和書>小説・ノンフィクション>文芸>日本文学>現代小説
著者プロフィール
雅 孝司(みや こうじ)
小説・コンピュータゲーム・パズル・テレビなど、幅広く活動中のクリエイター。1982年ノンフィクションデビュー、翌年小説デビュー。1991年には、日本テレビ系「マジカル頭脳パワー」で、「あるなし」ブームの仕掛人となる。
著書は「頭の覚醒剤」(パピレス/データハウス)・「算数オリンピックに挑戦」(講談社ブルーバックス)・「面白くてやめられない漢字パズル」(中経出版)など35点。著ゲームソフトは「ジーザス」(エニックス)など数点。
インターネットでも作品を発表中。
ホームページ「雅孝司のパズル&ゲーム宇宙」 http://www.puzzle-j.com/
小説・コンピュータゲーム・パズル・テレビなど、幅広く活動中のクリエイター。1982年ノンフィクションデビュー、翌年小説デビュー。1991年には、日本テレビ系「マジカル頭脳パワー」で、「あるなし」ブームの仕掛人となる。
著書は「頭の覚醒剤」(パピレス/データハウス)・「算数オリンピックに挑戦」(講談社ブルーバックス)・「面白くてやめられない漢字パズル」(中経出版)など35点。著ゲームソフトは「ジーザス」(エニックス)など数点。
インターネットでも作品を発表中。
ホームページ「雅孝司のパズル&ゲーム宇宙」 http://www.puzzle-j.com/
解説
次々と現われるニュー・テクノロジーに人は押し流され、そこから悲劇・喜劇・珍談・奇談が生まれる……。ナンバーディスプレイ、インターネット、デジタルファクシミリ、CAI、トリオホンなど、新技術にまつわるさまざまなドラマを描いた、TF(テクノロジー・フィクション)連作短編集。〈第1話〉電話をかけてきた相手の番号がわかるナンバーディスプレイ。しかし皮肉にも、いやな相手の電話に出なかったヒロインは、その結果無実の罪に落ちて行く。〈第9話〉渋谷で待合わせた2組のカップル。同じ日の同じ時刻、同じ場所にやってきたにもかかわらず、4人のうち誰1人出会うことができなかった。その理由は? 合理的に解決するファンタジー。
1985年に講談社から書き下ろしで刊行された『INSシミュレーション』をベースに、内容をいったん厳選した上で、あらためて大幅に加筆・リニューアル。さらに、未発表の新作も収録!
1985年に講談社から書き下ろしで刊行された『INSシミュレーション』をベースに、内容をいったん厳選した上で、あらためて大幅に加筆・リニューアル。さらに、未発表の新作も収録!
目次
第1話 エンドマークはグレイ
第2話 愛される警察官
第3話 逆らう者をつぶせ
第4話 15年目のチームワーク
第5話 左遷志望
第6話 切る者とつなぐ者
第7話 小さな戦士たち
第8話 古いワインはお好き?
第9話 (書き下ろし)世紀末のランデブー
第2話 愛される警察官
第3話 逆らう者をつぶせ
第4話 15年目のチームワーク
第5話 左遷志望
第6話 切る者とつなぐ者
第7話 小さな戦士たち
第8話 古いワインはお好き?
第9話 (書き下ろし)世紀末のランデブー
抄録
「どこ、受ける?」
ある日、学校から塾に向かいながら、三郎が進にズバリと聞いた。
「海成を受けるの、あきらめたよ。塾の予想だと、合格率40%だって」
その数字はほぼ三郎の予想でもあった。三郎はさらに聞いた。
「ランク下げるのかい」
「うん、そのつもり……キミは予定通り海成を受けるんだろ。がんばれよ」
「ありがとう」
三郎がニッコリしたのは、激励されたからではなく、競争相手が1人減ったからだった。
年が開けた。三郎は年末年始も関係なく、受験勉強していた。志望を変更するなら――もちろん、上げるのだが――最後のチャンスだった。とくに敦子は、まだ京応中学に未練を持っていた。しかし、風邪で遅れたとはいえ、ライバル進が海成を諦めたのだ。進が一流の海成を受けないぐらいだから、三郎が超一流の京応に入れなくてもやむをえない……小山家ではそういうムードになった。
父は三郎の勉強ぶりを見かねて、「正月ぐらい少しゆっくりしろよ」と言った。しかし三郎はそれほど辛そうではなかった。敦子も「今はがんばるときよ。海成に入れば、6年間は受験なしなんだから」という態度だった。
1月下句、小雪のちらつく中、海成中学校の入学試験が行われた。三郎は母とともに地下鉄で試験場へ向かった。車内で座席につくと、隣りにも中学校受験生らしき親子がすわった。彼らの会話の中に“京応”ということばが聞こえた。京応中学受験生らしい。
「京応もきょうが入試だったのね」
母が言ったが、三郎は興味なさそうだった。やがて目的の駅に着いた。
三郎が母と別れ試験場に入ると、だいたい出身小学校ごとに席がまとまっていた。もちろん、進の姿はない。
さらに10日が過ぎた。2月になっていた。三郎と教子は、合格発表を見るため、再び海成中学にやってきた。発表は予定より早くなったようだ。2人が着くとすでに掲示板の前には何百人もの親子が群がっていた。敦子が彼らをかき分ける。
「あった、あったわよ!」
母が叫ぶ。むしろ三郎の方が落着いていたが、さすがに興奮したのか、頬がかすかに紅潮していた。
(あれは役にたったかな?)
その夜、ふとんの中で三郎は思った。
(進に海成受験を断念させたのはちょっと気の毒だったけど……定員が事実上1人増えたのは助かった。進が受けていれば、確実に合格しただろうから)
三郎は進の実力を誰よりも評価していた。彼なら海成に楽に受かると三郎は見ていた。進に海成受験をやめさせる方法はないかと考えた。進が塾を休んだとき、あるアイデアがひらめいた。
「マシンに、進のパスワードででたらめデータをぶちこんで、合格可能性の計算を混乱させよう」(「第7話 小さな戦士たち」より)
ある日、学校から塾に向かいながら、三郎が進にズバリと聞いた。
「海成を受けるの、あきらめたよ。塾の予想だと、合格率40%だって」
その数字はほぼ三郎の予想でもあった。三郎はさらに聞いた。
「ランク下げるのかい」
「うん、そのつもり……キミは予定通り海成を受けるんだろ。がんばれよ」
「ありがとう」
三郎がニッコリしたのは、激励されたからではなく、競争相手が1人減ったからだった。
年が開けた。三郎は年末年始も関係なく、受験勉強していた。志望を変更するなら――もちろん、上げるのだが――最後のチャンスだった。とくに敦子は、まだ京応中学に未練を持っていた。しかし、風邪で遅れたとはいえ、ライバル進が海成を諦めたのだ。進が一流の海成を受けないぐらいだから、三郎が超一流の京応に入れなくてもやむをえない……小山家ではそういうムードになった。
父は三郎の勉強ぶりを見かねて、「正月ぐらい少しゆっくりしろよ」と言った。しかし三郎はそれほど辛そうではなかった。敦子も「今はがんばるときよ。海成に入れば、6年間は受験なしなんだから」という態度だった。
1月下句、小雪のちらつく中、海成中学校の入学試験が行われた。三郎は母とともに地下鉄で試験場へ向かった。車内で座席につくと、隣りにも中学校受験生らしき親子がすわった。彼らの会話の中に“京応”ということばが聞こえた。京応中学受験生らしい。
「京応もきょうが入試だったのね」
母が言ったが、三郎は興味なさそうだった。やがて目的の駅に着いた。
三郎が母と別れ試験場に入ると、だいたい出身小学校ごとに席がまとまっていた。もちろん、進の姿はない。
さらに10日が過ぎた。2月になっていた。三郎と教子は、合格発表を見るため、再び海成中学にやってきた。発表は予定より早くなったようだ。2人が着くとすでに掲示板の前には何百人もの親子が群がっていた。敦子が彼らをかき分ける。
「あった、あったわよ!」
母が叫ぶ。むしろ三郎の方が落着いていたが、さすがに興奮したのか、頬がかすかに紅潮していた。
(あれは役にたったかな?)
その夜、ふとんの中で三郎は思った。
(進に海成受験を断念させたのはちょっと気の毒だったけど……定員が事実上1人増えたのは助かった。進が受けていれば、確実に合格しただろうから)
三郎は進の実力を誰よりも評価していた。彼なら海成に楽に受かると三郎は見ていた。進に海成受験をやめさせる方法はないかと考えた。進が塾を休んだとき、あるアイデアがひらめいた。
「マシンに、進のパスワードででたらめデータをぶちこんで、合格可能性の計算を混乱させよう」(「第7話 小さな戦士たち」より)
本の情報
この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます
形式
【bookend形式】
この書籍は、商品の初回閲覧時に必要ソフト「bookend」(無料)を手動インストールする必要があります。
詳細はbookend形式のご利用方法をご覧下さい。
bookend形式の書籍をご覧いただくためにはAdobe Reader最新版(無料)が必要になります。Adobe Reader最新版はここから無料でダウンロードできます。


























