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「バガボンド」と宮本武蔵の謎

「バガボンド」と宮本武蔵の謎

著: 巨椋修
発行: コアラブックス
価格:1,365円(税込)
10ポイント還元
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対応端末:パソコン 
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著者プロフィール

 巨椋 修(おぐら おさむ)
 1961年、神戸市生まれ。小説家・漫画家。
 1982年「デラックスマーガレット」で漫画家デビュー。1996年「実戦! ケンカ空手家烈伝」にて作家デビュー。同年、総合格闘技 陽明門護身拳法道場を発足。日本映画監督新人協会役員。

解説

 超人気コミック「バガボンド」解体白書! 人気の秘訣、登場人物から学ぶ人生、実在の武蔵像……井上雄彦が描く宮本武蔵を徹底分析しちゃいます。青年は武蔵を目指すのだ!!

目次

序章 なぜいま『バガボンド』=武蔵なのか? 〜現代の若者かたぎ
第1章 バガボンドはなぜ受ける?
第2章 バガボンドから学ぶ
第3章 吉川「武蔵」と井上「武蔵」の比較
第4章 実在の「武蔵」とはどういう人物だったか?
第5章 『バガボンド』名セリフ集
終章 青年は「武蔵」をめざす

抄録

   「武蔵」から青春を学ぶ


 どんな人間にも若いと言われる時代がある。人生を春夏秋冬にあてはめるとしたら、十代後半から二十代前半は春から初夏にいたる時代だろう。
 若いということは、まだまだ経験が足りないということでもある。そして、若葉のように傷つきやすいと言うことでもある。
 『バガボンド』の武蔵は、十七歳からの物語である。関ヶ原の戦場からその物語ははじまる。武蔵と又八という十七歳の若者が、大志をいだいて戦《いくさ》に 出る。ときは戦国、いっかいの百姓町人から一国一城の主《あるじ》になった者もいる時代だ。若者は夢をみる。
 「おれも……」と。
 しかし現実はきびしい。足軽、雑兵として参戦した武蔵や又八の仕事の多くは、戦場で戦うことよりも、草や雑木を刈ったりするほうが多かった。しかも負け戦であった。武蔵がついた西軍は、徳川家康ひきいる東軍に打ち負かされてしまうのだ。
 武蔵と又八の夢は破れた。
 挫折である。落ち武者狩りにあい逃げるしかない武蔵。みじめであったろう、しかしそれは、生き残りをかけた闘いでもあった。
 最初の夢に破れた武蔵は、次の夢を剣にかける。剣には自信があった。十三歳のときに兵法者と闘い打ち勝っている。
 野武士とも闘い打ち勝った。武蔵は自信を深めていく。
 しかし世の中には、名のある武芸者も多い。そんな武芸者がどれくらい強いのかは、まだわからない。
 自信はある。しかし不安もある。剣に生きるということは、命のやりとりをするということだ。負ければ死ぬ。
 武蔵は友に去られ、恋を知る。
 そして悩む。
 マンガ『バガボンド』における武蔵は最初、強さを求めるだけの若者であった。そのために多くの人命を奪ってしまった。
 そんな武蔵に、強さとは、人生とはなにかというアドバイスを与える者がいた。禅宗の僧「沢庵」である。
 新免武蔵《しんめんたけぞう》は、宮本武蔵と名を代えて名門剣術道場である吉岡一門、槍術で有名な宝蔵院、将軍家指南役柳生一門に挑戦する。


 これがこれまで掲載されている『バガボンド』の大まかなストーリーである。
 恋をし、天下無双という夢のため命がけで強者に挑んでは、挫折する。
 そこに「バガボンド・武蔵」の青春がある。
 その青春は現代を生きる若者と大きな差はない。
 オリンピックを目指すスポーツマン、プロ野球を目指す高校球児、資格をとるべく努力するサラリーマン、受験生……
 現代の若者との差は、命のやりとりをするかどうか……と、いうところだろう。負ければ死もしくは不具になる可能性がたかい。勝てば生き残り、倒した相手やその家族から怨みを残す結果に終わることもある。それだけに「バガボンド・武蔵」の青春は、燃えたぎり沸騰し強烈な光を放っているのである。
 武蔵は、人から“悪鬼”“野獣”と、呼ばれたりもする。しかし人という生き物は、ひとりでは生きて行けないようにできているのだ。武蔵は孤独に悩み傷つき、苦しむ。
 生涯浪人であった武蔵が、頼るべきものは腰に差した二刀のみであっただろう。剣のみが、武蔵の存在を証明してくれるものであった。そのために彼は、剣の腕を磨き、名の知れた武芸者と戦い、自分の存在を示さねばならなかった。
 武蔵が剣の腕を磨くのは、未知なる敵、未知なる人生に立ち向かうための手段である。
 武蔵が、強敵を探し挑戦するのは、自分という何者かを自分が確認するための作業でもある。
 そこに武蔵の青春がある。
 そこに武蔵の荒ぶる咆吼がある。
 「バガボンド・武蔵」からひとつの青春を学ぶことができる。
 それは問題や敵から逃避しないということだ。「バガボンド・武蔵」は、槍の宝蔵院胤舜と戦い、さんざんに追い回され無惨な敗北を経験している。しかし、そのあと武蔵は自分の弱さを思い知り傷ついている。そしてどうすれば良いのかを考え、実行する。武蔵にとって“実行”とは勝つための訓練と再び試合をすることであった。

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