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耽美の沼01 白馬荘・鉄橋

耽美の沼01 白馬荘・鉄橋


発行: タイクーン
レーベル: タイクーンブックス シリーズ: 吉村滋作品集
価格:300pt
形式:MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 吉村 滋(よしむら しげる)
 昭和二年熊本市生まれ。五高を経て九州大学経済学部卒業。
 元熊本日日新聞社論説委員。
 「詩と眞實」元編集発行人。
 「九州文学」同人。
 日本文藝家協会会員。
 熊本県芸術功労者。
 著書「父と子」=熊日文学賞受賞。「白馬荘」「日本短編小説文庫7 銀閣の影絵」「昭和の奔流」など。

解説

 自由で奔放な生きかたを選んだ女たち、怠惰ななかで生活する芸術家の私はひとりの女と情事を続けた。昭和耽美ロマンの傑作「白馬荘」。夜市を営む家族の生活と台風の夜の事故〜掌編「鉄橋」を収める。

目次

 白馬荘……7
 鉄橋……35

抄録

 「これなのよ。私の一番好きなのは」
 喘ぐ息の合間に、彼女はそういった。半ば開いた唇には、唾液が糸を引いて、舌の先が赤く動いている。突然、晴美は身を起して立ち上ると、さっとグリーンのカーデエガンを落葉の上に脱ぎ捨てた。思わず目を見張った私の視線をじっと受け止めて、ブラウスの小さな貝ボタンをはずしにかかった。そのピンクの薄絹が、同じように素早くはぎ取られたとき、シュミーズ一枚になった晴美は、少し胸を張って両腕を後に引きつけ、艶然と笑ったのだ。
 乾いた落葉の匂いの中で、晴美の悦楽にむせぶ嬌声を知って以来、すっかり私は奔放な性の遊びに溺れていった。機会あるごとに、私たちは沼のほとりのあちこちで情事にふけった。健康な若い肉体は、その都度、弾みのある脂肪の接触感だけで、充分に燃え立つことができた。深まる秋のせいもあってか、媾曳を重ねる度に、私の中に沼の投影する感覚は、異なった色彩を与えた。それは殆ど夕闇の頃が多かったが、最初、私たちの情交の姿を、その水の面に何かしら奇異な格好ででもあるかのように、ありありと映しているように思われた沼は、次第に粘っこく沈澱して、もう影を映す反射性を失ってゆくようだった。
 「白馬荘」より

本の情報

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