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著者プロフィール
狂気 太郎(きょうき たろう)
第一回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞。灰崎抗名義で『想師』(学習研究社・刊)ほか発表。インターネット上でも自身の作品を公開。代表作は『殺人鬼探偵』『ずれ』など。
第一回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞。灰崎抗名義で『想師』(学習研究社・刊)ほか発表。インターネット上でも自身の作品を公開。代表作は『殺人鬼探偵』『ずれ』など。
解説
担当した事件の関係者が不審な死に方をしたり、行方不明になったりすることから「死神刑事」とあだ名される庸崎啓《ようさきけい》。本庁から地方に飛ばされてきた彼を、気味悪く思う同僚や上司は多い。何を考えているかわからない無感情な瞳。どんな凄惨な現場にも動じない冷徹な言動。そして、捜査中ときおり取り出す奇妙な天秤の玩具……。だが、庸崎の血塗られた本性に気づいている者は少なかった。法では裁けない悪を、不可侵だった悪の権力を、あるルールに従って断罪する処刑人という彼の本性に。
少女を暴行して殺した暴走族の一団を巨大ローラーで肉絨毯に変えていく『悪狼魑』など、死神刑事の無慈悲なる血の制裁を書いた全6編を収録! 鬼才・狂気太郎が悪を憎むすべての人に捧ぐ、正義のオムニバス・スプラッター!
少女を暴行して殺した暴走族の一団を巨大ローラーで肉絨毯に変えていく『悪狼魑』など、死神刑事の無慈悲なる血の制裁を書いた全6編を収録! 鬼才・狂気太郎が悪を憎むすべての人に捧ぐ、正義のオムニバス・スプラッター!
目次
プロローグ
第一話 悪狼魑《おろち》
第二話 熱
第三話 カナロア
第四話 首に気をつけろ
第五話 アセンション
第六話 ソドム、ゴモラ、そして黒丘
エピローグ
第一話 悪狼魑《おろち》
第二話 熱
第三話 カナロア
第四話 首に気をつけろ
第五話 アセンション
第六話 ソドム、ゴモラ、そして黒丘
エピローグ
抄録
『悪狼魑』となっていた。何と読むんだ。あくろう、最後の字は何だっけ。こいつは何モンだ。
車の鼻面に、奇妙なものがくっついていた。
長さ二メートルもありそうな太い金属製の棘が、二列になって突き出していた。さっきまでは格納してあったのか。
その棘に、ロックが串刺しになっていた。壊れたバイクの部品が棘に引っかかっている。六ヶ所ほどを貫かれてもロックはまだ弱々しく動いていた。ボタボタと滴る音は血かオイルか。
ロックもやられた。もう自分だけだ。でも奴は崖の下までは追ってこれない。ざ、ざまあみろ。これから携帯で警察を呼んで……。
キリキリ、と奇妙な金属音が聞こえた。黒い巨体の上に尖った影が見える。何だあれは。
風を切る音がタケシの胴を貫いた。衝撃によろめきながら下を見ると左腹に金属の棒が突き刺さっている。痛い。背中まで抜けている。金属棒の後端は太いワイヤーに繋がっていた。それは崖の上の車まで続いている。
弛んでいたワイヤーが一気にピンと張り、タケシの体が猛烈な勢いで引っ張られた。痛い。背中が。これは銛だ。鯨みたいに釣り上げるつもりか。痛いイデデデデデ。物凄い力で引かれタケシの体が持ち上がる。
釣られたら終わりだ。タケシは近くの木にしがみついた。右腕がうまく動かないがなんとか幹に腕を回してしっかり両手を繋ぐ。手を離したら終わりだ。死んでも離すものか。タケシは雄叫びを上げていた。
ブヂブヂブヂッ、と肉の裂ける感触とともに銛が体から抜けた。獲物を逃した銛が引き戻されていく。やった。助かった。タケシは手を離して自分の腹を確認した。
腹から刺さったものが無理な角度から引っ張られたため、銛はスッポ抜けたわけではなかった。左腹部が横に大きく掻き切られ、内臓や腸らしきものがドロリとはみ出している。あまり痛くないのは感覚が麻痺してしまったのか。この傷って、もしかして死ぬんじゃないのか。
唖然とするタケシの耳にキリキリという音が届いた。あ、また……。
飛んできた二本目の銛がタケシの腰に突き刺さった。今度はメチャクチャに痛かった。血みどろの先端が右の下腹から抜けている。それが引っ張られ逆棘が肉に食い込んでいく。
もう抵抗する力はなかった。タケシの体は宙に浮いた。ワイヤーが巻き取られタケシは崖の斜面を引きずられ上っていく。ガードレールで尻を打つが全身の激痛に比べれば大したことではない。さらに引かれる。硬い壁は黒い車のボディだった。さらに上、車の屋根に。
屋根には大きな穴が開いていた。穴の中心部に立ったポールの先端からタケシは吊られていた。そこには銛撃ち銃と小型のカメラがついている。
リュイイイィィン、と穴の中から不気味な唸りが聞こえる。機械音だがエンジンとは違う。突然ライトがついて穴の中が照らされた。
鋼鉄の壁で囲まれた約二メートル四方のスペースを、何百枚もの刃が回転していた。黒光りした分厚い刃は互い違いに噛み込まれ、まるで大掛かりなシュレッダーのようだ。何を細切れにする機械なのか。
タケシにはわかっていたがわかりたくなかった。ずり落ちぬようポールにしがみつきながらタケシは叫んだ。
*この続きは製品版でお楽しみください。
車の鼻面に、奇妙なものがくっついていた。
長さ二メートルもありそうな太い金属製の棘が、二列になって突き出していた。さっきまでは格納してあったのか。
その棘に、ロックが串刺しになっていた。壊れたバイクの部品が棘に引っかかっている。六ヶ所ほどを貫かれてもロックはまだ弱々しく動いていた。ボタボタと滴る音は血かオイルか。
ロックもやられた。もう自分だけだ。でも奴は崖の下までは追ってこれない。ざ、ざまあみろ。これから携帯で警察を呼んで……。
キリキリ、と奇妙な金属音が聞こえた。黒い巨体の上に尖った影が見える。何だあれは。
風を切る音がタケシの胴を貫いた。衝撃によろめきながら下を見ると左腹に金属の棒が突き刺さっている。痛い。背中まで抜けている。金属棒の後端は太いワイヤーに繋がっていた。それは崖の上の車まで続いている。
弛んでいたワイヤーが一気にピンと張り、タケシの体が猛烈な勢いで引っ張られた。痛い。背中が。これは銛だ。鯨みたいに釣り上げるつもりか。痛いイデデデデデ。物凄い力で引かれタケシの体が持ち上がる。
釣られたら終わりだ。タケシは近くの木にしがみついた。右腕がうまく動かないがなんとか幹に腕を回してしっかり両手を繋ぐ。手を離したら終わりだ。死んでも離すものか。タケシは雄叫びを上げていた。
ブヂブヂブヂッ、と肉の裂ける感触とともに銛が体から抜けた。獲物を逃した銛が引き戻されていく。やった。助かった。タケシは手を離して自分の腹を確認した。
腹から刺さったものが無理な角度から引っ張られたため、銛はスッポ抜けたわけではなかった。左腹部が横に大きく掻き切られ、内臓や腸らしきものがドロリとはみ出している。あまり痛くないのは感覚が麻痺してしまったのか。この傷って、もしかして死ぬんじゃないのか。
唖然とするタケシの耳にキリキリという音が届いた。あ、また……。
飛んできた二本目の銛がタケシの腰に突き刺さった。今度はメチャクチャに痛かった。血みどろの先端が右の下腹から抜けている。それが引っ張られ逆棘が肉に食い込んでいく。
もう抵抗する力はなかった。タケシの体は宙に浮いた。ワイヤーが巻き取られタケシは崖の斜面を引きずられ上っていく。ガードレールで尻を打つが全身の激痛に比べれば大したことではない。さらに引かれる。硬い壁は黒い車のボディだった。さらに上、車の屋根に。
屋根には大きな穴が開いていた。穴の中心部に立ったポールの先端からタケシは吊られていた。そこには銛撃ち銃と小型のカメラがついている。
リュイイイィィン、と穴の中から不気味な唸りが聞こえる。機械音だがエンジンとは違う。突然ライトがついて穴の中が照らされた。
鋼鉄の壁で囲まれた約二メートル四方のスペースを、何百枚もの刃が回転していた。黒光りした分厚い刃は互い違いに噛み込まれ、まるで大掛かりなシュレッダーのようだ。何を細切れにする機械なのか。
タケシにはわかっていたがわかりたくなかった。ずり落ちぬようポールにしがみつきながらタケシは叫んだ。
*この続きは製品版でお楽しみください。
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