和書>小説・ノンフィクション>恋愛小説>ティーンズラブ小説
著者プロフィール
立花 実咲(たちばな みさき)
射手座。オリジナル恋愛小説サイトSWEETxxxPAINで恋愛小説を公開しています。サイト名の由来は、甘いキスを、そして、切ない恋を。色々なテイストがありますが、それぞれのカップルが幸せなハッピーエンドを迎えています。趣味はやっぱり小説を読む&書くこと。アジア料理が好きです。よろしくお願いします♪
射手座。オリジナル恋愛小説サイトSWEETxxxPAINで恋愛小説を公開しています。サイト名の由来は、甘いキスを、そして、切ない恋を。色々なテイストがありますが、それぞれのカップルが幸せなハッピーエンドを迎えています。趣味はやっぱり小説を読む&書くこと。アジア料理が好きです。よろしくお願いします♪
解説
大企業の後継者・奏多と真由は、大学時代、奏多の母親から「身分違い」を理由に交際を反対され、泣く泣く別れた元恋人同士。真由は奏多を忘れられず、独り身のまま、大手広告代理店で仕事に邁進する日々を送っていた。悲しみの別れから3年後、とある仕事の打ち合わせで再会してしまった奏多と真由。もう2人を止められるものは何もなくて……!? 逢えない日々に想いは募る、忘れられない☆ファースト・ラブ!
抄録
宮代先輩の手に強引に連れていかれて、私はカフェの裏にある店長の自宅に停めてあった車の方へ行った。そこには白いベンツが待っていて、ますます私を緊張させた。
「本当にいいんですか?」
「俺が、お願いしたんだよ」
どうぞ、とドアを開けられて、私はおそるおそる助手席に乗る。
運転席に乗った宮代先輩を見るのが新鮮で、ハンドルに置かれた彼の手の形がよく分かると、さっきよりも密室になった空間にドキドキが止まらなくなってしまった。
宮代先輩はどういうつもりか分からない。私だけがこうして夢中にされていく。
整った綺麗な顔を眺めながら、私はまた胸が苦しくなるのを感じた。
優しい清潔感のある香りがした。フレグランスか何かなのか。いつもカフェで感じていた彼の匂いがする。
「北原さん、ありがとう」
「え? あ、もう到着……」
何も喋らないうちに……と思っていると、そうじゃなかった。
「社会勉強、楽しかった。頼まれたっていうのが本音だけど……普段、知り合えない人と話したり」
「……宮代先輩」
「そうだ。俺はまた君の先輩に戻るんだ。明日でアルバイト終わり」
「そう……なんですか?」
分かっていても胸が苦しくなる。
「うん。海外にいる父に呼ばれてて、卒業式後にはパーティがあるんだ。面倒なんだけどね」
「………凄いですね」
やっぱり住んでいる世界が違うのだろうと思った。
「北原さんとは、シフトを見たら今日で終わりだったから。それで、挨拶しようと思って」
確かに私は明日のシフトには入っていない。
私なんか……逃げるように帰ったくせに、なんだか恥ずかしい。
その上、先輩がいなくなると知ったら、急に寂しくてたまらなくなってしまった。
「ありがとう」
「……ありがとうだなんて、宮代先輩は慣れてましたし、私が教えることなんかなかったし、他の子たちとの方が楽しそうにしてたし――」
私の口がやきもち妬きになったみたい。
はっとして顔をあげると、私のおでこに、宮代先輩の唇がやさしく触れた。
「……先輩」
私は思わずおでこに手をあてた。
「そんなふうに、自分を卑下するのはよくないよ。せっかく姿勢もよくて、笑顔も可愛いんだから、自信を持てばいいよ。ずっと君を見てて思ってたんだ。お客さんに接するときの君の笑顔が……いいなって思ってた」
にっこりと微笑んだ顔が素敵だった。
「嬉しいです。そんなふうに言ってもらえるなんて……」
「お世辞じゃないからね」
「ありがとうございます」
最後に、私は先輩からエールをもらった。
それが私を変えるきっかけだったと思う。
胸が熱くて切なくて、燃えるように焦がれている。
白いベンツを見送ってから、私は追いかけてしまいたくなった。すごく泣きたくなった。
もっと話をすればよかった。もっと笑顔を見せればよかった。
「宮代先輩……好きです」
言ってしまえたらよかったのに。
眼鏡が曇って、涙でぐちゃぐちゃで何も見えなかった。
*この続きは製品版でお楽しみください。
「本当にいいんですか?」
「俺が、お願いしたんだよ」
どうぞ、とドアを開けられて、私はおそるおそる助手席に乗る。
運転席に乗った宮代先輩を見るのが新鮮で、ハンドルに置かれた彼の手の形がよく分かると、さっきよりも密室になった空間にドキドキが止まらなくなってしまった。
宮代先輩はどういうつもりか分からない。私だけがこうして夢中にされていく。
整った綺麗な顔を眺めながら、私はまた胸が苦しくなるのを感じた。
優しい清潔感のある香りがした。フレグランスか何かなのか。いつもカフェで感じていた彼の匂いがする。
「北原さん、ありがとう」
「え? あ、もう到着……」
何も喋らないうちに……と思っていると、そうじゃなかった。
「社会勉強、楽しかった。頼まれたっていうのが本音だけど……普段、知り合えない人と話したり」
「……宮代先輩」
「そうだ。俺はまた君の先輩に戻るんだ。明日でアルバイト終わり」
「そう……なんですか?」
分かっていても胸が苦しくなる。
「うん。海外にいる父に呼ばれてて、卒業式後にはパーティがあるんだ。面倒なんだけどね」
「………凄いですね」
やっぱり住んでいる世界が違うのだろうと思った。
「北原さんとは、シフトを見たら今日で終わりだったから。それで、挨拶しようと思って」
確かに私は明日のシフトには入っていない。
私なんか……逃げるように帰ったくせに、なんだか恥ずかしい。
その上、先輩がいなくなると知ったら、急に寂しくてたまらなくなってしまった。
「ありがとう」
「……ありがとうだなんて、宮代先輩は慣れてましたし、私が教えることなんかなかったし、他の子たちとの方が楽しそうにしてたし――」
私の口がやきもち妬きになったみたい。
はっとして顔をあげると、私のおでこに、宮代先輩の唇がやさしく触れた。
「……先輩」
私は思わずおでこに手をあてた。
「そんなふうに、自分を卑下するのはよくないよ。せっかく姿勢もよくて、笑顔も可愛いんだから、自信を持てばいいよ。ずっと君を見てて思ってたんだ。お客さんに接するときの君の笑顔が……いいなって思ってた」
にっこりと微笑んだ顔が素敵だった。
「嬉しいです。そんなふうに言ってもらえるなんて……」
「お世辞じゃないからね」
「ありがとうございます」
最後に、私は先輩からエールをもらった。
それが私を変えるきっかけだったと思う。
胸が熱くて切なくて、燃えるように焦がれている。
白いベンツを見送ってから、私は追いかけてしまいたくなった。すごく泣きたくなった。
もっと話をすればよかった。もっと笑顔を見せればよかった。
「宮代先輩……好きです」
言ってしまえたらよかったのに。
眼鏡が曇って、涙でぐちゃぐちゃで何も見えなかった。
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