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著者プロフィール
新里 衣(あらざと きぬ)
数年前から小説を書き始めるが、ある年の誕生日を機に本格的に執筆をしようと決意。都内育ちだが、現在は田舎に在住。すっかり田舎に馴染んでしまい、人混みに出ると疲れる。昔から空想が大好きで、そのせいか、寝付きがかなり悪いことが悩み。状況説明しないで、突如、自分の話したいことを話し始めるため、周囲が話の内容をなかなか把握できない……らしい。
数年前から小説を書き始めるが、ある年の誕生日を機に本格的に執筆をしようと決意。都内育ちだが、現在は田舎に在住。すっかり田舎に馴染んでしまい、人混みに出ると疲れる。昔から空想が大好きで、そのせいか、寝付きがかなり悪いことが悩み。状況説明しないで、突如、自分の話したいことを話し始めるため、周囲が話の内容をなかなか把握できない……らしい。
解説
見事に彼氏に振られた主人公は、後輩の彼氏と関係を持つが……。私をちゃんと愛してくれるの? 彼女とは別れてくるの? 私は彼女なの? ただモテたい男とちゃんと愛されたい女の溝は果てなく深い。怖く、そして痛々しいラブストーリー。
抄録
「ちょっと、いいですか」
仕事中、デスクに向かっている私に声をかけてきたのは、亮介の彼女である谷崎晴美であった。
晴美の表情は硬く、険しかった。
「はい」
「ここで話すのも何なので、給湯室にでも」
晴美に促されるように、一緒に給湯室へ向かった。ここなら、話の内容を職場の人間に聞かれることは、まずないだろう。
「亮介と会っていますよね。それも、ずっと前から」
晴美が真正面から勝負を挑んできた。私から目を逸らさない。
頭一つ分、晴美のほうが背が低い。私が見下ろすような形になっている。
「会っているけど、だから何?」
まるで悪女にでもなったかのような口調で、私は答えた。
「私が亮介と付き合っているの知ってますよね。なのに、会っている。自分のしていること、分かります?」
「そういうことは亮介に話すことじゃないの?」
私の一言に、晴美は黙った。しばらくの沈黙の後、晴美の瞳にはみるみる涙が浮かんできた。
生理が遅れていることについて、晴美に尋ねるべきか迷った。
答えをはっきりと聞くのも嫌だし、亮介から聞いているということを明らかにしたくはなかった。
「ちょっと綺麗だからって、調子に乗らないで下さい」
晴美は涙声で訴えてきた。
「調子になんか乗ってない」
「よく人の男にちょっかい出せますね」
私を泥棒猫呼ばわりしたい気持ちがひしひしと伝わってきた。
「そんな話に付き合ってられないから」
そう言い残すと、私は給湯室から立ち去った。
晴美は、私と亮介の関係を以前から知っていたのだ。携帯でのメールのやりとりは最低限に抑えているつもりだが、内容を見れば、私たちの関係が分かることは間違いない。ばれるとしたら、晴美が亮介の携帯を見たとしか思えなかった。
晴美と話したことを亮介に告げたかったが、その行動は亮介を余計に困らせるような気がした。ただでさえ、晴美の妊娠疑惑に亮介は頭を悩ませているのだから。
その週末にも、私と亮介は二人で飲みに行った。
「晴美がさ、この間、いきなり泣き出したんだよ」
いきなり晴美のことを語り出した亮介に驚きを隠せない私は、しばらく返答できなかった。
「…え?」
「俺の携帯をこっそり見ていたらしい。お前のことは本気なのかって」
「…えっと、生理は?」
間抜けなことを聞いたような気がして、口にしてから恥ずかしくなった。
亮介は頭を横に振った。
「嘘だったらしい」
「嘘って?」
「俺が離れていくような気がしたからって」
晴美の行動が私には信じられなかった。心が離れていく彼氏をつなぎ止めておきたい気持ちは充分理解できる。でも、その手段に妊娠を使ってはいけないだろう。晴美をそうさせたのは、無論、私であることは間違いない。
*この続きは製品版でお楽しみください。
仕事中、デスクに向かっている私に声をかけてきたのは、亮介の彼女である谷崎晴美であった。
晴美の表情は硬く、険しかった。
「はい」
「ここで話すのも何なので、給湯室にでも」
晴美に促されるように、一緒に給湯室へ向かった。ここなら、話の内容を職場の人間に聞かれることは、まずないだろう。
「亮介と会っていますよね。それも、ずっと前から」
晴美が真正面から勝負を挑んできた。私から目を逸らさない。
頭一つ分、晴美のほうが背が低い。私が見下ろすような形になっている。
「会っているけど、だから何?」
まるで悪女にでもなったかのような口調で、私は答えた。
「私が亮介と付き合っているの知ってますよね。なのに、会っている。自分のしていること、分かります?」
「そういうことは亮介に話すことじゃないの?」
私の一言に、晴美は黙った。しばらくの沈黙の後、晴美の瞳にはみるみる涙が浮かんできた。
生理が遅れていることについて、晴美に尋ねるべきか迷った。
答えをはっきりと聞くのも嫌だし、亮介から聞いているということを明らかにしたくはなかった。
「ちょっと綺麗だからって、調子に乗らないで下さい」
晴美は涙声で訴えてきた。
「調子になんか乗ってない」
「よく人の男にちょっかい出せますね」
私を泥棒猫呼ばわりしたい気持ちがひしひしと伝わってきた。
「そんな話に付き合ってられないから」
そう言い残すと、私は給湯室から立ち去った。
晴美は、私と亮介の関係を以前から知っていたのだ。携帯でのメールのやりとりは最低限に抑えているつもりだが、内容を見れば、私たちの関係が分かることは間違いない。ばれるとしたら、晴美が亮介の携帯を見たとしか思えなかった。
晴美と話したことを亮介に告げたかったが、その行動は亮介を余計に困らせるような気がした。ただでさえ、晴美の妊娠疑惑に亮介は頭を悩ませているのだから。
その週末にも、私と亮介は二人で飲みに行った。
「晴美がさ、この間、いきなり泣き出したんだよ」
いきなり晴美のことを語り出した亮介に驚きを隠せない私は、しばらく返答できなかった。
「…え?」
「俺の携帯をこっそり見ていたらしい。お前のことは本気なのかって」
「…えっと、生理は?」
間抜けなことを聞いたような気がして、口にしてから恥ずかしくなった。
亮介は頭を横に振った。
「嘘だったらしい」
「嘘って?」
「俺が離れていくような気がしたからって」
晴美の行動が私には信じられなかった。心が離れていく彼氏をつなぎ止めておきたい気持ちは充分理解できる。でも、その手段に妊娠を使ってはいけないだろう。晴美をそうさせたのは、無論、私であることは間違いない。
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本の情報
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