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マリクロBiz文庫 開店前夜

マリクロBiz文庫 開店前夜


発行: マリクロ
レーベル: マリクロBiz文庫
価格:200pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 森下 朱月(もりした しゅづき)
 北海道室蘭市出身。五年ほど前から自身のブログでオリジナルの小説を発表。現在は仕事の傍ら日々、執筆活動に励んでいる。北海道の広い大地を自由気ままにドライブしながら物語の構成を練ること。ちょっと大人の恋愛小説と家族の絆を描いた作品を得意とする。北海道を愛するが故に、小説で北海道を元気にしたいと思っている生粋の道産子。著書に『緋色の薔薇』『結婚できないかもしれない女「合コンの行方」』『開店前夜』『ネバーグッバイ』。

解説

 テナントオーナーの岡野は、北海道の老舗百貨店の閉店に伴い、自らが経営する洋食店舗の立ち退きを迫られた。一緒に働いてきた大切な従業員の解雇。今まで営業してきた店舗の閉店。料理を楽しみに足を運んでくれたお客様。「このまま、終わってしまうわけにはいかない!」。沈みかけていた気持ちを奮い立たせ岡野は、もう一度、自分の夢を実現させるために再起に賭ける。だが、再起への道には数々の障害が待ち受けていたのだった。

抄録

 岡野が店舗探しをしているとき、近くにハローワークがあったのでなかへと入ってみた。
 企業を検索する端末機はすべて埋まっていて、なかは順番を待つ求職者で溢れていた。
 このまま、どこかの会社に入ったほうが楽なのかもしれない。岡野は職業相談をする人々を見ながらそう思った。けれど、四十五歳という年齢からの再就職は厳しいものがある。それに、このままでは終わりたくはない。どうしても、もう一度自分の店を持ちたい。
 店と優良な人材を失っても、気持ちだけは腐らせてはいけないと、求職者を見ながら岡野は思った。
(俺はまだ、この場所にいる人間ではない)
 岡野は踵を返し、勇み足で求職者で溢れるハローワークを後にした。
 季節も秋から冬へと移り変わろうとするころ、自宅でテレビを見ていた岡野に一本の電話が入った。ディスプレイを見ると小山信夫の名前が出ている。岡野は通話ボタンを押した。
「はい。岡野です」
「やあ、岡野さん。元気にしてましたか?」
 岡野はため息にも似た声で答えた。
「いいえ。元気じゃありませんよ。なかなか次の店舗がみつからなくて、苦戦しておりました」
「そうでしたか。わたしも今の店舗はやっと見つけたくらいでしたから、その苦労、痛いほどわかります」
 小山も北海デパートの八階フロアで喫茶店を経営していた。だが、どこから見つけてきたのか、閉店の三ヶ月前から格安の物件を押さえていた小山は、北海デパート閉店と同時に、新たに自分の店舗をスタートさせたのだった。
 自分の店舗を閉めてから、岡野は知人との距離をとっていたが、このところ気苦労が続いているせいもあってか、小山に自分の話を聞いてもらいたいと思った。
「小山さん。明日、お店にお邪魔させてもらってもいいですか?」
「はい。いつでもきてください。お待ちしてますよ」
 次の日、岡野は中島町にある小山の喫茶店『アップル』の席でコーヒーを飲んでいた。正面には小山が座っている。
「お忙しいのに、申し訳ない」
「いいんですよ。お昼の忙しい時間はすぎましたからね」
 アップルの店内には、可愛らしい雑貨が壁やショーケースなどに飾られていた。小山の趣味なのだろうか。気になった岡野は聞いてみた。
「この雑貨は、小山さんが?」
 小山はかぶりを振った。
「まさか。これは娘の趣味でしてね。またこれが若い女性のお客さんから評判が良くて、わたしも驚いているところです」
 雑貨には値札がついていた。きっと、コーヒーを飲みながら観賞して、気に入った雑貨を買って帰るお客さんもいるのだろう。
 岡野がそんなことを考えていると、小山が話しかけてきた。
「店舗探し、難航しているみたいですね」
「はい。どれもいい物件がなくて」
 店舗が見つからない理由は、立地条件が悪いか、あるいは賃貸料の値段が高いかのどちらだったが、岡野は安易な気持ちで妥協をしたくはなかった。
「そうでしたか。いや、実はこの前、南武百貨店のテナント管理部の人と偶然街で会いましてね、話をしていたら、出店してくれるオーナーさんを探しているみたいでして、それで、岡野さん、どうかな、と思って」
「それで、電話をくれたわけですか」
「そうです。わたしも南武百貨店から声がかかっていたのですが、すでにこの店に決めていましたので、お断りしたんですよ」
 南武百貨店で自分の店を新たに始められるのであれば、岡野にとって願ってもなかった話だ。
「どうすれば、いいですか?」
「わたしのほうから、南武百貨店の上杉さんに連絡を入れておきます。そのときに岡野さんの連絡先も教えておきます」
「ありがとう、ございます」
 岡野はテーブルの額がつきそうなくらい、小山に頭を下げた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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