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著者プロフィール
新田 一実(にった かずみ)
実は二人の女性のペンネーム。
里見敦子、ヤギ座の理科系。後藤恵理子、ウオ座の文科系。血液型はともに“復讐ノート”のA型。アイディアも文章も完全共同作業。愛猫たちに囲まれながら、交替でワープロを打っているとか。
著書に「海神の寵児ディロン」「漂泊の剣士ハーコン」「霊感探偵倶楽部」「お客様ご用心」など多数のシリーズ作があり、今若い読者にもっとも人気のある作家の一人(二人?)である。
実は二人の女性のペンネーム。
里見敦子、ヤギ座の理科系。後藤恵理子、ウオ座の文科系。血液型はともに“復讐ノート”のA型。アイディアも文章も完全共同作業。愛猫たちに囲まれながら、交替でワープロを打っているとか。
著書に「海神の寵児ディロン」「漂泊の剣士ハーコン」「霊感探偵倶楽部」「お客様ご用心」など多数のシリーズ作があり、今若い読者にもっとも人気のある作家の一人(二人?)である。
解説
内乱の起こったティノニスに、東の帝国チモールが侵攻しているとの報がグゥイナーに届いた。白の軍師・フォーマルハウトは協力を得るため、隣国ディパイエへと向かう。一方、竜の王を従えた赤い髪の女神の噂を聞いたマイヤは、それが攫われたティアナであると確信し、竜の王と会うために旅立つ。
だがすべては、魔術師エルゴックの陰謀だったのだ。そして苦難の果て、再会したマイヤとティアナの前に再び古(いにしえ)の扉は開かれる! 果たしてそこに待ち受けていたものは?!
だがすべては、魔術師エルゴックの陰謀だったのだ。そして苦難の果て、再会したマイヤとティアナの前に再び古(いにしえ)の扉は開かれる! 果たしてそこに待ち受けていたものは?!
目次
第一章 竜の王
第二章 天に聳える山
第三章 竜王への扉
第四章 軍師と魔術師
あとがき
第二章 天に聳える山
第三章 竜王への扉
第四章 軍師と魔術師
あとがき
抄録
「ファイザ!」
不意にサイモンの声が降る。
アマーテイはその声に我に返った。慌てて視線を定めると、岩棚を迂回したサイモンが、先を確かめているのに気付く。
彼女はゆっくりと最後を歩くファイザを振り返った。
「どうした?」
大声で応じ、彼女に目配せをくれたファイザが、サイモンに駆け寄る。
アマーティは足を止め、戦闘竜を宥めると、マイヤの腕を掴んでサイモンの答えを待った。
「あの上に……何かいる」
「岩じゃないのか?」
「違うぞ。さっき見えてた時には、あんな岩はなかったからな」
マイヤとアマーティが、やきもきと男達の会話に耳を欹てる。
「アマーテイ……マイヤもきてくれ」
ファイザに手招かれ、二人は走り寄った。
サイモンが二人のために身体をずらす。視界を遮る岩の壁の向こうに、今までとはまるで違った光景が開けた。
ただでさえ疎らだった草が姿を消し、瓦礫と岩の山になっている。まるで、魔法にでもかけられたようだ。その高度ゆえに、判別がつかなかっただけなのだろうが、それにしても下から眺めている時には想像もできなかった風景である。
荷車を引いた母なる竜(マヨルカ)が歩けるのか、それすら不安になるような、瓦礫の山となっていた。
「……どうしてこんな……」
思わず呟いたアマーティに、サイモンは巨大な肩に太い首を埋めてみせた。
「そりゃそうだわね」
口元を歪め、アマーティは視線を回らせた。
「あの右手の大きな岩が見えるか?」
ファイザに問われ、彼女はゆっくりと頷いた。
「こいつはあれが今までなかったと言うんだが……」
サイモンをちらりと見やった彼女は、あらためてその岩に視線を据える。
こうして眺めている限りはただの岩でしかない。しかし、確かについ先程まで岩の間から見えていた景色にはなかったものだった。
槍の穂先が突き出したような岩の先端に、丸い岩が載っている。見逃していたというにはあまりにも特徴的な形だし、何より、一目見れば、その異常さに気付くだろう。
「……まさか……」
ぽつりと呟いたアマーティに、ファイザが重々しく頷く。
「マイヤ……」
言われるまでもなく、マイヤもその岩を凝視している。
巨大な丸い岩にしか見えないものは、岩の先端でゆらゆらと揺れていた。よくよく見れば、左右対称の模様があり、それが折り畳んだ翼の形をしているということが判る。
まだ距離が離れすぎており、しかも逆光になっているために、細部を見分けることはできない。だが、これがただの岩ではないことは、全員が認めていた。
「……あれが、竜の王……」
「そうかもしれない。……頭は見えないから確かなことは判らないけどね」
そうは言ってみても、アマーティの声も掠れていた。
こんな巨大な竜が、他にいるわけがない。しかも翼まで持っているのだ。翼のある竜で、こんな巨大なものがいるなどと、誰も想像すらしたことがないだろう。比較する対象がないためにはっきりとは判らないが、胴体だけでも角竜(スレール)の数倍はありそうだ。
恐ろしいほどの幸運というべきだろうか。
この広大な山脈のどこにいるか判らない竜の王を追って、闇雲に山を登っていた彼等の目の前に、忽然と現われた竜。
渇いた唇を舌で湿したアマーティは、確かめるように後ろを振り返った。
不意にサイモンの声が降る。
アマーテイはその声に我に返った。慌てて視線を定めると、岩棚を迂回したサイモンが、先を確かめているのに気付く。
彼女はゆっくりと最後を歩くファイザを振り返った。
「どうした?」
大声で応じ、彼女に目配せをくれたファイザが、サイモンに駆け寄る。
アマーティは足を止め、戦闘竜を宥めると、マイヤの腕を掴んでサイモンの答えを待った。
「あの上に……何かいる」
「岩じゃないのか?」
「違うぞ。さっき見えてた時には、あんな岩はなかったからな」
マイヤとアマーティが、やきもきと男達の会話に耳を欹てる。
「アマーテイ……マイヤもきてくれ」
ファイザに手招かれ、二人は走り寄った。
サイモンが二人のために身体をずらす。視界を遮る岩の壁の向こうに、今までとはまるで違った光景が開けた。
ただでさえ疎らだった草が姿を消し、瓦礫と岩の山になっている。まるで、魔法にでもかけられたようだ。その高度ゆえに、判別がつかなかっただけなのだろうが、それにしても下から眺めている時には想像もできなかった風景である。
荷車を引いた母なる竜(マヨルカ)が歩けるのか、それすら不安になるような、瓦礫の山となっていた。
「……どうしてこんな……」
思わず呟いたアマーティに、サイモンは巨大な肩に太い首を埋めてみせた。
「そりゃそうだわね」
口元を歪め、アマーティは視線を回らせた。
「あの右手の大きな岩が見えるか?」
ファイザに問われ、彼女はゆっくりと頷いた。
「こいつはあれが今までなかったと言うんだが……」
サイモンをちらりと見やった彼女は、あらためてその岩に視線を据える。
こうして眺めている限りはただの岩でしかない。しかし、確かについ先程まで岩の間から見えていた景色にはなかったものだった。
槍の穂先が突き出したような岩の先端に、丸い岩が載っている。見逃していたというにはあまりにも特徴的な形だし、何より、一目見れば、その異常さに気付くだろう。
「……まさか……」
ぽつりと呟いたアマーティに、ファイザが重々しく頷く。
「マイヤ……」
言われるまでもなく、マイヤもその岩を凝視している。
巨大な丸い岩にしか見えないものは、岩の先端でゆらゆらと揺れていた。よくよく見れば、左右対称の模様があり、それが折り畳んだ翼の形をしているということが判る。
まだ距離が離れすぎており、しかも逆光になっているために、細部を見分けることはできない。だが、これがただの岩ではないことは、全員が認めていた。
「……あれが、竜の王……」
「そうかもしれない。……頭は見えないから確かなことは判らないけどね」
そうは言ってみても、アマーティの声も掠れていた。
こんな巨大な竜が、他にいるわけがない。しかも翼まで持っているのだ。翼のある竜で、こんな巨大なものがいるなどと、誰も想像すらしたことがないだろう。比較する対象がないためにはっきりとは判らないが、胴体だけでも角竜(スレール)の数倍はありそうだ。
恐ろしいほどの幸運というべきだろうか。
この広大な山脈のどこにいるか判らない竜の王を追って、闇雲に山を登っていた彼等の目の前に、忽然と現われた竜。
渇いた唇を舌で湿したアマーティは、確かめるように後ろを振り返った。
本の情報
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