和書>小説・ノンフィクション>ライトノベル>SF
著者プロフィール
井上 ほのか(いのうえ ほのか)
1964年1月25日生。東京生まれ。水がめ座。血液型O型。国学院大学文・史学科卒業。
「アイドルは名探偵」でデビュー。著書に、「少年探偵セディ・エロル」シリーズ、SFアクション「都市戦記・妖魔アルディーン」、「ルーン・エンジェルス・シリーズ」などがある。
趣味は散歩と大工仕事。少林寺拳法2段。
ホームページ「INOUE BOX」 http://www.catnet.ne.jp/inouebox/
1964年1月25日生。東京生まれ。水がめ座。血液型O型。国学院大学文・史学科卒業。
「アイドルは名探偵」でデビュー。著書に、「少年探偵セディ・エロル」シリーズ、SFアクション「都市戦記・妖魔アルディーン」、「ルーン・エンジェルス・シリーズ」などがある。
趣味は散歩と大工仕事。少林寺拳法2段。
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解説
妖魔アルディーン――凶悪な犯罪都市、ネオ・ナリタの人々ですら、この名を聞けば恐怖に震える。とり憑かれた者は、我を失い、血に飢えた殺人鬼と化し、破滅するという。
連邦暦211年。アカデミアのIQ250の天才少年・涼は、この魔都で明るく生きる真夜子と出会う。そして、闇から街を支配する“悪”の存在を知ったある日、彼のなかにアルディーンの声を聞く。危険きわまりない妖魔に選ばれた涼の冒険が、いまはじまった!
連邦暦211年。アカデミアのIQ250の天才少年・涼は、この魔都で明るく生きる真夜子と出会う。そして、闇から街を支配する“悪”の存在を知ったある日、彼のなかにアルディーンの声を聞く。危険きわまりない妖魔に選ばれた涼の冒険が、いまはじまった!
目次
プロローグ 都市伝説“闇の皇子(こうし)”
第一章 アカデミアの天才児
第二章 闇の皇子・アルディーンの復活
第三章 ナイトハンド登場――二人の黒衣の影
第四章 美しい沙羅
第五章 七賢人都市――最後の決戦
エピローグ 闇の皇子の冒険
あとがき
第一章 アカデミアの天才児
第二章 闇の皇子・アルディーンの復活
第三章 ナイトハンド登場――二人の黒衣の影
第四章 美しい沙羅
第五章 七賢人都市――最後の決戦
エピローグ 闇の皇子の冒険
あとがき
抄録
――ダメだ、見ちゃいけない! 見たら誘われる……。
血だまりの床をけって、涼がかなたへ飛びすさった。
むせるような匂いと血の感触で、めまいがする。着地はしたものの、そこで膝をついて動けなくなってしまった。
ようやく自由になったと思った先へ、まだ生きている者たちが追ってくるのだ……。
「……嫌だ、来るなあッ!!」
“あの方のおっしゃるとおりになった”。床に手をついて、ブルブルふるえているのを、満足げに見ながら、
「どうした……もう動けないのかね? 遠慮することはない、よく見たまえ!
ほしければまだいくらでもある。アルディーン……ともに邪教の使徒ではないのか? 七賢人はいつでも君を歓迎するぞ」
“彼が血の誘惑に屈して、我等の教団に入るなら、生け捕りにして連れてこい。その前にのっとられて正気を失うようなら、ほうっておけ……旧市街に放してやれ”
あとは警察と自警団が始末してくれる。
デュークの片腕がしゃべっているあいだも、涼は必死の力をふりしぼって、死のうとする男たちの手を“押さえ”ていた。しかし、その力にも限界がある。
またも何人かの喉から血しぶきがあがった。
血が細い流れになって、涼のいるほうまでゆっくり広がってきた。膝がひたされて暖かい。
――もうダメだ……瞳の色が勝手に変化していく。
赤く変わっていくのが自分でもわかった。
はっきりと、殺したさに身体がふるえるのがよくわかった。
――ダメだ、気が遠くなる……苦しいんだ。もう自分を抑えきれない。どうしよう、このままでは僕はアルディーンに負けてしまう……。
涼がついに倒れかかったそのとき、ホールの通風口から異変が起こった。
いきなり、ごう炎が吹きこんできたのだ。
壁ぎわにいた者たちが、火だるまになって転げまわった。
「なんだ、どうしたんだッ!?」
ホールのスピーカーから憎しみに満ちた男の声が響きわたった。
「死ね……死ね、貴様たち、みんな死んでしまえ!!」
――ナイトハンドだ。
……その声を夢のように聞きながら、涼は火の海になったホールをつっきって窓を目指すと、体当たりでガラスを割り、後先かまわず外に飛びだした。
8階から落下していく途中で、何度か建物の鉄材に当たり、そのたびに骨がくだける痛みがはしった。
地面に激突した涼の耳に、しばらくしてから生き残りの七賢人たちの声が聞こえてきた。
「捜せッ! 奴らを生かして帰すな!!」
完全に逆上している声音に“捕まれば殺される”と思った。だがもう動けはしない。
――死にたくない……だけど、アルディーンの魔性に支配されるよりは、ここで殺されたほうがいいのだろう。
目の前に黒こげのピストルが落ちていた。涼はふるえる手でそれをとった。
――せめてアカデミアの生徒として、誇りをもって死にたい。
これほど弱っているいまなら、銃で死ねると感じる……“アカデミアの誇り”。もし学長が、これまでのことを知ったら、はたして誇りに思ってくれただろうか。
「……さようなら、真夜子。ごめんね」
引き金を引こうとした手を何かが強く打った。続けて誰かの手で身体をかつぎあげられ、あまりの痛さに涼は気を失った。
血だまりの床をけって、涼がかなたへ飛びすさった。
むせるような匂いと血の感触で、めまいがする。着地はしたものの、そこで膝をついて動けなくなってしまった。
ようやく自由になったと思った先へ、まだ生きている者たちが追ってくるのだ……。
「……嫌だ、来るなあッ!!」
“あの方のおっしゃるとおりになった”。床に手をついて、ブルブルふるえているのを、満足げに見ながら、
「どうした……もう動けないのかね? 遠慮することはない、よく見たまえ!
ほしければまだいくらでもある。アルディーン……ともに邪教の使徒ではないのか? 七賢人はいつでも君を歓迎するぞ」
“彼が血の誘惑に屈して、我等の教団に入るなら、生け捕りにして連れてこい。その前にのっとられて正気を失うようなら、ほうっておけ……旧市街に放してやれ”
あとは警察と自警団が始末してくれる。
デュークの片腕がしゃべっているあいだも、涼は必死の力をふりしぼって、死のうとする男たちの手を“押さえ”ていた。しかし、その力にも限界がある。
またも何人かの喉から血しぶきがあがった。
血が細い流れになって、涼のいるほうまでゆっくり広がってきた。膝がひたされて暖かい。
――もうダメだ……瞳の色が勝手に変化していく。
赤く変わっていくのが自分でもわかった。
はっきりと、殺したさに身体がふるえるのがよくわかった。
――ダメだ、気が遠くなる……苦しいんだ。もう自分を抑えきれない。どうしよう、このままでは僕はアルディーンに負けてしまう……。
涼がついに倒れかかったそのとき、ホールの通風口から異変が起こった。
いきなり、ごう炎が吹きこんできたのだ。
壁ぎわにいた者たちが、火だるまになって転げまわった。
「なんだ、どうしたんだッ!?」
ホールのスピーカーから憎しみに満ちた男の声が響きわたった。
「死ね……死ね、貴様たち、みんな死んでしまえ!!」
――ナイトハンドだ。
……その声を夢のように聞きながら、涼は火の海になったホールをつっきって窓を目指すと、体当たりでガラスを割り、後先かまわず外に飛びだした。
8階から落下していく途中で、何度か建物の鉄材に当たり、そのたびに骨がくだける痛みがはしった。
地面に激突した涼の耳に、しばらくしてから生き残りの七賢人たちの声が聞こえてきた。
「捜せッ! 奴らを生かして帰すな!!」
完全に逆上している声音に“捕まれば殺される”と思った。だがもう動けはしない。
――死にたくない……だけど、アルディーンの魔性に支配されるよりは、ここで殺されたほうがいいのだろう。
目の前に黒こげのピストルが落ちていた。涼はふるえる手でそれをとった。
――せめてアカデミアの生徒として、誇りをもって死にたい。
これほど弱っているいまなら、銃で死ねると感じる……“アカデミアの誇り”。もし学長が、これまでのことを知ったら、はたして誇りに思ってくれただろうか。
「……さようなら、真夜子。ごめんね」
引き金を引こうとした手を何かが強く打った。続けて誰かの手で身体をかつぎあげられ、あまりの痛さに涼は気を失った。
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