和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>王子
著者プロフィール
紫真 晶(しま しょう)
出身地 長野県
生年月日 1月31日 みずがめ座 B型
こうして読んでいただくことができてとても嬉しいです。ありがとうございます。
出身地 長野県
生年月日 1月31日 みずがめ座 B型
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解説
小国の王子・エミルは狩りの途中で盗賊に襲われて深手を負ってしまう。森をさまよい助けを求めた城の主・ラウールは、威圧的で他者を拒絶するような雰囲気を持っていたが、エミルを城へ迎え入れて自ら傷の手当てまでしてくれた。ラウールが何者か知れないため身分を詐称して滞在していたエミルだったが、的確に手当てをしてくれる彼に次第に心を許していく。しかし、エミルの正体が明かされるとラウールの態度が急変し──……。【描き下ろしカラーイラスト付き】
抄録
ラウールは暖炉の前の椅子に座っていた。王のように堂々と。
一日ぶりに会えて嬉しくてパッと顔を輝かせたが、ふと怯えを感じて足がすくむ。赤々と燃える炎に照り映える端整な顔は、今まで見たことのない冷酷な表情を浮かべていたのだ。
少年が退出し、座る場所も示されないまま、エミルは痛む腹を押さえた。長く歩いたせいで傷が疼き始めている。
暖炉の熱が行き届いて室内はあたたかいのに背筋が冷え、エミルは震える息を吐いた。
「なにを怖れている。お前は王の部屋に招かれたのだぞ。ここへ来い」
(王? ラウールはなにを言って……)
足を踏み締めて近づいていく。ラウールが立ち上がり、荒々しく手首をつかんだ。
「……っ、お話とはなんでしょうか?」
握られた手をつくづくと眺められてギョッとした。ラウールの様子がいつもと違う。
「美しい……。労働をしたことのない者の手だな。……お前は、誰だ?」
鋭い双眸に瞳を射貫かれ、心臓が喉元まで跳ね上がった。痛いほど緊張が張りつめる。
「──僕は、エミル……」
「エミル・ド・ブランシェール。この国の王子、いや、ハノンの二番目の息子だな」
「……! は、はい、ああっ」
とたん、高々と腕を吊り上げられた。急激な動きに腹が引きつり、抗ったのにまるで力が入らない。
一日ぶりに会えて嬉しくてパッと顔を輝かせたが、ふと怯えを感じて足がすくむ。赤々と燃える炎に照り映える端整な顔は、今まで見たことのない冷酷な表情を浮かべていたのだ。
少年が退出し、座る場所も示されないまま、エミルは痛む腹を押さえた。長く歩いたせいで傷が疼き始めている。
暖炉の熱が行き届いて室内はあたたかいのに背筋が冷え、エミルは震える息を吐いた。
「なにを怖れている。お前は王の部屋に招かれたのだぞ。ここへ来い」
(王? ラウールはなにを言って……)
足を踏み締めて近づいていく。ラウールが立ち上がり、荒々しく手首をつかんだ。
「……っ、お話とはなんでしょうか?」
握られた手をつくづくと眺められてギョッとした。ラウールの様子がいつもと違う。
「美しい……。労働をしたことのない者の手だな。……お前は、誰だ?」
鋭い双眸に瞳を射貫かれ、心臓が喉元まで跳ね上がった。痛いほど緊張が張りつめる。
「──僕は、エミル……」
「エミル・ド・ブランシェール。この国の王子、いや、ハノンの二番目の息子だな」
「……! は、はい、ああっ」
とたん、高々と腕を吊り上げられた。急激な動きに腹が引きつり、抗ったのにまるで力が入らない。
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