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解説
眼鏡課長シリーズ第2弾! 晴れてカップルとなった千佳子と、上司のクールな眼鏡課長・冬彦。ある日、アメリカにいるおばあちゃんが、アメリカ人の男の子・マイクを連れて一時帰国。マイクが千佳子のことを気に入ったことから、千佳子・冬彦・マイクの国際的三角関係が勃発……!! マイクへのあてつけか、冬彦のオレ様キャラが爆発した見境のないエッチに、千佳子はもうメロメロで……!?
抄録
「進捗は以上です」
「わかった。遅れはないってことでいいな」
「問題ありません」
少し張り詰めた空気の会議室。営業部長への進捗報告は毎回緊張してしまう。冬彦(ふゆひこ)さんとは違うプレッシャー。
「そうか、小泉(こいずみ)君の方からは何かあるか?」
「ありません」
まさか話しかけられると思ってはいなかったが、これまでのやりとりは頭に入っている。私の抱えていた疑問点はすべて冬彦さんが上げてくれていた。
「では、今後も西条(さいじょう)君の補佐を続けてくれ」
今までにこんな労いの言葉をかけられたことはなく、すぐには反応ができなかった。
「西条君の補佐がこんなに続いたのは小泉君が初めてだ。西条君に腕があるのは確かなんだが、今まではそれが充分に発揮されていなかった。そういう意味で君は西条君の力を一〇〇%を引きだしている。これからも、がんばってくれ」
「はい」
冬彦さんが期待されているのは知っていたが、こうして部長直々に称賛の言葉を述べているのを見るのは初めてで、噂の現場を見てしまった気分になる。
最後にドアまで部長を見送り、会議室の扉が閉まる。室内には冬彦さんと私の二人きり。
「ふぅ」
張り詰めていた空気が緩み、思わずため息がこぼれる。
「なんだ。ため息なんてついて」
どこか、笑いを含んだ言い方に少しむっとする。冬彦さんは普通に会話をしているし、物怖じするところもない。それでも私は冬彦さんよりも上の人となれば緊張してしまう。冬彦さんだって、今の関係がなければ、やはり緊張の対象だったはずだ。
「課長はどうか分かりませんが、普通は緊張すると思いますよ」
そんな私の言葉に鼻で笑った冬彦さんは、軽くネクタイを緩める。私は腕時計に目をやって時間を確認した。時計はすでに二十時半を回っている。
「別に相手は地球外生命体でもあるまい」
そんな返しに、私とは次元が違うと諦めのため息を心の中でこぼす。この人にかかれば社長だって同じ人間として普通に接してしまうのだろう。
「ずいぶんと部長から信頼されているんですね」
他の営業の人の補佐をしたことはないから分からないけれど、あんなふうに期待を前面に出したことを言われるなんて、そんなにあるとは思えない。現に私だって一年経って初めて耳にした。私がいない時に冬彦さんが言われている可能性はあるかもしれないけど。
「ああ、あの人がこの会社に俺を呼んだ本人だからな。期待云々じゃなくて、自分が引っ張った人間が使えなかったら困るから脅してるんだろう」
「なんて言い方を」
こんな口の悪さも実力のせいか、どこか部内で黙認されている。そして、私の前任の営業補佐が長続きしなかったこともさんざん聞かされてきた。
私が冬彦さんの補佐になり、そろそろ一年になる。
「ところで、千佳子(ちかこ)」
「はい」
キリっと返事をしたものの、下の名前で呼ばれたことで冬彦さんが仕事モードから切り替えたことが分かる。先ほどとは違う種類の緊張がやってきた。
「この後の仕事の予定は?」
「今日はこの社内報告で遅くなると思っていたので、特には」
「そうか」
扉の内側で部長を見送ったまま立ち話をしていた私と冬彦さん。冬彦さんの手が扉にかかっていたので、当然会議室を出るものだと思って、一歩前へと進んだ。
───カチリ
耳に届いた鍵の閉まる音。そして、踏み出した二歩目は予想を裏切った冬彦さんとの距離を縮めた。
「じゃあ、今日の業務は終了だ」
そう宣言すると同時に、冬彦さんが眼鏡を外した。
「ふ、冬彦さん……」
会社にいる時には珍しく私はうろたえた。だって、今の私はちゃんとメークをしている。
「ここ最近、あまり時間取れなかっただろう?」
確かにここ最近は新規商品のプレゼンなどがあり、出張やその準備、営業回りなど、私も冬彦さんもそれぞれに忙しい日々を送っていた。当然、デートなんてゆっくりする暇もなく、会社帰りにどちらかの家に泊まったりするぐらいだった。
「確かに、時間は取れていませんでしたが、それが今関係あるのでしょうか?」
「俺はさっき業務終了って言っただろ。そんなお堅い喋り方はなしだろ」
眼鏡を取った瞳が私を捉えて、見えない糸で絡め取る。
「でも……、ここ会社で」
「だから?」
「だからって」
元々、近づきすぎていた距離がゼロになる。
「んっ……」
*この続きは製品版でお楽しみください。
「わかった。遅れはないってことでいいな」
「問題ありません」
少し張り詰めた空気の会議室。営業部長への進捗報告は毎回緊張してしまう。冬彦(ふゆひこ)さんとは違うプレッシャー。
「そうか、小泉(こいずみ)君の方からは何かあるか?」
「ありません」
まさか話しかけられると思ってはいなかったが、これまでのやりとりは頭に入っている。私の抱えていた疑問点はすべて冬彦さんが上げてくれていた。
「では、今後も西条(さいじょう)君の補佐を続けてくれ」
今までにこんな労いの言葉をかけられたことはなく、すぐには反応ができなかった。
「西条君の補佐がこんなに続いたのは小泉君が初めてだ。西条君に腕があるのは確かなんだが、今まではそれが充分に発揮されていなかった。そういう意味で君は西条君の力を一〇〇%を引きだしている。これからも、がんばってくれ」
「はい」
冬彦さんが期待されているのは知っていたが、こうして部長直々に称賛の言葉を述べているのを見るのは初めてで、噂の現場を見てしまった気分になる。
最後にドアまで部長を見送り、会議室の扉が閉まる。室内には冬彦さんと私の二人きり。
「ふぅ」
張り詰めていた空気が緩み、思わずため息がこぼれる。
「なんだ。ため息なんてついて」
どこか、笑いを含んだ言い方に少しむっとする。冬彦さんは普通に会話をしているし、物怖じするところもない。それでも私は冬彦さんよりも上の人となれば緊張してしまう。冬彦さんだって、今の関係がなければ、やはり緊張の対象だったはずだ。
「課長はどうか分かりませんが、普通は緊張すると思いますよ」
そんな私の言葉に鼻で笑った冬彦さんは、軽くネクタイを緩める。私は腕時計に目をやって時間を確認した。時計はすでに二十時半を回っている。
「別に相手は地球外生命体でもあるまい」
そんな返しに、私とは次元が違うと諦めのため息を心の中でこぼす。この人にかかれば社長だって同じ人間として普通に接してしまうのだろう。
「ずいぶんと部長から信頼されているんですね」
他の営業の人の補佐をしたことはないから分からないけれど、あんなふうに期待を前面に出したことを言われるなんて、そんなにあるとは思えない。現に私だって一年経って初めて耳にした。私がいない時に冬彦さんが言われている可能性はあるかもしれないけど。
「ああ、あの人がこの会社に俺を呼んだ本人だからな。期待云々じゃなくて、自分が引っ張った人間が使えなかったら困るから脅してるんだろう」
「なんて言い方を」
こんな口の悪さも実力のせいか、どこか部内で黙認されている。そして、私の前任の営業補佐が長続きしなかったこともさんざん聞かされてきた。
私が冬彦さんの補佐になり、そろそろ一年になる。
「ところで、千佳子(ちかこ)」
「はい」
キリっと返事をしたものの、下の名前で呼ばれたことで冬彦さんが仕事モードから切り替えたことが分かる。先ほどとは違う種類の緊張がやってきた。
「この後の仕事の予定は?」
「今日はこの社内報告で遅くなると思っていたので、特には」
「そうか」
扉の内側で部長を見送ったまま立ち話をしていた私と冬彦さん。冬彦さんの手が扉にかかっていたので、当然会議室を出るものだと思って、一歩前へと進んだ。
───カチリ
耳に届いた鍵の閉まる音。そして、踏み出した二歩目は予想を裏切った冬彦さんとの距離を縮めた。
「じゃあ、今日の業務は終了だ」
そう宣言すると同時に、冬彦さんが眼鏡を外した。
「ふ、冬彦さん……」
会社にいる時には珍しく私はうろたえた。だって、今の私はちゃんとメークをしている。
「ここ最近、あまり時間取れなかっただろう?」
確かにここ最近は新規商品のプレゼンなどがあり、出張やその準備、営業回りなど、私も冬彦さんもそれぞれに忙しい日々を送っていた。当然、デートなんてゆっくりする暇もなく、会社帰りにどちらかの家に泊まったりするぐらいだった。
「確かに、時間は取れていませんでしたが、それが今関係あるのでしょうか?」
「俺はさっき業務終了って言っただろ。そんなお堅い喋り方はなしだろ」
眼鏡を取った瞳が私を捉えて、見えない糸で絡め取る。
「でも……、ここ会社で」
「だから?」
「だからって」
元々、近づきすぎていた距離がゼロになる。
「んっ……」
*この続きは製品版でお楽しみください。
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