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あしながおじさん

あしながおじさん


発行: グーテンベルク21
シリーズ: あしながおじさん
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 
対応端末:パソコン ソニー“Reader”
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著者プロフィール

 ジーン・ウェブスター(Jean Webster)
 (1876〜1916)
 ニューヨーク生まれ。父は出版社の経営者、母は文豪マーク・トウェインの姪という、文学的に恵まれた環境で育ち、学生時代から新聞に記事を書くなどしていた。大学在学中から孤児院などの社会事業に興味を持ち、作品にも多くの影響を与える。そうして書き溜めた短編を収めた「パティー大学に行く」を出版するが、当初はなかなか認められなかったという。
 作家として成功してからも、社会事業に関心を持ち続けた彼女の一番の傑作は、36歳のとき執筆した「あしながおじさん」であることは有名。
 1945年に結婚。翌年、女児を出産するが、その直後40歳の若さでこの世を去った。

解説

 孤児院に育った少女ジューディに幸運が訪れる。月に一度手紙を書くという約束で大学に入れてくれるという紳士があらわれたのである。「あしながおじさん」は、快活で機知にとむジューディがこの約束にそって書いた手紙形式の物語。90年も前の作品にもかかわらず、今なお世界中の人たちに愛され親しまれている名作。

目次

くらい水曜日
ジールシャ・アボット嬢があしながおじさんのスミス氏に出した手紙
 ファーガスン寮二一五号にて
 病院にて
 ロック・ウィロウ農場にて
 マサチューセッツ州、ウスター、「ストーン・ゲイト」にて
 ロック・ウィロウ農場にて
 マクブライド家のキャンプにて
 ロック・ウィロウにて

抄録

 毎月の第一水曜日は「ほんとうにおそろしい日――びくびくしながら待ち、勇気をふるいおこしてじっとがまんし、おおいそぎで忘れてしまおうとする日でした。床という床はしみひとつないようにし、腰かけからはほこりをはらい、ベッドにはぜんぶ小じわひとつあってもいけないのです。少しもじっとしないで動きまわっている小さな孤児たちを、ごしごしと洗い、髪をとかし、きちんとのりづけした服に着がえさせてやらなければなりません。そのうえ、この九十七人の子供たちに、それぞれ、お行儀をよくするようにいってきかせ、評議員さんたちになにかいわれたら、「はい、そうです」、「いいえ、そうではありません」と返事するように、教えこまなければならないのです。
 その日はとてもつらい一日でした。かわいそうに、ジールシャ・アボットは、孤児のなかでいちばん年上だったので、すっかりひどい目にあってしまいました。でも、今日のこの第一水曜日も、いままでの水曜日と同じように、やっと終わりに近づいてきました。ジールシャはこの孤児院のお客さまに出すサンドウィッチを台所でつくっていたのですが、そこをぬけだして、ふだんきめられている自分の仕事をしに、二階に上がっていきました。ジールシャの受持ちはF号室で、そこには、四つから七つまでの十一人の子供たちが、一列にならんだ十一のベッドに寝ているのです。ジールシャはこの子供たちを集め、そのしわだらけの服をのばし、鼻をかんでやり、きちんとおとなしく一列になって食堂のほうにいかせました。これは、そこで子供たちが、三十分のあいだ、楽しくパンとミルク、それにすもものプディングをごちそうになるためだったのです。
 そうしてから、彼女はぐったりと窓ぎわの腰かけにすわりこみ、ズキズキいたむこめかみを冷たい窓ガラスにおしつけました。いままで朝五時から立ちずくめで、みんなからいわれるとおりに飛びまわり、いらいらしている院長さんにしかられたり、追いつかわれたりしていたのです。リペット院長さんは、評議員さんや女のお客さまの前では、静かに堂々とりっぱな態度をしていたのですが、かげではいつもそうとはかぎりませんでした。ジールシャが外をながめると、凍《こお》りついたひろびろとした芝生《しばふ》、孤児院のまわりに立っている高い鉄の柵《さく》、別荘《べっそう》があちらこちらに散らばっているうねうねとした丘、葉が散ってしまった木のあいだにそびえ立ってみえる教会の塔が目にはいってきました。
 その日は、彼女が知っているかぎりでは、大成功で終わったのでした。評議員さんや視察委員さんたちは、なかを見てまわり、報告を読みあげ、お茶をごちそうになって、いまいそいで楽しいわが家にもどり、このやっかいな小仕事を一月のあいだ忘れようとしていました。ジールシャは窓からからだをのりだし、ものめずらしそうに――そしてちょっとさびしい気分になりながら――孤児院の門から出ていく馬車や自動車の流れを眺めていました。ジールシャは空想のなかでつぎからつぎへと走っていく車のあとについていって、丘に散らばって立っている大きな邸《やしき》にもどることを考えていました。ジールシャは、毛皮の外とうに身をくるみ、羽毛でかざった帽子をかぶり、座席にふんぞりかえって、ぎょ者にむぞうさに「うちへ」と小声で命じている自分の姿を、想像してみました。でも、こうした空想は、家の戸口のところで、ぼやけたものになってしまったのです。
 ジールシャは空想力のある子でした。リペット院長さんの話によれば、気をつけないとたいへんなことになる空想力の持ち主でした。でも、それがどんなに鋭いものにせよ、それだけでは、彼女がはいっていこうとしている邸の正面玄関から奥のほうは、もうだめでした。かわいそうなことに、熱心で冒険《ぼうけん》ずきな子供のジールシャは、この十七になるまで、ふつうの家には一度もいったことがなかったからです。面倒《めんどう》な孤児なんぞいない、毎日のくらしをしているほかの人たちの日常生活を、ジールシャは空想してみることができませんでした。

 ジールシャ・アボット
 およびだよ
 事務所でね
 いそいでいったほうが
 いいようだよ

 聖歌隊《せいかたい》にはいっているトミー・ディロンが、歌いながら階段をのぼり、ろうかを歩いてきて、F号室に近づくにつれてその歌声は大きくひびいてきました。ジールシャはふしょうぶしょう窓からはなれ、またつらい日々の生活に顔をつきあわせました。
「だれがよんでるの」とても心配そうな声で、ジールシャはトミーの歌声をさえぎりました。

 事務所のリップ院長さん
 どうやらカンカンにおこってるよ
 アーメン

*この続きは製品版でお楽しみください。

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