マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションSF・ファンタジー小説ファンタジー小説

竜王の玉座  暁の竜王伝説 第二部3

竜王の玉座 暁の竜王伝説 第二部3

著: 新田一実
発行: オンライン出版
シリーズ: 暁の竜王伝説
価格:494円(税込)
10ポイント還元
形式:XMDF形式⇒詳細 
対応端末:パソコン ソニー“Reader”
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 新田 一実(にった かずみ)
 実は二人の女性のペンネーム。
 里見敦子、ヤギ座の理科系。後藤恵理子、ウオ座の文科系。血液型はともに“復讐ノート”のA型。アイディアも文章も完全共同作業。愛猫たちに囲まれながら、交替でワープロを打っているとか。
 著書に「海神の寵児ディロン」「漂泊の剣士ハーコン」「霊感探偵倶楽部」「お客様ご用心」など多数のシリーズ作があり、今若い読者にもっとも人気のある作家の一人(二人?)である。

解説

 東の大国チモールとの戦いが膠着状態となったグゥイナー国は、戦局打開のため、マイヤ自らがディパイエへと赴き、全面的な協力を得ることに。一方、マイヤが伝説の王となることを阻むため、魔術師エルゴックはチモール王ビハールに加勢するが、魔術に頼って勝利を得ることを嫌ったビハールに疎まれ、策に窮していた――。
 それぞれの思惑が絡みあう中、ついに決戦の火蓋が切って落とされる。果たしてマイヤは、伝説の竜王の座に就くことができるのか……!? 『暁の竜王伝説 第二部』完結編!

目次

第一章 出陣
第二章 覇王の砦
第三章 竜戦士
第四章 伝説の竜王
あとがき

抄録

 風に舞い上がる黒髪を竜革の額金で押さえたラオ・ビハールは、物見に立って辺りを睥睨していた。
 砦を築いたものの、ここで戦う気など毛頭ない。この砦は、ここよりは一歩も引かないという決意の表われでしかないのだ。未だかつて戦ったことのない相手だということもあって、慎重を期しているだけのこと。そして、それは戦士達も了解していた。
 「……竜戦士は?」
 まだ姿のない敵の数を聞く。
 「四十騎ほど。……総て南の道におります」
 遥か上空から舞い降りたエルゴックは、王の足元に膝を折った。
 ビハールの眉が引き上がる。
 この尊大な魔術師が、いくら戦士達が見守っているからとはいえ、ここまで臣下としての態度を取るとは、思ってもいなかったのだ。
 「戦士は?」
 「二手に分れております。南の道と中央の道に」
 「北は捨てたか……」
 「罠かもしれませぬが……」
 どの道を辿っても、ティノニスの都に攻め込める。確かに、北の道が一番険しいが、それも竜の足にとっては、という程度のもの。人間が進むには何ら支障はないのだ。
 「エルマノにも兵を残したかもしれんな。北の道ならば、途中で襲われてはひとたまりもない。……竜は南か……」
 できるならば、竜戦士とは戦いたくない。しかし、中央の道を進んで、背後から竜戦士に襲われては、惨敗は目に見えている。グゥイナーの戦闘竜は、戦士が入り乱れて戦っていても、敵だけを選んで襲うものだと、先日の戦いで判っていた。
 戦士の数は圧倒的に多いのだが、それでも優位とはいい難い。
 「竜を始末いたしますか?」
 眉を引き上げたビハールは、エルゴックを見下ろした。
 黒い甲冑姿の魔術師は、平然と微笑んでいる。重たげな首飾りを幾重にも掛け、透けるような薄い黄金のマントは赤い宝玉で肩に留められていた。
 虚仮威(こけおど)しとしか見えない姿だが、その力を使えば、竜戦士を片づけることもできる。一番たちの悪い竜戦士を始末できるというのなら、この魔術師にやらせるべきだろう。
 しかし、ビハールは迷っていた。
 この男がどこまで信用できるか、ますます判らなくなっているのだ。だが今現在。この瞬間だけは目的は同じだろう。
 「よし。竜を始末してまいれ。ただし、戦士には手出しするな。魔術で殺されたなどと噂されたのでは、後々面倒だ。できるならば、竜の方をうまく始末しろ」
 魔術師の介在を隠したいのは、エルゴックも同じだった。ラオ・ビハールには伝説の王を名乗ってもらわなければならないのである。グゥイナーにつきまとう伝説を打ち砕くには、真の伝説の王を出現させるしかない。グゥイナーを亡ぼしたのが竜の王を従えた王であれば、竜の大陸に根強く残る伝説は、新たな形に変質するだろう。
 伝説という実態のないものを壊す。
 古の魔法を究めたエルゴックにとっても、それは恐ろしく困難な仕事だった。伝説の王の候補を殺すだけでは、物事は解決しない。伝説を信じる人々は新たな王を捜すだけなのだ。尋常ではない殺され方をした場合、伝説に光を与えるだけになる。
 それだけは避けなければならない。
 マイヤが憎いわけでも、グゥイナーに怨みがあるわけでもないのだ。それだけにエルゴックの目的をラオ・ビハールに説明するのは難しかった。
 「少し手間取りましょうが、何頭かの戦闘竜の統制を乱しましょう。シウムの連れていた竜のように……」
 「なるほど……」
 敵味方なく襲いかかり、戦力というよりは障害になった戦闘竜を、ビハールはその目で確かめていた。人が操るならば、これ以上ないほどの有力な武器となることも、思い知らされている。戦闘竜に全幅の信頼をおいている連中であるだけに、それが狂えば混乱するだろう。
 「行け。行って連中を攪乱してくるのだ」
 膝を折ったまま深く頭を下げたエルゴックは、金の霧のようなマントを翻すと、その場から掻き消えた。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアはここから無料でダウンロードできます。
詳しくはブンコビューアダウンロード初めての方へをご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。