和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>外国人
著者プロフィール
甲山 蓮子(こうやま れんこ)
埼玉県出身。東京都在住。3月2日生まれ、血液型O型。
もえぎ文庫さまから初めて出させていただきます。温泉1人旅と飼い猫に遊んでもらうのが唯一の趣味という、楽しいんだか寂しいんだか分からん日々を送ってます。最近は減量のため、スポーツクラブで頑張ってます。
埼玉県出身。東京都在住。3月2日生まれ、血液型O型。
もえぎ文庫さまから初めて出させていただきます。温泉1人旅と飼い猫に遊んでもらうのが唯一の趣味という、楽しいんだか寂しいんだか分からん日々を送ってます。最近は減量のため、スポーツクラブで頑張ってます。
解説
香港政財界の大物が集うクラブ『蝴蝶』。その支配人・珠龍は艶やかな美貌を持ち、魅了される者は数知れず。しかし、彼は、過去を失っていた。そんな彼の保護者であり、情人でもあるマフィア『飛龍』の大老・ロバートのために裏社会に身を投じた珠龍だったが、ある日、兄と名乗る男が現れる。彼は「自分たちの父を殺したのはロバートだ」と珠龍に告げ……! 全てをかけて信じた愛は、偽りだったのか!?
目次
香港情人夜話
妖艶な催命鬼
あとがき
妖艶な催命鬼
あとがき
抄録
「どうした、珠龍?」
馴染んだ声にはっとし、珠龍は魘されていた自分に気づく。
いつのまに寝てしまったのだろう。最近は、あの忌まわしい悪夢を見ることはなかったのに。
ロバートが傍にいることがわかると、珠龍の強ばった表情や身体がすぐにほぐれていく。ロバートが珠龍の頬を優しく撫でて、心配そうにその目を覗き込んだ。
ほっそりとした自分とは違い、ロバートの手は指の節が目立ち無骨だ。だが、大きく温かいロバートの手は珠龍に無二の安らぎを与えてくれる。
「また夢を見たのか?」
珠龍が頷くと、ロバートは彼をソファーから起き上がらせようと手を掴んだ。しかし、珠龍は甘えるように彼の手を引っ張り、自分に引き寄せた。
珠龍に覆い被さる形になるが、ロバートの表情に変わりはない。
ロバートはいつだって沈着冷静だ。どんなに甘えても、いや、ベッドの中でさえ、そんな態度を崩さなかった。
だからといって冷たいというわけではない。珠龍の望みどおり、ソファーに座り彼を抱きしめてくれるのだから。
甘い顔は無理だとしても、困った顔くらいしてもいいじゃないか。
心の中でゴネながらも、珠龍はロバートの腕の中で身も心も安らいでいくのを感じていた。
「たまに、ここを離れて仕事をするのもいいものだ。お前がこんなに甘えてくれる」
「いつだって甘えているだろ?」
「そうだったかな」
ちょっとだけ眉を上げたロバートは、機嫌を取るように珠龍の頬にキスをした。しかし、珠龍にすればおざなりの愛情表現に感じてしまう。
僕に会えて嬉しくないのか?
決して冷たくはない。忙しいロバートが自分のために時間を割いてくれるのはわかっているのに、どうしてもこんなことを考えてしまう。
自分の存在は、思っているほどロバートの心を占めていないのかと。
ロバートは不動産や飲食業を手広く扱う、香港でも有数の富豪だ。しかし彼が広く名を知られているのは、黒社会の組織『飛龍』の大老(ボス)として君臨しているからだろう。
「一週間も僕を放っておいて。電話もメールもくれないなんて、ひどいじゃないか」
「ひどく仕事が忙しかった」
「仕事にかこつけて、囲っている女に会いに行ってたんじゃないのか?」
珠龍の憎まれ口はいつものことなので、ロバートは宥めるように首筋にキスしながらさらりとした彼の髪を弄ぶ。
「お互い、プライベートなことは詮索しない。それが私たちの約束だ。お前もそれを承知で……」
「わかっている!」
「私は仕事中毒の、若くも暇でもないオジさんだ。相手をしてくれるのは、お前くらいしかいない」
何がオジさんだ。
パーティーがあるたびに、ロバートの地位や財力に魅かれて、女たちが蜜に群がる蝶のように集まるのに。
「まだまだ現役のくせに」
「それなら新規開発でもするか」
思わず出た一言に、含み笑いで返される。
嫉妬心をからかわれているだけなのだと割り切りたいが、珠龍はロバートの本音がわからず俯いた。
「お前に土産がある」
そんな珠龍にロバートは、テーブルに乗せてあったリボンのかかった箱を取ると、機嫌を取るように包みを開いた。
「泊まったホテルオリジナルのチョコレートの詰め合わせだ」
珠龍はチョコに限らず、小さいお菓子が好きだ。以前、自分が喜んだことをロバートが覚えていてくれたのかと思うと、拗ね続けることができない。
「お菓子で誤魔化す気?」
「なら、高価なものを強請ったらどうだ」
自分が望めば、ロバートはたいていのことは叶えてくれる。それがわかっていると、かえって欲がなくなるのか、珠龍はロバートに物を強請ることはなかった。
珠龍にとって、物を与えられるより、彼に気遣ってもらえることのほうが嬉しかったからだ。
「それなら、後から後悔するくらいの宝石を強請るぞ」
*この続きは製品版でお楽しみください。
馴染んだ声にはっとし、珠龍は魘されていた自分に気づく。
いつのまに寝てしまったのだろう。最近は、あの忌まわしい悪夢を見ることはなかったのに。
ロバートが傍にいることがわかると、珠龍の強ばった表情や身体がすぐにほぐれていく。ロバートが珠龍の頬を優しく撫でて、心配そうにその目を覗き込んだ。
ほっそりとした自分とは違い、ロバートの手は指の節が目立ち無骨だ。だが、大きく温かいロバートの手は珠龍に無二の安らぎを与えてくれる。
「また夢を見たのか?」
珠龍が頷くと、ロバートは彼をソファーから起き上がらせようと手を掴んだ。しかし、珠龍は甘えるように彼の手を引っ張り、自分に引き寄せた。
珠龍に覆い被さる形になるが、ロバートの表情に変わりはない。
ロバートはいつだって沈着冷静だ。どんなに甘えても、いや、ベッドの中でさえ、そんな態度を崩さなかった。
だからといって冷たいというわけではない。珠龍の望みどおり、ソファーに座り彼を抱きしめてくれるのだから。
甘い顔は無理だとしても、困った顔くらいしてもいいじゃないか。
心の中でゴネながらも、珠龍はロバートの腕の中で身も心も安らいでいくのを感じていた。
「たまに、ここを離れて仕事をするのもいいものだ。お前がこんなに甘えてくれる」
「いつだって甘えているだろ?」
「そうだったかな」
ちょっとだけ眉を上げたロバートは、機嫌を取るように珠龍の頬にキスをした。しかし、珠龍にすればおざなりの愛情表現に感じてしまう。
僕に会えて嬉しくないのか?
決して冷たくはない。忙しいロバートが自分のために時間を割いてくれるのはわかっているのに、どうしてもこんなことを考えてしまう。
自分の存在は、思っているほどロバートの心を占めていないのかと。
ロバートは不動産や飲食業を手広く扱う、香港でも有数の富豪だ。しかし彼が広く名を知られているのは、黒社会の組織『飛龍』の大老(ボス)として君臨しているからだろう。
「一週間も僕を放っておいて。電話もメールもくれないなんて、ひどいじゃないか」
「ひどく仕事が忙しかった」
「仕事にかこつけて、囲っている女に会いに行ってたんじゃないのか?」
珠龍の憎まれ口はいつものことなので、ロバートは宥めるように首筋にキスしながらさらりとした彼の髪を弄ぶ。
「お互い、プライベートなことは詮索しない。それが私たちの約束だ。お前もそれを承知で……」
「わかっている!」
「私は仕事中毒の、若くも暇でもないオジさんだ。相手をしてくれるのは、お前くらいしかいない」
何がオジさんだ。
パーティーがあるたびに、ロバートの地位や財力に魅かれて、女たちが蜜に群がる蝶のように集まるのに。
「まだまだ現役のくせに」
「それなら新規開発でもするか」
思わず出た一言に、含み笑いで返される。
嫉妬心をからかわれているだけなのだと割り切りたいが、珠龍はロバートの本音がわからず俯いた。
「お前に土産がある」
そんな珠龍にロバートは、テーブルに乗せてあったリボンのかかった箱を取ると、機嫌を取るように包みを開いた。
「泊まったホテルオリジナルのチョコレートの詰め合わせだ」
珠龍はチョコに限らず、小さいお菓子が好きだ。以前、自分が喜んだことをロバートが覚えていてくれたのかと思うと、拗ね続けることができない。
「お菓子で誤魔化す気?」
「なら、高価なものを強請ったらどうだ」
自分が望めば、ロバートはたいていのことは叶えてくれる。それがわかっていると、かえって欲がなくなるのか、珠龍はロバートに物を強請ることはなかった。
珠龍にとって、物を与えられるより、彼に気遣ってもらえることのほうが嬉しかったからだ。
「それなら、後から後悔するくらいの宝石を強請るぞ」
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