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トワイライト上

トワイライト上

著: ステファニー・メイヤー 翻訳: 小原亜美
発行: ヴィレッジブックス
シリーズ: 【トワイライト】
価格:578円(税込)
10ポイント還元
形式:XMDF形式⇒詳細 
対応端末:パソコン ソニー“Reader”
みんなの評価 ★★★★★5
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著者プロフィール

 ステファニー・メイヤー(Stephenie Meyer)
 ブリガムヤング大学で文学を学んだのち、作家に。デビュー作の<トワイライト>シリーズが世界で1億部を突破する超ベストセラーとなり、映画化もされた。続いて発表された『ザ・ホスト』(ソフトバンク クリエイティブ)も高い評価を得ている。現在は、アリゾナ州フェニックス近郊に夫と三人の息子と暮らす。

解説

「きみは自分のことがぜんぜん見えていない。きみはこれまで会った誰とも違うんだ」
 ハチミツ色の瞳、シルクのような声、彫刻のような横顔……。雨と霧の街フォークスで出会った美少年エドワードは、他とは違う空気をまとっていた。なぜかベラだけをにらみつけ、避けようとするエドワード。そこには、彼にしかわからない秘密が隠されていた。土地に伝わる伝説、狼を守り神とするインディアンの掟。禁断の恋におちたベラとエドワードの切なく甘い運命が動きはじめる。

目次

プロローグ
1 転校生
2 見透かす瞳
3 救出
4 磁力
5 血液検査
6 居留地の伝説
7 あなたの正体
8 もう逃げられない
9 ゴールドの瞳
10 約束
11 問題発生
12 危険な綱渡り
13 狩人の口づけ
14 血の告白
15 森の奥の秘密
16 ヴァンパイアの系譜
17 危険なゲーム
18 追跡者
19 闇に動く影
20 潜伏
21 罠に落ちたふたり
22 血の犠牲
23 天使の決断
24 だれにもわからない
エピローグ

抄録

 自分の死にざまなんか、真剣に考えたことはなかった。
 ここ数カ月、考える理由はじゅうぶんあったのに。でも、たとえ考えたとしても、こんなことになるとは想像もしなかっただろう。
 息をひそめ、細長い部屋の奥をじっと見つめた。狩猟者(ハンター)の黒い瞳。相手は愉快そうに見返してくる。
 こうして死ぬことに不満はない。愛する人の身がわりになるのだから。気高くさえある。きっと大きな価値があるはずだ。
 わかってる。フォークスに行ったりしなければ、こうして死に直面することはなかった。でも、たとえどんなに恐ろしくても、あのとき決めたことに後悔はない。
 人生が夢のような日々をもたらしてくれたのなら、その終わりに嘆き悲しんだりするべきじゃない。
 狩猟者(ハンター)は親しげなほほえみを浮かべ、ゆっくり近づいてきた――。
 あたしを殺すために。

1 転校生
 ママは車のウインドウを全開にして、空港まで送ってくれた。アリゾナ州フェニックスは気温二十四度、雲ひとつない完璧な青空。あたしはお気に入りのシャツを着ている。白い透かし模様のレースのノースリーブだ。おわかれの記念に着てみたつもり。
 ワシントン州北西部のオリンピック半島に、フォークスという名のいつも雲におおわれた小さな町がある。そのちっぽけな町には、全米のどんな場所よりたくさん雨が降る。
 ママが、そのどんよりした不吉な雲におおわれた町から逃げだしたのは、あたしが生後数カ月のときだった。そして十三歳まであたしは毎年、夏の一カ月をその町ですごさなければならなかった。でも、十四歳になってようやく自分の意見を主張した。だからこの三年は、かわりにチャーリー……ううん、ちがった、パパとカリフォルニアで落ちあって一緒に二週間の休暇をすごしてきた。
 あたしはいま、その雨と霧と雲の町に、自分を追いこもうとしている。フォークスなんて大嫌いなのに。
 大好きなのはフェニックスだ。太陽と焼けつくような熱気。活気にあふれた大都会があたしは大好きだった。
「ねえ、ベラ」飛行機に乗る前、ママはいった。これで千回目。「こんなこと、しなくていいのよ」
 ショートヘアと笑いじわをべつにすれば、ママとあたしはそっくり。そのあどけない大きな瞳を見つめているうちに、心がぐらりと揺らいだ。おひとよしで、気まぐれで、むこうみずなママを残していくなんてやっぱりできない。もちろん、いまではフィルがいてくれるから、生活費だって問題ないはずだし、冷蔵庫には食べるものが、そして車にはガソリンがちゃんと入るだろうし、迷子になったら連絡する人もいる。でも……。
「行きたいんだもの」あたしはウソをついた。
 昔からウソは下手だけど、このウソは最近何回も口にしてきたから、いまではほとんど本気に聞こえる。
「チャーリーによろしく伝えてね」ママはあきらめていった。
「うん」
「近いうちにまたね」ママがきっぱりいった。「いつでも、好きなときにうちへ帰ってきていいのよ。あなたがそうしたいなら、ママもすぐもどってくるから」
 言葉とは裏腹に、瞳には悲壮感が浮かんでいる。そんなわけにいかないことはママだってわかってるんだ。
「あたしのことは心配しないで」と説得した。「きっとうまくいくわ。元気でね」
 ママはしばらくあたしをぎゅっと抱きしめた。それから、あたしは搭乗し、ママも行ってしまった。

 フェニックスからシアトルまでの飛行時間は四時間。それから小型機で一時間かけてポートアンジェルスへ北上して、さらに車で一時間かけてフォークスに着く。空の旅はなんでもなかったけど、チャーリーとの一時間のドライブはちょっと気がかりだった。
 今回の件では、チャーリーはすごくよくしてくれている。あたしがはじめて、ちょっとでも永住に近いかたちで一緒に暮らすことになって、心からよろこんでるみたい。高校の転入手続きもすでにすませていて、車を買うのにも協力してくれるらしい。
 でも、チャーリーと一緒にいるのが気まずいのに変わりはない。ふたりともおしゃべりってタイプじゃないし、どっちみち話題なんてあるのかどうか。今回のあたしの決断にチャーリーがとまどってるのもわかってる。ママと一緒で、あたしもフォークスが嫌いなのを隠してなかったから。
 ポートアンジェルスに着陸すると、雨が降っていた。
 べつに不吉なサインではない。ここではこうなんだってだけ。太陽には、ちゃんとおわかれの挨拶(あいさつ)をしてきた。
チャーリーはパトカーで出迎えてくれた。これも予想どおり。なにしろ、フォークスでは「スワン警察署長」で通っているんだもの。あんまりお金もないのにあたしが車を買おうとしてる最大の理由は、赤と青のライトをてっぺんにつけた車に乗せられて町を走るのはごめんだから。パトカーくらい、スピーディーな交通をさまたげるものはない。
 転びそうになって飛行機からおりてきたあたしを、チャーリーがぎこちなく片腕で抱きとめてくれた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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