マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションホラーホラー小説

想師III 〜創世二人羽織〜

想師III 〜創世二人羽織〜


発行: キリック
シリーズ: 想師
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★★4
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 狂気 太郎(きょうき たろう)
 『想師』で第一回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞。ほか灰崎抗名義で『殺戮の地平』(学習研究社・刊)など発表。

解説

 特殊能力者、想師として裏の仕事を請け負う草薙遼は、その日、東京拘置所を訪れていた。国会議員・橋見貫三から受けた「行方不明の孫娘を捜してほしい」という依頼の手がかりを、収監中のある人物から聞き出すためである。面会相手の名は、百合咲解璃《ゆりさきかいり》。彼は推定二百人以上は殺したとされる殺人鬼だった。日本全国を渡り歩き、生後二ヶ月の乳児から百六才の老女まで、老若男女を問わず殺しまくった百合咲は、実は二年前に依頼主の議員の長男一家を極めて残酷な方法で皆殺しにしている。ただ、血みどろの現場には孫娘の血痕とDNAは残されておらず、その消息はいまだ不明のいため、草薙のところに捜索依頼が舞い込んだのだ。拘置所の面会室で世紀の殺人鬼と対面する草薙。想師の力を使えば何かしら情報を得られる、はずだった。だが、目の前に現われた百合咲の異形を見て、自分の考えの甘さを痛感することなる──。同じ頃、草薙の強大な力を危険視したキリスト教のバチカン本部が、彼の抹殺指令を下す。バチカンとの対立を望まない草薙だったが、裏で糸を引くおそるべき人物の介入により、自らの手で事態を最悪の方向へ導いてしまう。その先に宇宙開闢以来の大破局が待っているなど知る由もなく……。

 圧倒的な破壊と殺戮! 想像力の限界突破! 待望の『想師』シリーズ完結編が、電子限定の書き下ろしで登場!

目次

第一章 暗黒との対話
第二章 天敵
第三章 想師の本質
第四章 信じるな 信じろ
第五章 その座
エピローグ

抄録

 百合咲が逮捕されたのはまったくの偶然からだった。空き巣被害にあった女子大生が警察に電話して、警官二名がワンルームマンションを訪問した時にはちょうど解体の最中だったという訳だ。電話から到着までの十五分かそこらの間に、女子大生はカッターナイフで手足の腱を切られ顔の皮膚を綺麗に剥がされ、熊の縫いぐるみの頭部を口内に詰め込まれ、破れた腹から腸を引きずり出されていたという。慌てて拳銃を抜く警官達の前で、百合咲解璃は悠然と犠牲者の頚動脈を裂き、「どうぞ」と言って凶器を捨てたという。
 自分が犯してきた殺人について、百合咲は問われて肯定することもあれば、まだ知られていない犠牲者について自ら語ることもあった。しかし気まぐれのためか話の密度はまちまちで、「さあね」の一言ですませてしまう犠牲者もいる。どうせ死刑は確実だからどうでもいいと思っているのだろうか。
 百合咲が語らぬ犠牲者の一人、いや犠牲者と推測される一人に、現職国会議員の孫娘がいた。
 二年前、議員の長男一家が消えた。夫婦に息子と娘が一人ずつ。リビングには大量の血痕。警察の捜索により、父親は屋敷の裏のポリバケツ内で発見された。すべての骨を肉から引き剥がしてあったという。母親は天井裏に転がっていた。バーベキューの鉄串で両目を貫かれ、物干し竿を口から肛門まで貫通させられていた。息子は……歩道橋の上に、ゴミ袋が見つかった。中身は、ミキサーにかけられたドロドロの肉泥《にくでい》だった。DNA鑑定で本人と特定された。
 娘は発見されなかった。浴室の血痕にも彼女の血はなかった。
 橋見安奈《はしみあんな》。当時十四才の彼女の結末を見極めること。国会議員の橋見貫三《かんぞう》から受けた今回の依頼がそれだった。
 取調室は想像していたようなものと違い、それなりの広さがあった。洗面台と鏡があるのはやはりマジックミラーなのだろう。中央に机が一つと向かい合わせに椅子二つ。端の方にも机があり、そこでは刑務官がやり取りを記録するようだ。刑務官がもう一つ椅子を持ってきてくれた。俺と田上刑事は腰を下ろす。
「では、連れてきますので」
 別の刑務官が言って部屋を出ていった。
 取り調べを担当していた検事は精神に変調を来《きた》し、三日前から入院しているという。
 田上刑事は鞄から書類を取り出した。調書だろうか。拘置所に入った者を刑事が取り調べる権利があるのか、詳しいことは俺には分からない。一応彼は立ち会い役だった。
 百合咲解璃本人との面接を希望したのは、廃屋となった二年前の現場を調査しても大した情報が得られなかったためだ。うまい具合に犯人から直接答えを引き出せればそれに越したことはない。ただ、それだけではなく、俺がこの殺人鬼に興味を抱いていたことも否定はできない。なぜなら俺自身が……。
 資料にあった百合咲解璃の顔写真を思い出す。細面で鋭角的な顎、色白でのっぺりした顔立ち。半眼の瞳は冷たかった。唇は薄笑いを浮かべているように見えなくもない。不気味な顔だ。
 そして俺はこの依頼を仲介した仕事屋・近江《おうみ》の言葉を思い出した。彼は「百合咲とは直接関わらない方がいいと思います」と言ったのだ。その具体的な理由を近江は告げなかったし、拘置所での面接希望について強く反対はせずお膳立てしてくれた。
 百合咲解璃。この不吉な男は、現実以外の視点からはどんなふうに見えるだろうか。
 カチャリ。ドアノブが動いた。先ほどの刑務官が顔を出し「よろしいですか」と訊ねる。
「ああ。入れてくれ」
 俺は答えた。最初は旋視せずにいわゆる現実の視点のまま百合咲を見るつもりだった。
 刑務官が顔を戻しドアの向こうの相手に「入れ」と告げる。
 黒いものが、部屋に入ってきた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。