。広島大学総合科学部卒業。広島の印刷会社に1年半コピーライターとして就職後、帰郷。第8回「コバルト・ノベル大賞」に「クルト・フォルケンの神話」が入選。コバルトシリーズに「シンデレラの昼と夜」がある。好きな作家は藤沢周平。趣味は油絵と昼寝。本名は博子。

解説

 瀬戸内海をわたる船の中で、彼女は不思議な雰囲気を持つ青年と出会った。“クルト・フォルケン”と名乗った彼は、彼女の目の前で投身自殺をする。それから2週間のうちに、彼女の周囲の男たちが2人、錯乱の末に自殺をした。
 死んだ3人の共通点は、同時期にメキシコへ旅行していたこと。そして、彼女の恋人である民俗学者がそれに関わっていることであった。彼らはメキシコで何を体験したのか。3人を死へといざなった“クルト・フォルケン”とは一体何なのか――?
 第8回「コバルト・ノベル大賞」を受賞した、幻のデビュー作!

目次

クルト・フォルケンの神話

抄録

 「三件とも目撃者がいて自殺だってのは、はっきりしてるんだけど、妙なんです。それを課長にも報告したんだけど、取り上げてもらえなくて」
 「みょうって、どこが?」
 彼は、テーブルごしに顔を近付けると低い声でささやいた。彼女は周囲をちょっと見回した。
 店は、会社員やOLで満席だった。幸い、会社の同僚は一人もいない。彼女は安心して彼の話に耳を傾けた。
 「時間。時間がおなじなんです。三人とも正午に自殺したんですよ。新聞やTVは、この事実に、まだ気づいてないみたいだけど」
 正午? 正午の自殺者? 彼女は、ばくぜんとした不安を感じ、彼に問うた。
 「その三人の自殺者って、だれ?」
 「だれって、新聞に出てなかったですか?」
 「自殺記事ばかり読むわけじゃないわ。ねえ、お、し、え、て」
 彼は、急に熱心になった彼女を不思議そうに見て、答えた。
 「最初は、十二日。二十五歳の商社マンが瀬戸内のフェリーの甲板から海へ飛び込んだのが、ちょうど、正午。直前まで彼と話をしていた若い女性が、時刻を確認しています。なんでも飛び込む前に時計を見て、そろそろ時間だと言ったそうです。どうして止めなかったのかなあ。彼は三日前から、会社を無断欠勤して、行方がわからなくなっていたそうです。つぎは……」
 彼女の胸を、かるい衝撃が走り抜けた。
 メモを読みあげながら話している彼は、彼女の動揺に気づかない。
 「つぎは、あなたのマンションの七階の弁護士。十九日。一週間後の正午です。遺書はありませんでしたが、部屋はきれいに片付いてました。二日おいて、大学の時計台から文学部社会学科の助教授。これは、事故だったとも言えます。錯乱して、時計台に登り、正午の時報にびっくりして墜ちたんだから」
 彼女は、彼の話をさえぎった。
 「最初に自殺したっていう商社マンは、どこに住んでいたの?」
 「え? ああ彼は、そうだなあ、あなたのマンションから百メートルくらい西かな。公園の裏手のアパートに、学生時代からずっと住んでたんですよ」
 学生時代から、ずっと?
 「学生って、どこの」
 「やだな。公園裏っていったら、大学のそばじゃないですか」
 「学部まで、もっとはっきり判らない?」
 「関係があるんですか?」
 「さあ、どうかしら」
 軽くかわしたが、彼女の顔は真剣だった。
 彼は、身を乗りだした。
 「教えてください。何を知ってるんですか」
 「わからないわ。でも、わかるかも知れない。死んだ三人の間には、個人的なつながりがなかった? たとえば、クラブとかサークルとか、旅行で一緒だったとか」
 「今のところは、住居と勤め先が近所だったことくらいで、互いに交際があった事実は確認できません」
 彼女は、自殺した三人との関わりを、まだ伏せたままにしておこうと決めた。いずれ、商社マンの調書を読めば、彼も気づくにちがいないが、そのときまで黙っているつもりだった。彼女自身にさえわからない三人とのつながりを、今、追求されても困るのだ。
 突然、彼がたずねた。
 「ところで、クルトフォルケンという言葉をご存じですか?」

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