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いつか喜びの城へ

いつか喜びの城へ

著: 仙道はるか
発行: 講談社
レーベル: 講談社X文庫ホワイトハート シリーズ: 晴れた日には天使も空を飛ぶ
価格:473円(税込)
10ポイント還元
形式:ドットブック形式⇒詳細 
対応端末:パソコン 
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著者プロフィール

 仙道 はるか(せんどう はるか)
 7月10日生まれ。北海道出身。

解説

 舞台で活躍する間宮武士は、初めてのTVドラマで、人気俳優・丹野兵吾と共演することになった。長いあいだ憧れていた丹野への気持ちを、隠さずに打ち明ける間宮。そんな彼のまっすぐな想いを受け入れながら、年下の間宮に親友の面影を抱く丹野は「好き」の一言が言えないまま、別れを決意する。俳優として活躍する二人と、『B−ing』のその後を描いた、芸能界シリーズ第3弾!!

目次

プロローグ
STAGE 1
STAGE 2
STAGE 3
STAGE 4
STAGE 5
STAGE 6
エピローグ

抄録

 間宮が初めて『彼』を見たのは、今からもう十年以上も前、間宮がまだ高校に上がったばかりの頃のことだった……。
 その日間宮は、父親の年の離れた末の妹、間宮にとっては叔母にあたる透子に連れられ、新宿のとある小劇場を訪れていた。
「よかったわ、開演に間に合って。舞台を途中から見るほど、最悪なことはないものね」
 どう詰め込んでも二百人がせいぜいのフリーセッティングの客席は、開演時間が近いせいかすでに大半が埋まっており、舞台の開演を待つざわざわとした独特の空気に包み込まれているところだった。
 観客のほとんどが透子と同じような若い女性なのを見てとり、間宮は場違いな濃紺の制服姿の自分のことを、少しだけ気恥ずかしく思った。
「さすがに『彼』のラストステージだけあって、女性客ばっかりね」
 小柄な透子に引きずられるようにして、間宮は前方のちょうどセンターにあたる席に腰をかけた。
 舞台を見るにはまさに絶好の場所で、まだ幕が下がったままのそれほど広くはないステージを、間宮は物珍しげに眺める。
「武ちゃん、珍しい?」
 名前を呼ばれて、間宮は自分と八つしか年の離れていない若い叔母を見下ろした。
 間宮の血筋は、間宮自身や間宮の父親である武人も含めて、はては女性陣に至るまで大柄な人間が多い。
 その中にあって、この叔母の透子だけは一人華奢で小柄だった。
 容姿のほうは、女性にしては少々凜々しい顔立ちではあったが十分に美人と呼べる部類だったし、頭もよくて、性格も厳格で偏屈な兄とは似ても似つかないほどに溌剌としていて明るかった。
 年が近いせいか、実の姉弟のように育った透子のことを、間宮は表には出さないがとても慕っている。
 しかし、一回り以上も年が離れているせいか、父親の武人のほうはこの身内の中では少しだけ毛色の違う妹のことを、少々苦手にしているようだった。
「きっとね、『彼』の舞台を見たら、武ちゃんも演劇に興味を持つと思うよ」
 つい先日まで中学生だったとは思えないほど、長身で落ち着いた雰囲気の無口な甥に、透子は清潔な白い歯を見せながら笑いかけた。
「私、昨年の武ちゃんの文化祭でのホレイシォを見て、感動したのよ。普段は無口なくせに、武ちゃん、舞台では別人みたいだった。他の子たちは皆、学芸会に毛の生えたようなもんだったのにね。まぁ、さすがにハムレット役の子はそこそこ上手だったけど、武ちゃんの相手にはならないわ。天才って、本当にいるのよねぇ……。武ちゃん、その才能生かさないと損よ」
「……才能なんてないよ」
 饒舌な叔母に気圧されながらも、間宮はようやく否定の言葉を口にした。
 透子が言っているのは、昨年の文化祭で間宮がクラス対抗の出し物である『ハムレット』でホレイシォを演じた時のことだろう……。
 間宮の通う学校は、生徒に名家の子女が多いことで有名な私立の名門校だった。
 幼稚舎から大学までのエスカレーター式で、間宮自身も幼稚舎からそこに通っていた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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