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昭和下町人情ばなし

昭和下町人情ばなし


発行: 日本放送出版協会
価格:400pt
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対応端末:パソコン ソニー“Reader”
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著者プロフィール

 林家 木久蔵(はやしや きくぞう)
 昭和十二年、東京日本橋生まれ。落語家。本名、豊田洋。三十一年に漫画家の清水崑氏門下に入門。三十五年に落語家の桂三木助門下に入門。同氏没後、林家正蔵門下へ移り芸名林家木久蔵となる。四十年、二つ目昇進。四十一年日本テレビ「笑点」レギュラーとなる。四十七年、真打昇進。日本漫画家協会参与、(社)落語協会理事、(社)日中協会参与、(社)日中俳人協会会員ほか。

解説

 戦前の洋食屋、父自慢の厚焼き玉子、闇市の帰りに吸った生卵、正蔵師匠の牛スジ鍋、正楽師匠の菓子パンなど……「笑点」の名物男・林家木久蔵が語る、昭和の食べものと下町の人情。

目次

昭和下町人情ばなし■もくじ


はじめに


第一章 長屋の暮らしと前座修業
 八代目林家正蔵師匠に入門
 寄席の楽屋で楽屋のマーチ
 噺の稽古は全身を耳にして
 前座時代のアルバイト
 怪談噺と牛メシ会
 師匠・正蔵の日記


第二章 正蔵師匠と長屋の人々
 「トンガリ」
 先代文治師匠、小さん師匠の想い出
 江戸前の男・春風亭柳朝
 ユニークだった小正楽さん
 正蔵師匠の最期
 醤油(おしたじ)にこだわる
 師匠のおかみさんのちょっと面白い料理


第三章 下町の味・ハイカラな味
 日本橋の雑貨問屋のせがれ
 グルメの町・人形町
 戦争で消えた海の香のごはん
 街なかの物売り
 ミルクホール
 運河といたずら小僧
 おばあちゃんと明治座の三段弁当
 下町が焼け野原に


第四章 いつもお腹をすかせていた戦後
 買い出しの帰りの生卵
 父が家を出て行き、新聞少年になる
 小遣い稼ぎの天才
 アイスキャンデー売って映画見放題
 浅草通い、青空おじさん、紙芝居
 気さくだったエノケンさん
 下町の子も、山の手の子も
 ひょうきんすぎて優勝逃した弁論大会
 襖張りとピストル事件
 野球より本屋
 初めての寄席


第五章 あっちこっちの青春時代
 高校は食品化学科へ
 俳優座の試験を受ける
 卒業し、牛乳工場に勤めてはみたものの……
 僕の「大学」は漫画家の書生時代
 桂三木助師匠の弟子になる
 おしゃれでいなせな三木助師匠
 金庫に隠したせんべい
 師匠が亡くなり、身の振り方を決めることに


第六章 落語・演芸ブームにのって
 三平さんが下すった袴
 『笑点』の大喜利にデビュー
 落語家と酒の切っても切れない関係
 横山やすしさんとの出会い
 東の酒の横綱・三遊亭小円遊さん
 三遊亭好楽さん、師匠のツケで呑んで大目玉
 川柳・俳句は噺家のたしなみ


第七章 渡る世間はヘマばかり
 弟子もつらいが師匠もつらいよ
 おかみさんとの出会い
 結婚式をダブルブッキング!?
 妹に見送られて亡くなった父
 ひょんなことから家を買う
 長男、林家きくおのこと


■巻末付録■編集部特別インタビュー
おかみさんから見た林家木久蔵


あとがき

抄録

 はじめに


 カーキ色の軍服に身を包み整列した軍隊の行進が続きます。ラッパを吹く兵を先頭に、銃をかついだ兵の一団が進むと、また次の部隊が現れます。
 人形町から浜町方面に向かって、隊列勇ましく軍靴の音高く進んで行きます。
 陸軍の歩兵隊のあとを、轟々とキャタピラの音をひびかせて、次は戦車が続きます。両側の沿道には人の波、手に手に紙の日の丸の旗をふり、陸軍の行軍演習を見学しています。
 バンザイ! バンザイ! 兵隊さんバンザイ! ラッパの音が、トテチテタ トテチテタ と幼い子どもたちの耳に聞こえます。そしてそれをもじって僕たちは替え歌の合唱をくり返します。


    トッテッタ、トッテッタ
    なにトッテッタ
    ネコがネズミをトッテッタ (くり返す)


 僕が四歳だった昭和十六年に、日本軍は中国大陸に戦火を拡大させながら、今度はアメリカ、イギリスを敵として新たな戦争をはじめて、これを大東亜戦争と呼称していました。
 僕の幼少時代は、日本が世界を相手に国民を鼓舞しながら、国運を不幸な道へと傾けてゆく途中でしたから、子ども心にも何だかまわりがおかしいなぁと思ったシーンが度々ありました。
 それでも東京大空襲以前は、東京の下町の朝はまだ平和でした。僕の生家は日本橋久松町。久松小学校正門前に並ぶ商店の煮豆屋で、ふうふう炊きたてのうずら豆を買って、納豆売りの老人から納豆を、豆腐売りのおじさんから豆腐と油揚げを味噌汁の具に求め、あとは焼きのりに古漬けのお新香、父を中心に丸いちゃぶ台を一家が囲み、おひつからは炊きたての白いごはんの湯気がたちのぼり、なごやかな気配でした。
 僕が六歳になった昭和十八年、ビクターから出たお正月用のレコードがあります。


   「坊やお聞きよ」
            門田ゆたか/詞
            島口駒夫/曲
  一、坊や美味いか 特配の
    砂糖で炊いた豆の味
    これもみなみの 国からの
    兵隊さんの贈り物
  二、坊やいつかのゴムまりは
    仏印進駐の 記念品
    今にアメリカ 亡ぼして
    自動車ぐらいは 土産物


 この歌とはうらはらに戦果は悪い方向へと進んでいて、僕たち少年少女は少国民と呼ばれ、国の物資の不足を「欲しがりません勝つまでは」と勝つはずのない戦争に期待させられていました。実際、昭和十八年には、正月用の砂糖と清酒がちょっぴり家庭に配給されるだけという生活に、もうすでになっていました。


   きのう生まれたブタの子は/ハチに刺されて名誉の戦死/ブタの遺骨はいつ帰る/
   四月八日の朝帰る/ブタの母さん可哀そう


 こんな替え歌も覚えています。「湖畔の宿」(佐藤惣之助/詞、服部良一/曲)がもと歌で、これも子どもたちの間で大流行したものです。


※この続きは製品版でお楽しみください。

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