和書>小説・ノンフィクション>恋愛小説>ラブストーリー>ラブコメ
著者プロフィール
桜 かずき(さくら かずき)
北海道出身。某音楽専門学校卒で、音楽教室の講師も経験しておきながら、影では同人人生。第二の人生に入ってそれらを捨てたが、五年ほど前からサイトで二次小説を掲載し始め、もっと小説が書きたい! という衝動に駆られ、二年前に完全オリジナルに転向。どこにでも転がっていそうな日常の出会いを背景に、忘れかけている胸キュンをお届けしたいと日々思ってます。現在は携帯小説でお仕事&果物と戯れるお仕事しながら日々妄想……。著書に『ユキドケココロビヨリ』。
北海道出身。某音楽専門学校卒で、音楽教室の講師も経験しておきながら、影では同人人生。第二の人生に入ってそれらを捨てたが、五年ほど前からサイトで二次小説を掲載し始め、もっと小説が書きたい! という衝動に駆られ、二年前に完全オリジナルに転向。どこにでも転がっていそうな日常の出会いを背景に、忘れかけている胸キュンをお届けしたいと日々思ってます。現在は携帯小説でお仕事&果物と戯れるお仕事しながら日々妄想……。著書に『ユキドケココロビヨリ』。
解説
恋人より仕事を優先する真琴。彼女から離れていった男は数知れない! 自分らしくあるための行動が、男には理解されないと分かっていながらも、真琴は心の中で誰かを求めていた。そんな時、一人の男が真琴にアプローチしてきた!! 本当に理解してくれているの? どうせ最初だけでしょ、そんなふうに思ってくれるのは……と、素直に男の気持ちを受け止めることが出来なかった……。
抄録
部屋に戻り、布施を中に入れた真琴は、玄関の鍵を閉めてリビングに入った。
「ビールしかないけど」
「構わないよ」
ソファに腰を下ろした布施に、真琴は冷蔵庫から取り出したビールを放り投げた。慌てて掴んだ布施は、真琴の行動に笑う。大雑把といえばそうなのだろうが、大胆なその行動は、真琴の仕事にも表れているのかもしれないと、初めて会った時の真琴を思い出した。
これでどうだと言わんばかりに、練り上げた企画を説明していた真琴。顧客に対して、それはないだろうと心で笑ったが、それでもそれ以上の注文は見つからなかったのは確かだった。
「しばらく開けられないだろ」
「それもそうね」
笑って、新しい缶を布施に届けた真琴は、自分の分のプルタブを上げて一気に呷った。そして、真顔で布施に向き直った。
「自分の部屋では、自分の好きにしていたいの」
「ご自由に」
布施の言葉を聞いて、真琴は缶をテーブルに置くと、ジャケットを脱いでスカートのファスナーを下ろした。ブラも外してキャミソールとショーツ姿になると、キッチンのカウンターに寄り掛かり、置いた缶を掴んで残っていたビールを飲み干した。
その姿に、布施も一瞬驚いたが、もうどうだと思うことはなかった。これが水澤真琴なのだと、僅かな布に隠された身体を眺めて、理性を抑えるのに少しばかり苦労する。
すると真琴は、空になった缶をキッチンに置くと、新しいビールを取り出してプルタブを上げた。そして、溜息吐いたかと思うと、視線を遠くに投げて表情を消した。
「皆、女なんだからそんな格好でウロつくなって言った。……だから何? 自分の部屋で堅苦しく過ごしたくもないじゃない。嫌なら、居なくなってくれればいいのよ」
酷く疲れた声でそう話した真琴。その言葉に、布施は真琴が何を頑なに思っているのか見えた気がしていた。今日、プライベートで真琴に会って、どこか殻に閉じこもった印象があった。それは全て、自分というものを受け入れてもらえないことが原因のように思えた。
「…そういうことか。もっと複雑なことかと思ったけど、僕は水澤さんの意見に賛成だね」
「嘘言わないで。呆れてるんでしょ?」
嫌味を含んでそう言うと、布施は意味深に口角を上げた。そして、着ていた上着を徐《おもむろ》に脱ぎ捨て、締めていたタイも外すと、シャツボタンを半分も外して缶を持った。
「人の家ってのは、堅苦しい思いをするもんだけど、水澤さんがそういうモノの考え方なら、僕にとっても楽だね。楽にさせてもらうよ」
缶を上に掲げて乾杯の仕草をした布施は、脚を組みソファに完全に寄りかかった。
「…珍しい人。嫌がるものでしょ、男なんて」
「そりゃ、僕以外の男にも、その姿を見せるというなら話は別だ。僕だけに見せているなら、それは嬉しいことだね」
「他人は部屋にいれない主義なの」
真琴は、項垂《うなだ》れて言葉を震わせた。
どうして、この男はそんなことを言うのだろうか。逆に、真琴のほうが理解出来なかった。
自分が思うままに、全ては自分らしくあるために、それを貫いていた真琴。それが、受け入れられないことが多いのも知っていた。だからといって、早々直ぐにそれを考え直せる人間などいない。
まして、考える時間すらなかったと真琴は思う。仕事を優先してきた代償でもあった。
(いや…、時間はあったんだ…。アタシが、わざと考えなかっただけ…)
*この続きは製品版でお楽しみください。
「ビールしかないけど」
「構わないよ」
ソファに腰を下ろした布施に、真琴は冷蔵庫から取り出したビールを放り投げた。慌てて掴んだ布施は、真琴の行動に笑う。大雑把といえばそうなのだろうが、大胆なその行動は、真琴の仕事にも表れているのかもしれないと、初めて会った時の真琴を思い出した。
これでどうだと言わんばかりに、練り上げた企画を説明していた真琴。顧客に対して、それはないだろうと心で笑ったが、それでもそれ以上の注文は見つからなかったのは確かだった。
「しばらく開けられないだろ」
「それもそうね」
笑って、新しい缶を布施に届けた真琴は、自分の分のプルタブを上げて一気に呷った。そして、真顔で布施に向き直った。
「自分の部屋では、自分の好きにしていたいの」
「ご自由に」
布施の言葉を聞いて、真琴は缶をテーブルに置くと、ジャケットを脱いでスカートのファスナーを下ろした。ブラも外してキャミソールとショーツ姿になると、キッチンのカウンターに寄り掛かり、置いた缶を掴んで残っていたビールを飲み干した。
その姿に、布施も一瞬驚いたが、もうどうだと思うことはなかった。これが水澤真琴なのだと、僅かな布に隠された身体を眺めて、理性を抑えるのに少しばかり苦労する。
すると真琴は、空になった缶をキッチンに置くと、新しいビールを取り出してプルタブを上げた。そして、溜息吐いたかと思うと、視線を遠くに投げて表情を消した。
「皆、女なんだからそんな格好でウロつくなって言った。……だから何? 自分の部屋で堅苦しく過ごしたくもないじゃない。嫌なら、居なくなってくれればいいのよ」
酷く疲れた声でそう話した真琴。その言葉に、布施は真琴が何を頑なに思っているのか見えた気がしていた。今日、プライベートで真琴に会って、どこか殻に閉じこもった印象があった。それは全て、自分というものを受け入れてもらえないことが原因のように思えた。
「…そういうことか。もっと複雑なことかと思ったけど、僕は水澤さんの意見に賛成だね」
「嘘言わないで。呆れてるんでしょ?」
嫌味を含んでそう言うと、布施は意味深に口角を上げた。そして、着ていた上着を徐《おもむろ》に脱ぎ捨て、締めていたタイも外すと、シャツボタンを半分も外して缶を持った。
「人の家ってのは、堅苦しい思いをするもんだけど、水澤さんがそういうモノの考え方なら、僕にとっても楽だね。楽にさせてもらうよ」
缶を上に掲げて乾杯の仕草をした布施は、脚を組みソファに完全に寄りかかった。
「…珍しい人。嫌がるものでしょ、男なんて」
「そりゃ、僕以外の男にも、その姿を見せるというなら話は別だ。僕だけに見せているなら、それは嬉しいことだね」
「他人は部屋にいれない主義なの」
真琴は、項垂《うなだ》れて言葉を震わせた。
どうして、この男はそんなことを言うのだろうか。逆に、真琴のほうが理解出来なかった。
自分が思うままに、全ては自分らしくあるために、それを貫いていた真琴。それが、受け入れられないことが多いのも知っていた。だからといって、早々直ぐにそれを考え直せる人間などいない。
まして、考える時間すらなかったと真琴は思う。仕事を優先してきた代償でもあった。
(いや…、時間はあったんだ…。アタシが、わざと考えなかっただけ…)
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