和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>極道・刑事
解説
「忠龍会の華」と称えられる美貌と商才に恵まれた忠龍会緒方組の組長、緒方は、若頭、江島の恋情に気づきながらもそれを無視し続けてきた。ある夜、深酒の勢いで緒方は江島を誘い、抱かれる。揺らぐ主従の絆。江島との口論の末、緒方は不慮の転落事故で記憶を失くしてしまう。神社で神主となった身元不明の男と彼を助けた親切な会社員として、二人は新たに出逢い、燃えるような恋に落ちていくのだが……
目次
第一章 龍の徒華
第二章 過ちの情事
第三章 揺らぐ絆
第四章 雨夜に消えた過去
第五章 美しき兎石の神官
第六章 極まる恋情
第七章 憂いの巫女舞
第八章 修羅の桜
第九章 つがいの証
もみじの兎石神社日記
第二章 過ちの情事
第三章 揺らぐ絆
第四章 雨夜に消えた過去
第五章 美しき兎石の神官
第六章 極まる恋情
第七章 憂いの巫女舞
第八章 修羅の桜
第九章 つがいの証
もみじの兎石神社日記
抄録
「組長さん。あんたが欲しい」
高崎はニヤリと吊り上げた唇で、躊躇なく言い放った。
こちらの反応を楽しみにしている顔だ。
酒宴の余興にでもしようというつもりか。
両脇の幹部たちも明らかに緒方を軽く見ている。心の中でせせら笑っている顔だ。
このような馬鹿げた仕打ちで動揺する緒方ではなかった。
神戸から東京に移り住んで四年、人前では標準語に整えた口調は落ち着き払っている。
「どういう意味でしょうか?」
「言葉どおりさ。葬式(義理場)で見て一目惚れしたんだよ、あんたに。こうして直接逢って、ますます惚れちまった。これほどの美人は、そうそういねえだろう」
高崎が格好つけて指を鳴らすと、座敷の隅にある金屏風の陰から豪華な花束が現れた。鮮やかな色合いの、香り高い赤薔薇だ。
高崎は邪魔な膳をのけさせると、部下から渡されたそれを、片膝を立て気障な仕草で緒方に捧げる。緒方の好きな花を調べたのだろう。
「男になんか興味はねえが、あんたは特別だ」
緒方は婉然と微笑んで受け取った。顔を近づけ高貴な香りをしばらく楽しんでから、自分の脇に置く。
高崎の手が緒方の頬に伸びてくる。
そっと愛おしむように触れてきた手のひらは、じんわりと汗をかいている。
「俺の女にならねえか? あんたなら、こっちが一億出してもいい」
「承知しました」
緒方はあっさりと呑むなり、立ち上がった。
油断なく構えている幹部や護衛の組員も、懐に手をやり中腰になる。
緒方は意に介さず、その場で衣服を一枚ずつ潔く脱いでは足元に落としていく
高崎は畳に座り込み驚き顔で眺めていたが、そのうち、すうっと目を細めた。口元が満足そうに微笑んでいる。下品に音を立て生唾を飲む。
今にも制止の声を上げそうになる江島を無視し、緒方はあっという間に一糸纏わぬ姿になった。あらわになった白磁の肌を、いくつものいやらしい男の視線が舐める。
そんなことはお構いなしに、緒方は高崎の視界の中で余裕たっぷりに唇の片端を持ち上げた。右膝をつくなり、トランクの中の札束をすべて畳にぶちまける。そして高崎の胸倉をグイッと掴み上げた。
「……!」
*この続きは製品版でお楽しみください。
高崎はニヤリと吊り上げた唇で、躊躇なく言い放った。
こちらの反応を楽しみにしている顔だ。
酒宴の余興にでもしようというつもりか。
両脇の幹部たちも明らかに緒方を軽く見ている。心の中でせせら笑っている顔だ。
このような馬鹿げた仕打ちで動揺する緒方ではなかった。
神戸から東京に移り住んで四年、人前では標準語に整えた口調は落ち着き払っている。
「どういう意味でしょうか?」
「言葉どおりさ。葬式(義理場)で見て一目惚れしたんだよ、あんたに。こうして直接逢って、ますます惚れちまった。これほどの美人は、そうそういねえだろう」
高崎が格好つけて指を鳴らすと、座敷の隅にある金屏風の陰から豪華な花束が現れた。鮮やかな色合いの、香り高い赤薔薇だ。
高崎は邪魔な膳をのけさせると、部下から渡されたそれを、片膝を立て気障な仕草で緒方に捧げる。緒方の好きな花を調べたのだろう。
「男になんか興味はねえが、あんたは特別だ」
緒方は婉然と微笑んで受け取った。顔を近づけ高貴な香りをしばらく楽しんでから、自分の脇に置く。
高崎の手が緒方の頬に伸びてくる。
そっと愛おしむように触れてきた手のひらは、じんわりと汗をかいている。
「俺の女にならねえか? あんたなら、こっちが一億出してもいい」
「承知しました」
緒方はあっさりと呑むなり、立ち上がった。
油断なく構えている幹部や護衛の組員も、懐に手をやり中腰になる。
緒方は意に介さず、その場で衣服を一枚ずつ潔く脱いでは足元に落としていく
高崎は畳に座り込み驚き顔で眺めていたが、そのうち、すうっと目を細めた。口元が満足そうに微笑んでいる。下品に音を立て生唾を飲む。
今にも制止の声を上げそうになる江島を無視し、緒方はあっという間に一糸纏わぬ姿になった。あらわになった白磁の肌を、いくつものいやらしい男の視線が舐める。
そんなことはお構いなしに、緒方は高崎の視界の中で余裕たっぷりに唇の片端を持ち上げた。右膝をつくなり、トランクの中の札束をすべて畳にぶちまける。そして高崎の胸倉をグイッと掴み上げた。
「……!」
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