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スイーツ文庫 やくそく

スイーツ文庫 やくそく


発行: マリクロ
レーベル: スイーツ文庫
価格:250pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 兼平 幸(かねひら ゆき)
 千葉県出身。高校生の時本の虫になり、執筆を始める。気がつけば人に言えない年齢。早寝早起き、時々不眠症。少し不思議だったり、怖かったりするものを好んで書いています。趣味はミニチュア収集。通販大好きの超インドア人間ですが、やりたい事や欲しいものがみつかると、ありえないほどの行動力を発揮します。

解説

 このままじゃ、好きになってしまう。お兄さんなのに! 記憶のない百合香は兄と名乗る哲夫と暮らしている。記憶がなくなってから、宙に浮かんだり物に触れずに動かす事ができるようになった百合香だが、コントロールが効かない。やがて、哲夫に淡い恋心を抱くようになる。やっと兄妹だと信じられた時、指輪と、黒いフレームの中の自分の写真を見つけてしまった。混乱する百合香は、二人を利用しようとする何者かに誘拐されてしまう。

抄録

 あたしは…過去から来た? 死んだ時に、この未来に来たの?
 どうして哲夫はやさしく微笑むのだろう。
 自分のせいで、何か悪いことに巻き込まれているのに。
 とぎれとぎれに聞こえたきた『薬』や『取引』などの言葉から、何か薬を不法に要求されている事くらい百合香にもわかる。
 なぜ、他人の自分にこんなに優しくしてくれるのだろう。
 この瞳をよく知っていると思った。
 兄なのだと信じた。
 でも、兄妹ではない。
 甦った記憶のほんの断片が、哲夫は兄ではないと告げている。
 この人は「先輩」だ。
 あたしは、この人の、何なんだろう…。
 百合香には記憶がないが、哲夫は百合香のことを知っているのだ。
「あの。病院の薬って、痛み止めの麻薬みたいなものとかあるんですよね? あたしのせいで、薬を渡すように脅かされてるんですよね?」
「…百合香は何も心配しなくていい」
「だって…先輩に、迷惑かけられません」
 哲夫は百合香の肩をつかんで、顔を覗き込んできた。
「百合香! 思い出したのか? 君はいつから来た? 事故に会った時か?」
 哲夫は急に百合香を抱きしめた。息が出来ないくらいに抱きしめられ、うわごとのように「百合香、百合香」と囁かれる。愛おしそうに頬に頬をすりよせてくる。百合香は目がまわりそうだった。
 哲夫は、百合香の記憶が戻ったと思ったらしい。
 しかし、百合香が思いだしたのは、階段を落ちる時の記憶だけで、他には何も思い出せていないのだ。
「あのっ、何も思い出してないんです。階段から落ちた瞬間を思い出しただけなんです」
「階段?」
 思い当たる節があるのか、哲夫は我に返ったように眉間にしわを寄せて百合香を見た。
「お兄さん…いえ、先輩が、階段の踊り場に居て…」
「事故の時にタイムスリップしたんじゃないのか? 他のことは? 家族のことは? 友達のことは?」
 百合香は「階段を落ちる瞬間だけの記憶しかないんです」と首を横に振った。
 哲夫の顔は青い。そして、しばらく考えた後言った。
「何か考えて思いだしそうになると、身体が宙に浮くということは、それが、過去に戻る前兆なのかもしれないな」
 百合香は、ふいに黒いフレームの中の自分の写真を思い出す。
 記憶が戻れば、自分の存在するはずの時間に還れるのかもしれない。
 しかしそれは、過去に還った百合香に『死』が待っているということだ。
「あ、あたし…自分の時間に、過去に戻ったら」
 死んじゃうんですか? と尋ねようとして、百合香は抱きしめられた。
 恐怖で身体が、がたがたと震えていた。
 せっかく記憶が戻って自分の時間に還ったとしても、死んでしまうなんて…。
 強く抱きしめられ、顔を哲夫の胸にうずめる。
 自分の胸の鼓動と同じくらいの速さで、哲夫の鼓動も激しく鳴っている。
「あたしは、死んでるんですか? あなたは、誰ですか?」
 少し力が抜けた哲夫の腕の中で身じろぎをして、見ると、哲夫は片手でテーブルの上を探っていて、残った片手で百合香を抱きしめている。
 首を傾げる百合香の目の前で、哲夫はペットボトルの水を口に含んだ。
 もしかしたら、百合香が風呂に入っている間、休んでいなかったのかもしれない。
「ごめんなさい、あたし。自分の事ばかりで」
 過去から来たことも、再び過去に戻るかもしれないことも、自分の力でコントロールはできないのだ。それでも、哲夫は百合香を守ろうとしている。
「口を閉じてはいけないよ」
 哲夫はそう言うと、再び水を口に含み、突然、百合香の唇に自分の唇を重ねた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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