和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>業界人
著者プロフィール
仙道 はるか(せんどう はるか)
7月10日生まれ。北海道出身。
7月10日生まれ。北海道出身。
解説
静流は、カメラマンの国塚とともに、映画「月光の夜想曲」のイメージ写真集を撮影するため、北海道を訪れていた。写真集のモデルは、映画の主役を演じた桜井若葉と高沢勇気。だが、順調に進んでいたはずの撮影期間中、静流やスタッフの目の前で、若葉が突然倒れてしまった! 勇気と若葉、二人の出会いから9年。若葉の過去との対面が、目前に迫っていた――。
目次
序章
第一章
第二章
第三章
第四章
第五章
終章
第一章
第二章
第三章
第四章
第五章
終章
抄録
じつを言えば国塚香は最初、その有名芸能プロダクションから依頼された仕事を、引き受ける気はまったくなかった。
「いいじゃないか、引き受ければ。今度は静流くんが目当てなんじゃなくて、おまえの腕を純粋に見込んでのことなんだからさ」
国塚の古くからの友人で、現在は人気俳優として活躍している丹野兵吾は、先刻から仏頂面の友人の顔を、面白がるような様子で眺めながらそう言った。
今、丹野と国塚のあいだで話題になっているのは、先日国塚に持ち込まれた今をときめく若手人気俳優二人の写真集の企画についてであった。
昨年末に国塚が素人モデルを使って撮影した写真集『背徳のオイディプス』を見た彼らの所属プロダクションの社長自らが、国塚へとオファーをよこした話である。
話自体は、確かに国塚にとってそう悪くないものだった。
企画の内容も、被写体になる俳優たちも、そして提示された報酬も……。
すべてがよく練られた文句のつけようのないもので、だからこそ逆に国塚は意地になっているのかもしれなかった。
というのも、KANプロの社長である神無月京子から国塚が電話をもらったのは、今回が初めてではなかったからである。
じつはそれ以前に一度、『背徳のオイディプス』が出版された直後に、国塚は彼女から連絡をもらったことがあるのだった。
『あのモデルの連絡先を教えてはもらえないかしら?』
京子が言う『あのモデル』とは、無論、国塚が写真集のモデルとして使った真田静流のことである。
静流はその当時まだ高校生で、どこのモデル事務所にも所属していないまったくの素人だった。
ただ、プロのカメラマンとして何年も生きている国塚が、一目で惹かれたほどの美貌と清冽な空気をまとった印象的な少年ではあった……。
国塚と静流の出会いは偶然だったが、彼らのあいだには当人たちも知らないある不思議で皮肉な因縁があった。
そして、その因縁や性別、年の差などの幾多の障害を乗り越えて、彼らはいつしか愛し合うようになったのだった。
その結果、静流のモデルとしての天性の才能や国塚のカメラマンとしての腕はもちろんのこと、国塚の被写体である静流への愛情のせいか、写真集は素晴らしい出来上がりとなった。
それは、世間でも高く評価され、素人モデルを使った企画物の写真集としては、ほかに類を見ない売れ行きだったらしい。
写真を撮影した国塚のもとへも、一時期テレビや雑誌の取材が殺到した。
そして皆がこぞってモデルである静流のことを知りたがったが、国塚はその質問に対しては『彼は知り合いの息子で、一般の高校生なので取材などはいっさいお断りします』と答え続けたのである。
それはKANプロをはじめとする、静流を芸能界へスカウトしようと躍起になったどこの芸能プロダクションに対しても同じであった。
*この続きは製品版でお楽しみください。
「いいじゃないか、引き受ければ。今度は静流くんが目当てなんじゃなくて、おまえの腕を純粋に見込んでのことなんだからさ」
国塚の古くからの友人で、現在は人気俳優として活躍している丹野兵吾は、先刻から仏頂面の友人の顔を、面白がるような様子で眺めながらそう言った。
今、丹野と国塚のあいだで話題になっているのは、先日国塚に持ち込まれた今をときめく若手人気俳優二人の写真集の企画についてであった。
昨年末に国塚が素人モデルを使って撮影した写真集『背徳のオイディプス』を見た彼らの所属プロダクションの社長自らが、国塚へとオファーをよこした話である。
話自体は、確かに国塚にとってそう悪くないものだった。
企画の内容も、被写体になる俳優たちも、そして提示された報酬も……。
すべてがよく練られた文句のつけようのないもので、だからこそ逆に国塚は意地になっているのかもしれなかった。
というのも、KANプロの社長である神無月京子から国塚が電話をもらったのは、今回が初めてではなかったからである。
じつはそれ以前に一度、『背徳のオイディプス』が出版された直後に、国塚は彼女から連絡をもらったことがあるのだった。
『あのモデルの連絡先を教えてはもらえないかしら?』
京子が言う『あのモデル』とは、無論、国塚が写真集のモデルとして使った真田静流のことである。
静流はその当時まだ高校生で、どこのモデル事務所にも所属していないまったくの素人だった。
ただ、プロのカメラマンとして何年も生きている国塚が、一目で惹かれたほどの美貌と清冽な空気をまとった印象的な少年ではあった……。
国塚と静流の出会いは偶然だったが、彼らのあいだには当人たちも知らないある不思議で皮肉な因縁があった。
そして、その因縁や性別、年の差などの幾多の障害を乗り越えて、彼らはいつしか愛し合うようになったのだった。
その結果、静流のモデルとしての天性の才能や国塚のカメラマンとしての腕はもちろんのこと、国塚の被写体である静流への愛情のせいか、写真集は素晴らしい出来上がりとなった。
それは、世間でも高く評価され、素人モデルを使った企画物の写真集としては、ほかに類を見ない売れ行きだったらしい。
写真を撮影した国塚のもとへも、一時期テレビや雑誌の取材が殺到した。
そして皆がこぞってモデルである静流のことを知りたがったが、国塚はその質問に対しては『彼は知り合いの息子で、一般の高校生なので取材などはいっさいお断りします』と答え続けたのである。
それはKANプロをはじめとする、静流を芸能界へスカウトしようと躍起になったどこの芸能プロダクションに対しても同じであった。
*この続きは製品版でお楽しみください。




















⇒詳細






