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死亡予報

死亡予報


発行: キリック
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆10
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著者プロフィール

 梅津 裕一(うめつ ゆういち)
 『妄想代理人』(原作/今敏)『闇魔術師ネフィリス』『アザゼルの鎖』(すべて角川書店・刊)など、著書多数。ダークファンタジーな世界観で読者を魅了する。

解説

 ある日、「死神」を名乗る差出人から携帯に届いた一通のメール。「死亡予報」の件名で送られてきたそれは、不特定多数の受取人にその日の死亡確率を知らせる新サービスであるという。死亡予報を受け取った高校生の柚木透子は、最初こそ趣味の悪い迷惑メールだと相手にしなかったが、身のまわりで多発する不自然な事件、事故が予報どおりに起きていることを悟り、愕然とする。しかし、死亡予報の本当のおそろしさはその先にあった。送り主の死神にメールで申請し、与えられたミッションさえこなせば、自分の死亡確率を好きなだけ、指定した相手に送ることができるのだ。それはすなわち、自分の死を他人に押しつけることにほかならなかった。死亡予報が社会に浸透するにつれ、誰もが人間不信に陥り、日常が狂気に満たされていくなか、透子は首謀者「死神」の正体を知ることになるが……。
 自分さえよければそれでいい……呪わしい人間の本質がもたらす破滅のモデル! これは単なるフィクションではない!

目次

第一部
第二部
第三部
第四部
第五部
終章

抄録

 なにか黒っぽいものが、上から落ちてくる。
 近くのマンションのベランダに置かれていた「なにか」が落下してくるのだ。
「怜美さん!」
 とっさに自分でも信じられないほどの勢いで体が動いた。怜美の体に、自分の体をぶつける。
「なにをするっ」
 怜美が叫んだ次の瞬間、つい先ほどまで怜美がいた場所で、なにかが砕け散る派手な音が鳴った。
「え?」
 桜が、ぽかんと口を開けた。
「植木……鉢?」
 赤っぽい陶器は完全に粉々になっている。黒い腐葉土がコンクリートの上に散らばっていた。赤い花が植えられていたようだが、花は土にまみれてしまっている。
 怜美がしばらく体を震わせると、かすかに震える声で言った。
「確率は十二パーセント……上から落ちてくるものに……注意……」
 怜美がもらった「死亡予報」にはそんなことが書かれていた。
 透子はあやうく車に轢かれそうになった。そして、怜美は「上から落ちてきた」植木鉢の直撃を受けそうになった。
「ありゃー」
 さすがの桜も、肩を震わせていた。
「二回続いて、ちょっと、洒落になってないっていうか……だいたい、いまの、一歩間違えば、れみっち本当に死んでいたよ!」
 桜がマンションを見上げた。
「おーい! 誰だよ、植木鉢落としたやつ! 一歩間違えれば、いまの殺人だぞ!」
 だが、マンションからはなんの返事もなかった。あるいはマンションの住人も怖《お》じ気づいているのかもしれない。
 まさかとは思うが、誰かが意図的に植木鉢を落とした可能性はないだろうか。
 また体が震えてきた。胃のあたりがきりきりする。
「偶然だ」
 怜美が、自分に言い聞かせるように言った。
「車と事故になりかけるのもよくあるし、植木鉢が落ちてくるのも……まあ、そういうこともたまにはあるだろう。それがたまたま二度ばかり続いただけだ……」
「だ、だよね」
 桜の笑い声が、いささかひきつっていた。
「こ、こんなこと……確率的にありうることだし。なんだっけ、シンクロニシティっていうんだっけ? 実はただ偶然が重なっただけで、そこにはなんの意味もないんだ」
 だが、桜は微妙に混乱しているように、透子には思えた。
「だって、あれが本当だったら、あたしは刺されるってことになるじゃない。そんなこと、あるわけが……」
 そのとき、異様な風体の男が脇の路地からいきなり飛び出してきた。
 全身には黒いジャージの上下をまとっており、顔をやはり黒い、いわゆる目出し帽というもので覆っていた。現実にこんな格好をした人間を見るのははじめてだった。年齢も性別もわからない。中肉中背で、胸の感じからたぶん男性だろうとは思うが、ひょっとしたら女性かもしれない。
 まるで、テレビドラマに出てくるコンビニ強盗のようだ。目出し帽のそいつは、緑色の手袋をはめた手に、包丁を握っていた。
「え?」
 先ほどまで日常は平穏だった。だが、すでに二つの非日常的な事件が続き、さらにテレビのなかでしか見たことのないような出来事が、いま現実に起きようとしている。
 包丁を持った相手が、こちらに駆け寄ってくる。その動きが透子には異様なほどゆっくり感じられた。勝手に体が動いている。こういうときでも本能はちゃんと機能するのだと、まるで他人を見るような感覚で自分の肉体の動きを意識した。
 男は──女かもしれないが──透子と怜美を無視し、桜のほうに近づいていく。彼女だけを狙っているかのように。
 桜の甲高い悲鳴が響いた。
 同時に、視界の隅に赤いものが見えた。血だ。
 なぜ血が出ているのだろう。刃物で切られたということだろうか。
 刃物に注意。死亡確率は八十五パーセント。死亡予報の内容を思い出した。
 目出し帽が、慌てたように去っていく。
 桜が倒れている。その傍《かたわ》らで、怜美がなにか叫んでいた。
「おい……女の子が刺されたぞ!」
 遠くから、男の人の声が聞こえてきた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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