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想師II 〜悪魔の闇鍋〜 上

想師II 〜悪魔の闇鍋〜 上


発行: キリック
シリーズ: 想師
価格:300pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 狂気 太郎(きょうき たろう)
 『想師』で第一回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞。ほか灰崎抗名義で『殺戮の地平』(学習研究社・刊)など発表。

解説

 都合のいい想念世界を構築し、そこから現実世界に干渉できる特殊能力者、想師。その強大な力は、抵抗できない次元から相手を惨殺できるばかりか、その気になれば、巨大隕石の軌道を変えたり、発射された核ミサイルを投げ返したり、太陽の中に敵を押し込むことさえできる。師匠・天承老師からその素質を見出され想師となった草薙遼は、常人には不可能なミッションを請け負う、その筋では名の知れた裏の仕事人だった。物語はそんな草薙の噂を聞きつけ、テレビでも有名な霊能者が持ち込んだ〈化け物退治〉の依頼から始まる……。
 地獄寺──岐阜山中にあるその寺は、心霊スポットとしても有名な廃寺だった。訪れた何人もの人間が行方不明となったのに、警察が徹底捜索するときに限って寺が見つからない。過去、幾人もの霊能者や高僧が訪れたものの、同じく行方不明になるか発狂するか手に負えないと逃げ出してしまう。業界では寺に巣食う何か強力な魔物か悪霊の仕業だとされていた。依頼を受けた草薙は、五百才の魔術師・幽螺屍奇《ゆうらしき》とともに、問題の地獄寺へと向かう。そこに、全世界を悪意と絶望で染めることとなるパンドラの箱があるとも知らずに……上巻!

 圧倒的な破壊と殺戮! 想像力の限界突破! 『想師』シリーズ待望の第二弾が、ついに狂気太郎名義で電子書籍化!

※本書は2003年に学習研究社から発行された『想師 〜悪魔の闇鍋〜』に若干の修正を行ったものです。

目次

第一章 霊能者の依頼
第二章 スイッチ
第三章 助言の価値
第四章 乱戦

抄録

 男は、後ろに丸いものを幾つも引きずっていた。
 コートの下から延びた紐《ひも》に繋がっているものは、人間の生首だった。黒い靄に包まれたそれらは死人の魂なのだろうか。首の鋭利な断面は生々しく、肉や骨や気管が見えている。恐怖に歪んだまま凝固した彼らの顔は紫色だ。
 コートの男は、右手に大きな鎌を持っていた。付着した赤い血が地面にしたたり落ちている。こいつはきっと殺人犯だ。すでに何人も殺している。
 ただ、男の肩から上の部分は、黒い靄によって完全に隠れてしまっていた。濃いので靄よりも霧か。径一メートルもあるような霧の塊が男の上部を包んでいる。さらにそれは細くなって上に延び、遠く空まで続いているようだ。まだ本人は生きているようだからこの霧は死ではない。近い未来の死を予告しているのかもしれないが、そうでなければ悪意を示しているのだろう。しかしなぜ上に延びているのか。あれはどこに繋がっているのか。
「殺人犯らしいが、何か妙なものと繋がっているな。操られているのか」
「操られているのとは異なるようですね。一部の感情を強力に賦活《ふかつ》された状態とは言えるかもしれません。どうします。放っておきますかな」
 幽螺が冷静に訊いた。元々彼はお節介な人間ではない。それは俺も同じだが……。
「危ない奴を近所で野放しにしとくほど俺は自信家じゃない」
 幽螺と金四郎を持ったまま俺は男の方へ歩いていった。さて、どうやって片づけるか。いきなり叩きのめすのは無茶かな。
「なら少し刺激してみましょう」
 幽螺の手から赤い鎖が凄いスピードで伸びていき、男の体に絡みついた。
「おい、ちょっと待て」
 慌てて止めたが遅かった。男のコートから腕まで、みるみる赤と緑色の染みが広がっていく。
「うおおおおっ」
 突然男が叫び出した。右手の鎌が大きくなり、それをでたらめに振り回し始める。異形の人々が数瞬あっけに取られて硬直し、その後で悲鳴を上げて逃げ惑《まど》う。
「では今度は抑制をかけましょう」
 コートの男に繋がった幽螺の鎖が灰色に変わっていく。と、偶然か、男の振った大鎌が幽螺の鎖を断ち切った。
「あれあれ、これはいけませんな」
 別段困っていない口調で幽螺がつぶやく。無責任な奴だ。
 俺は男に向かって駆け出したが、まだ二十メートル近い距離がある。男はふらついているため、大部分の通行人は無事に逃げられたが、足の悪い老人が前のめりに転んで呻き声を洩らした。狂気の男がそちらまで歩き、大鎌を振り上げる。
「金四郎、撃てっ」
「よしきた」
 嬉しそうな返事とともに金四郎の棘が数本、本体から飛び出した。現実には毛ほどの棘が、赤い空気の渦を巻いて一直線に突き進み、殺人犯の背中に残らず命中した。
「えぎでええっ」
 潰れたようなひどい悲鳴を上げ、男が全身を痙攣させた。そのまま老人に倒れかかる。
「ほらみろ、役に立つだろうが」
 金四郎が自慢げに言った。こいつの棘の痛みは俺も知っている。
「助けて、助けて」
 老人が男の下から必死に這い出そうとしている。襲撃者に何が起こったのか気づいていない。
 男の肩から上を包んでいた黒い霧が、ゆっくりと本体を離れ空へ昇っていく。あれは何だろう。回収されているのか。
 俺が到着した時にはまだ、手を伸ばせば届く高さだったが、俺は霧に触れるのをやめておいた。両手は縫いぐるみとサボテンでふさがっているし、危険な感じがしたからだ。
 男はまだ痙攣を続けていた。霧の去った後に見えた男の頭部は、干し首のような小さなものだった。全身が疲労の灰色に染まり、まるで抜け殻だ。引きずっていた生首はいつの間にか消えている。
 老人は四つん這いで逃げ去っていた。あの調子なら怪我もしていないだろう。
 俺は視点を現実世界に戻した。
 男の右手は鎌ではなく剣鉈《けんなた》を握っていた。コートの内側に隠していたものだろう。刃の一部には小さな欠けがあり、柄の部分に古い血液が残っていた。手入れ好きではなかったらしい。本人は白目をむいて気絶している。
 逃げていた通行人達が、遠巻きにこちらをうかがっていた。”

*この続きは製品版でお楽しみください。

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