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マリクロBiz文庫 妄想サラリーマン 上

マリクロBiz文庫 妄想サラリーマン 上


発行: マリクロ
レーベル: マリクロBiz文庫 シリーズ: 妄想サラリーマン
価格:300pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 柳田 輝(やなぎだてる)
 1960年東京生まれ。
 趣味は競馬と釣り。
 アルバイト暮しの典型的なダメおやじ。
 いま生きている等身大のサラリーマンや庶民の姿を描いていきたい。

解説

 戸張貴幸は二十七歳のサラリーマン。「彼女無し」「金無し」「意気地無し」のダメ男。しかも貴幸にはトンデモナイ妄想癖がある。例えばコンビニに気になる女店員がいても声も掛けられないのでレジで待つ間に彼女と部屋で過ごすことを妄想して興奮して側の男に抱きつく有り様だ。そんな彼が現実逃避と欲求不満の妄想を繰り返しながら、少しずつ一人前の男になっていくペーソスあふれるコメディ。男の心の中、覗いてみませんか?

抄録

 「ここの温泉は混浴があるらしいぞ」
 ハゲの高橋課長がいやらしく笑う。
 男たちは早速入浴した。
 露天風呂が混浴になっていたが、もちろん女性は一人も居なかった。
 風呂から上がり、浴衣に着替えると夕食を兼ねた宴会が始まった。それが終わると皆二次会に出かけて行った。
 貴幸は一緒に行く振りをして、こっそりと部屋に戻ってきた。
 ――冗談じゃないよ、課長の下手なカラオケ聞かされて、使い走りさせられて、割り勘じゃ合わないよ。風呂に入って早く寝よう。

 貴幸は露天混浴風呂に行ってみた。誰もいない。薄暗くていいムードだった。完全にリラックスして、大の字になっていた。
 その時、人の気配がした。女湯の方から人影が近づいてくる。露天風呂は男湯と女湯の真ん中にあって、両方から入れるようになっていた。
 薄明かりの中、タオルを前に垂らした姿が浮かぶ。貴幸は唾を飲み込み、姿を凝視した。貴幸は岩陰にいたから、相手は気づいていない。
 ……野中さんだった。湯船の端にしゃがむとタオルを岩の上に置いた。豊満なオッパイが見えた。
 ――うわっ、きれいな形のオッパイだなあ。大きくても垂れていないし、うわっおっ、やっぱり、ピンクだ。ピンクの乳首だ。吸ってみたいなあ。
 貴幸は乳首を食入るように見つめる。湯船に入った野中さんが、ゆっくりと歩いてくる。
 お湯の深さが太腿までしかないから、黒々としたヘアーが、丸見えだった。
 わっ、わっ、わっ、どうしよう、こちらから名乗り出るべきか、あるいは隠れていようか、迷っているうちにも、野中さんはヘアー丸出しで迫ってきた。お湯に濡れたヘアーに、迫られたら、かなりまずい! 興奮してしまう!!
 ポシャン!! 貴幸はわざと音を立てて、体を動かした。じっとしていると、勃起しそうだった。

 「キャッ」
 野中さんは驚いて声を上げ、慌てて体を沈めた。

 「あっ、すみません」
 貴幸はとぼけて答えた。

 「あれ、戸張君?」
 「は、はい、野中さんですか」
 貴幸はさらにとぼける。
 「驚いた、誰もいないと思ったら、人がいるから。戸張君でよかった」
 「野中さんは二次会に行かなかったんですか」
 「うん、私お酒飲めないしね」
 薄明かりの中、野中さんの声だけが聞こえる。近くに憧れの野中さんの一糸まとわぬ姿があるのに、何もすることが出来ない。何も出来なくてもいいから、せめて迫力ボディは拝みたい。その時だった。

 「ねえ、こっちに来ない」
 野中さんが言った。

 「えっ」
 「違うわよ、遠くて声がよく聞こえないからよ」
 「あっ、そうですか、そうですよね」

 貴幸は湯船に浸かりながら、蟹のように近づいていった。
 野中さんの迫力ボディが湯船の中に見える。

 「遠慮しないで隣に来なさいよ」
 貴幸は再び湯船の中を横歩きで泳ぐように進んだ。そして横に並んだ。
 野中さんの巨乳まで三十センチの距離だった。思わず唾を飲み込む。
 心臓の鼓動が湯面を揺らすようだった。あああっ、我慢できない。
 抱きしめたい! オッパイに顔をうずめたい!! 乳首を吸いたい!! お尻にむしゃぶりつきたい!!!

 よし! 覚悟を決めた。

 貴幸はお湯から立ち上がって、裸の野中さんに抱きついた。

 ……「キャッ」
 野中さんが声を上げた。

 ……グラッ、体のバランスが崩れて、貴幸は椅子から転げ落ちた。
 「あっ、痛」

 部の皆が驚いて貴幸を見ていた。そこは露天風呂でなくオフィスであった。
 ――またやってしまった。

 貴幸は椅子に座りながら隣に立っていた野中さんに抱きついていたのだ。

 貴幸は腰をさすりながら苦笑いを浮かべ立ち上がった。
 手には、抱きついたときの野中さんの柔らかい肉の感触が残っていた。

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